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小論文の書き方・対策

小論文は、自分の考えをそのまま書けば合格するというものではない。
出題テーマがどのような形式かによっても、対策が異なる。
合格するにはどのような点に気をつけて、どのように書けばいいのか。
具体的にみていこう。

課題論述型

限られた条件の中から、論述すべき対象を見極める。どんな視点で対象に向かい合うのかを考察する。設問文は短い。だからこそ、その中から論述に必要な条件を探り出すことが、合格のためには重要だ。

[例題]
次の問題文について、600字以内で答えなさい。

 近年、高齢化および少子化社会に関連して、人の手助けをする福祉ロボットに関心が向けられています。福祉ロボットが社会に普及するための課題を指摘した後に、その活用方法についてあなたの考えを述べなさい。
2020年度 東北学院大学 AO 入試 B日程 第二次選抜試験 TG 推薦入試 工学部機械知能工学科 小論文試験


攻略のポイント① 〈対立する考え方〉は記述の味方

 自分の意見が、まとまらない。それは、あらゆることを完全にフォローする意見を思い浮かべようとしているからなのではないだろうか。
 完全無欠の意見などは、この世界に存在しない。むしろ、意見を〈ふたつ〉、つまり、〈対立する考え方〉とともに思い浮かべることで、論述の出発点が定まる。
 福祉ロボットが普及しない理由として、「ロボットが人間の代わりを務めることができないからだ」という考え方と「人間の代わりをロボットに求めるせいでロボットが高価になり維持も難しくなる」という〈ふたつ〉を思い浮かべてみることにしよう。
 どちらに論述の立ち位置を決めても良い。注意することは、第二段落を「たしかに」で書き始め、〈対立する考え方〉の良い点を示すことだ。この第二段落を乗り越える方向で第三段落以降を展開しよう。
 〈対立する考え方〉を受け入れつつ乗り越えることで、論述に「総合性」という評価が与えられる。何より、自分の意見をまとめやすくなる。試してみよう。


合格するための解答作成手順

①準備通りに書けたとしても合格するとは限らない。
 反対意見の立場を汲み取る力=「総合力」を身につけよ!

②その場で設問をしっかり読み取ることこそ合格への道。
 書き始める前に構想を準備する。これが大切。練習しよう!


攻略のポイント② イメージを、大きく。理由も、大きく。

 課題から発想を広げて論述するときに注意したいことがある。それは、個人の感情に寄り添うのではなく、より大きな枠組みに基づいて考察すべきだ、ということだ。個人の感情である「愛」や「思いやり」よりも、「人間」という大きな枠組みにおいて課題内容を捉えてみよう。「人間」と「ロボット」との違いを思い描くことで、「ロボットだからできること」が見えてくるのではないだろうか。それこそが、設問が求めているものだ。「イメージを大きくする練習」を重ねて、課題に対する広くて深い理解を導く習慣を身につけよう。


NGポイント:方向違いの論述は評価の対象外

●「感情」を論拠にするべからず
 「人間」の特徴を「思いやり」などの感情的な側面で切り取った段階で、論拠が小さくなった。感情とは、個々の人によって多様に感受されてこそのもの。本来多様であるべきものを論拠にした場合、「異なる感じ方をしている人もいると思うよ」などという言葉によって説得力を失ってしまう。「人間」と「ロボット」をどのように区分するか、しっかりと考えよう。

●「人間型ロボット」とは何だろう
 ロボットは人間の代用を務めることができるという考えがあるからこそ「人間型ロボット」という表現になるのだ。思いやりなどの精神的な側面を大切にしていながら、一方で、ロボットは人間の代用になるとする上記の論述は、ロボットの能力のみならず人間の能力をも十分に考察できていないことになる。書き出す前に論述対象を深く考察しよう。


GOODポイント:【最優先事項】設問の条件に明確に対応すること

●設問は何を求めているのか?
 ふたつの要素で構成されている設問。福祉ロボットが社会に普及するための課題、もうひとつは、福祉ロボットの活用方法だ。そのふたつにしっかりと対応できていること。これが、合格のための必須条件である。活用方法が具体的に挙げられているのも高評価。ロボットと人間の関係を複数の視点から考察することで、より合格しやすい文となっている。

●バランスという「表現」
 「自分の意見を簡潔に述べる」+「対立意見を否定せずに踏まえる」+「自分の論拠を明確に示す」+「設問の課題にあますことなく対応する」。それぞれのセクションがバランスよく書かれている。具体例の内容も、長くなりすぎず適切である。何を書くか、という点に加えて、バランスよく書くという配慮も、表現として評価される。大切にしよう。



文章読解型

文章を読みながら、筆者がもっとも伝えたかった事項をくみ取る。趣旨を、しっかりとまとめる。設問の指示に注意しながら、筆者の意見に対する自分の意見を述べる。書きはじめる前に、まずは、適切な準備を。


攻略のポイント① 〈まとめ〉のための3つのポイント

1.具体例を封印せよ
 文章全体を圧縮するのが〈まとめ〉ではない。筆者がもっとも言いたい内容を取り出すのが〈まとめ〉だ。まず、具体的な内容を省く。筆者がリサイクルに対して「物理的にも社会的にも不合理であるためやめてしまったほうがよい」と考えている、などと意見をまとめよう。
2.筆者は何を〈評価〉しているのか
 問題文では、リサイクルをやめたほうがよいとする理由をいくつか挙げている。何を高く評価し、何を批判しているのか。その部分をメモしよう。メモをした具体的な内容は、筆者の意見のまとめに直接入れるのではなく、自己の論述の上で利用していこう。
3.より大きく より未来へ
 プラスチックゴミの問題は、ペットボトルの回収の是非のみならず、「海洋汚染につながるマイクロプラスチックの発生」にも直結している。志望校の学部や専攻が扱う大きな話題にあらかじめ触れておくのは有効なこと。提案する場合には、「未来」を意識しよう。



攻略のポイント② 文章を生かすのは〈構成〉

○要約は簡潔に
 設問では、筆者の主張をふまえることが求められている。筆者の意見を要約する場合には、解答作成のための規定文字数のうちの30%以内に収めよう。
○意見表明をはっきりと
 「ペットボトルのリサイクルについて」述べることがメインテーマ。自分の態度を、まずは明快に示そう。
○対立意見を視野に
 今回は、問題文の筆者の意見を対立意見とした。大切なのは、対立意見への理解を示すこと。理解できるポイントをしっかりと限定すること。
○本論は対立意見を乗り越えて
 自分の意見を、より大きな視点で述べよう。対立意見の問題点を挙げて批判するだけでは、積極的な論述にはならない。筆者の意見をふまえた上で、人間の営みのなかにある大きな視点(今回は「学習」)を示そう。
○具体例はコンパクトに
 たとえ「具体例を挙げよ」と指定された設問でも、少ない分量において論述したい。まして、指示がない場合には、具体例の記述はできるだけ避けよう。



攻略のポイント③ 文体についての注意

 文章を書き進める上で注意したいのが「表現上のポイント」。いわゆる「文体」の整え方である。
●「だ・である」調に統一しよう
 文末の表現。「私はその意見に賛成します」という「です・ます」調よりは、「私はその意見に賛成だ」という「だ・である」調で統一しよう。
●「と思う」はなるべく使わない
 「筆者はそのことに関心を持っているのだと思う。」という文から「と思う」を除去してみる。そのことで文に切れ味が生まれる。確信が持てない内容の場合には「筆者はそのことに関心を持っているのだろう。」と推量形でしめくくればよい。
●ここぞというときの「疑問形」
 もっとも強調したい箇所にきたら、疑問形を使ってみよう。「それこそが筆者の考えに近いのではないだろうか。」という具合だ。使いすぎには注意したい。

◆合格へのアドバイス ~【練習】文章読解へのヒント

【ヒント1】 対象への〈評価〉に注目
 文章のなかで対象をどのように評価しているかを見届けよう。対象を「プラス・マイナス」のどちらで扱っているか、それを「評価」と考えてみよう。問題の文章では「ペットボトルのリサイクル」のどの点をマイナスとしているのだろうか。
【ヒント2】 ふたつの価値を〈比較〉せよ
 プラスチックを燃やすだけなら有毒物質が発生することはない、という認識が示されている。このことを攻撃したり反論したりする論述もあるだろう。しかし、そうした意見を「物質的な合理性」ととらえ、「教育的な意味合い」という別の〈価値〉を提案。別の視点による価値を想定することで、対立意見を乗り越えるように論述を進めよう。
【ヒント3】 事の〈変化〉をとらえよ
 ひとつの物事が進んだ場合、未来においてどのような効果を上げるのか。そうした時間軸を動かしての考察は、論述の骨組みを豊かでしっかりとしたものにしてくれるはずだ。リサイクル活動は「自然環境とのかかわりを継続する」ことにつながるのである。


NGポイント:筆者の意見に染まりすぎ

●具体的内容に振り回されている
 上記の文には、問題の文章を読んでの率直な「感想」が示されている。残念なことに、合格する小論文とは、率直な感情を述べる「感想文」とは別のものなのである。問題の文章の具体的な内容に対して自己体験を交えつつ立ち止まることで、このような「感想文」が生まれてしまう。まずは、筆者の示す意見を大きくとらえる姿勢が必要なのである。

●設問の求めを見失っている
 「ペットボトルのリサイクルについて」の考えが示されていない。筆者の意見をまるごと飲み込んだ上での失望や落胆が述べられているだけである。どのような価値観において、このように判断する、というような〈考え〉を示すべきところであったのだが、それが見当たらない。結論は、もはや設問の求めから遠ざかってしまっている。残念。


GOODポイント:価値観の違いを使いこなす

●重要なのは書きはじめる前の準備
 何が問われているのかを見きわめよう。「ペットボトルのリサイクル」に関しての意見が、まず冒頭に来るはずだ。簡潔で、明快な意見表明は、合格解答の条件である。「なぜなら」や「たとえば」で説明するのではなく、「たしかに」ではじまる対立意見への見解も、高い評価が得られる展開である。書き始める前に、展開を想定することはきわめて重要だ。

●設問を取り囲む世界観
 自分の意見を成り立たせる価値観は、なるべく大きく、そして、未来への継続性を含むものがふさわしい。そのような視点を考察する上で、「海洋生物資源学部」という志望学部の世界観に想像をふくらませてみよう。海洋におけるマイクロプラスチックの問題は、問題の文章では触れていない事項。結論において、こうした視点を有効に使いこなそう。



資料分析型

分布の偏りを見分け、変化の経緯を見届ける。その奥に潜んでいる「論じる上でもっとも重要な対象」を見抜く。「すべてを説明する」のではなく、最優先事項を論述する対応が求められる。


攻略のポイント① ×〈読み上げ〉 ○〈読み取り〉

 資料に示されている数字や動きを、言葉に直して書き表す〈読み上げ〉。資料に示されている数字や動きから、もっとも重要な流れをくみ取る〈読み取り〉。
 限られた文字数のなかで設問の課題に対応するためには、〈読み取り〉のほうが有効である。〈読み上げ〉は、手元のメモをつくる上で活用するように心がけたい。
 〈棒グラフ〉にて表現される資料では、分布の偏りを「読み取る」。その際に用いるのが〈くくりあげ〉という技法だ。テーマに即しながら、最大公約数的な内容を各項に見出そう。〈折れ線グラフ〉にて表現される資料では、変化の経緯を〈読み取る〉。折れ線が著しい変化を示しているポイントに注目。そのポイントの意味を考察することが〈読み取る〉コツとなる。
 今回の問題は、基本的には〈棒グラフ〉系のデータ。「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を〈くくりあげ〉て読み取る。「満足」の度合いもまた、〈くくりあげ〉ることができるだろう。細かい数値の説明だけで文字数を消費することを回避しよう。



攻略のポイント② 論述の〈対象〉を見きわめよ

 設問の条件をしっかりと理解することが、論述の準備としてもっとも重要なポイント。「若者」における「自己イメージ」こそが論述の〈対象〉であることを読み取ろう。「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」という表現は、「積極的」「柔軟」などという言葉に置き換えられそうだ。「自分は役に立たないと強く感じる」という表現においては、「そう思わない」系の立場を「自己の有用性を信じている」とまとめてみた。「自分は役に立たないと強く感じると思っていない若者」という表現でも同じような内容になるが、小論文論述においては、できるだけ「ではない」という条件を避けて「である」という方向でくくりあげるのが望ましい。さて、これで、〈対象〉の主体である「若者」を「積極的で柔軟な姿勢を持ち、自己の有用性を信じている若者」と整理することができた。設問を〈読み取る〉。それはグラフだけではなく、添えられている具体的な内容を〈まとめ〉の言葉に置き換えることでこそ、合格する論述のコツとなる。



攻略のポイント③ 社会問題の「対応策」について

 資料分析を求める設問は、〈社会〉を客観的に判断する姿勢そのものを評価のポイントにしている可能性が高い。悪者と決めつけた対象を攻撃する姿勢や、「高齢者の方々の笑顔を取り戻す」などの主観的な基準は、客観的な判断を志している姿勢とは言いがたい。〈社会〉の構成をふまえて、解答を作成しよう。
 〈社会〉とは、多くの〈立場〉が構成するものである。そして、〈立場〉とは、次の3つのフレームを使ってとらえるのが有効だ。①国・自治体、②地域コミュニティー(学校や企業を想定する場合もある)、③個人。
 社会問題の「対応策」を考える場合にも、この3つを意識しよう。①の対応策は、〈公助〉。実態を調査し制度を整備・実施することを含む。②地域コミュニティーが行う対応策は、「共助」。人的交流、文化活動も含む。③での対応は「自助」。自分のことはまず自分で、ということ。志望学科・専攻の内容において〈公助・共助・自助〉がどのようになるか、検索して調べたり議論をしたりしながら理解を深めておきたいところだ。

◆合格へのアドバイス ~くくりあげ~

 人、鯨、ネコ、ネズミ。これらを「哺乳類」という特徴ですくいあげるのを〈くくりあげ〉と名づけてみる。人、鯨、ネコ、カエル。これを「哺乳類」とくくりあげるのは間違いだ。「脊椎動物」あたりがふさわしい。「地球上の生物」というくくりあげは、ちょっと大げさ過ぎるだろう。資料の具体的な項目を適切に〈くくりあげ〉するのが、腕の見せどころ。
 複数のデータを対象に論述のポイントをつくるためには、一つひとつを読み上げるのではなく、その最大の特徴を〈くくりあげる〉のが有効となる。
 小論文とは、細かい数値を報告する場ではない。論述すべき対象を限定した上で、それに対してどのような評価を施すか、その過程を示すことが、合格解答作成のための条件である。
 資料分析とは、データの奥に潜む「意味」や「価値」を見届ける行為に他ならない。そして、それは、データの向こうにある人や世界への想像力によって促され培われる。世界へのまなざしを鍛えよう。


NGポイント:その資料、〈分析〉したのか?

●論点は社会的な視点で見定めよう
 体験談。そこから導き出される教訓。その流れそのものに価値がないわけではない。しかし、資料分析型の小論文の場合には、体験を書き込めという指示がない限り、論述の根幹に据えるべきではない。社会を対象に得られたデータを分析、その結果をふまえて論述するのである。社会的な大きな視点から論点を見定めてこそ、合格する論述となるのだ。

●〈意味〉を見つけ〈価値〉を与えよ
 資料の上の項目をそのまま記述。資料上の言葉を尊重した結果だろうが、〈分析〉にはならない。具体的な事柄にどのような〈意味〉があるのか、それを読み取ってこそ〈分析〉となる。得られた〈意味〉のどの点に注目するのか、それにプラスあるいはマイナスの評価を施すのかを示すことで、〈意味〉に〈価値〉が与えられる。意見とは〈価値〉を示すことだ。


GOODポイント:的確に〈読み取り〉明快に論述する

●〈読み取り〉の質こそ合格への道
 数値や割合を細かく〈読み上げ〉るのではなく、このグラフが示す内容を簡潔に作文している。つまり、質の高い〈読み取り〉ができているのだ。グラフにおける文言を、〈くくりあげ〉つつ、的確にまとめの言葉に置き換えているのも評価が高い。資料を分析して、〈読み取り〉の質を高めるためには、ふだんからの練習が有効だ。練習を重ねよう。

●社会の構成をふまえた分析要
 自分に満足できないでいる若者に注目しながら、その存在への評価を示している。国家や企業などの視点と、個人の内面への視点とを区分することで、自己満足できない若者の可能性に言及しているのだ。社会を構成するフレームを利用することで、「視点」を設定しやすくなる。結論において複合的な視点を尊重することで、総合的な視野を持つ論述となった。


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