来年のセンター試験までまもなく80日を切る。
今までに鍛えてきた基礎力を、志望校の出題傾向により適した“実戦力” へと進化させる時だ。
難関大に合格した先輩たちは過去問をどんなふうに使いこなしていたのか、その生の声を聞いてみよう。
大阪大学 人間科学部 人間科学科 K・Yさん
千葉県立佐倉高校 2015年卒 男子
得意科目:世界史、英語
苦手科目:数学
過去問演習回数(大学・学部別)
センター試験⇒ 10年
大阪大学 人間科学部 人間科学科⇒ 8年
上智大学 総合人間科学部 教育学科⇒ 2年
早稲田大学 人間科学部 健康福祉科学科⇒ 1年
戦略を立てる目的で解く
私立大は11月から、国立大は10月から過去問演習を開始しました。私立大は過去問との相性を見て受験校を決定するため、国立大は個別大模試(オープン、実戦模試)に向けてどの大問から解くかという戦略を立てるためです。
国立大の過去問についてはセンター試験後に本格的に演習することにしていたので、センター試験前に解くのは1年分のみと決めていました。一方、センター試験の過去問は現役時代に10年分解いたので、まだ解いていない公民は4科目すべて10年分解くことにしました。
演習で問題傾向を見極める
演習する中で、大阪大の国語と英語は時間に比して問題量が多いことがわかりました。国立大では珍しく国語と英語に選択問題が多かったです。数学は他大学に比べて年度ごとの難易差が小さく、3問中2問は標準問題で解けそうだと感じました。
センター試験については、数学ⅡBは2次試験並みのレベルになっており、解答が難しいと感じたので、選択問題は数列、ベクトルの2問ではなく、比較的解答しやすいベクトル、確率分布と統計的推測の2問を選択することにしました。わからなかった問題は講師に質問しましたが、平均点やマーク別正答率を見て、本番で解けそうにない問題であれば、解けなくてもあまり気にしすぎないようにしました。
あくまで参考資料として活用
過去問はあくまでも参考資料です。過去問にとらわれ過ぎず、自分が普段使っている問題集を完璧にすることをまず大切にしてください。そして大阪大のように個別大模試がある大学の志望者は、必ずその模試を受けること。模試の問題は演習問題代わりに使えますし、限られた時間と緊張感で解ける貴重なものです。
また、過去問演習時には、本番に近い緊張感を持って解けるように、時間や食事まで本番に合わせると、より本番に近い感覚を味わえます。
[数学]得点の最大化を図る
現役時代に2次試験で大失敗(東北大で200点中 3 点 ) したこと、またセンター試験でも失敗していたこと ( 数学Ⅱ B が 34 点 ) で、いちばん伸びしろが期待できました。大阪大の文系では数学の問題が 3 問しかないので、まったく手のつかない問題があると合格がかなり厳しくなることも力を入れた理由です。
具体的な演習としては、本番同様に時間を計って解き、得点を最大化すべく、わからない問題の見切りのつけ方なども本番と同じようにしました。自分で採点した後、予備校の講評を見て、時間配分が適正だったかを再検討しました。わからなかった問題はきちんと解き直しました。現役時代に先送りにして失敗したので、そうならないように心がけました。また類題を探して解くようにもしました。
過去問演習の計画を立てる
現役生の場合は、過去問を解くための計画を立てることが大切です。時間を気にせず解く人もいますが、初めて解く問題は貴重なので、時間を計って解くようにしてください。
過去問演習を通して、自分ができることは何か、できないことは何かを理解したので、自分らしい戦略で本番に臨むことができました。
模試結果の推移
併願校の合否
この記事は「螢雪時代(2016年11月号)」より転載いたしました。