勉強しているのに成績が伸びない…。
受験勉強にそんな悩みはつきもの。
そこで冷静に自分を見つめ直して原因を見極め、飲み悩みを克服、難関を突破した先輩たちに集まってもらった。
オススメ学習法、逆転合格の決め手、模試の活用術、メンタルなどの金言を紹介しよう。
東京大学 理科二類1年 N・Sさん (石川県立金沢泉丘高校2017年卒)
「部活動を最後までやりきった人のほうが強い」は本当だと思います。
志望校決定時期・・・高2の終わり
受験勉強開始・・・・高3の9月
高校での部活動・・・合唱部(高3の9月に引退)
通塾の有無・・・・・高1の春から
【志望校判定の推移】
志望校:東京大学 理科二類
1学期…D
夏…C
秋…D
入試直前…D
千葉大学 医学部1年 T・Mさん(千葉県・渋谷教育学園幕張高校2016年卒)
「あとで復習しよう」はNG。覚えているうちに繰り返して定着させましょう
志望校決定時期・・・高2の秋
受験勉強開始・・・・高3の6月
高校での部活動・・・陸上部(高3の5月に引退)
通塾の有無・・・・・浪人時1年間(高校時なし)
【志望校判定の推移】(現役時)
志望校:千葉大学 医学部学科
1学期…D
夏…C
秋…C
入試直前…C
筑波大学 芸術専門学群1年 B・Mさん(宮城県立仙台二華高校2016年卒)
甘えや過信は禁物! 合格に必要な到達点は、冷静に見極めましょう
志望校決定時期・・・高3の1学期
受験勉強開始・・・・高3の4月
高校での部活動・・・美術部(高3の4月に引退)
通塾の有無・・・・・なし
【志望校判定の推移】(現役時)
志望校:筑波大学 芸術専門学群
1学期…D
夏…D
秋…D
入試直前…C
東京大学 文科二類1年 T・Tさん (山梨県立甲府南高校2017年卒)
難問の解答を見るだけでは、解けるようにはなりません
苦手こそ基礎を大切に!
志望校決定時期・・・高2の春
受験勉強開始・・・・高3の夏
高校での部活動・・・クイズ研究会(高3の夏に引退)
通塾の有無・・・・・なし
【志望校判定の推移】
志望校:東京大学 文科二類
1学期…D
夏…C
秋…C
入試直前…E
伸び悩みの原因
勉強の成果が、なかなか表れなかった原因は?
T・Tさん
高3の1学期、私は苦手の数学をきちんと勉強していませんでした。放置していたつもりはなかったのですが、いきなり2次の過去問や難関大レベルの演習問題に着手したのです。5分程度考えてもわからず、答えを見て理解したようなつもりになっていました。高2の時から東京大を志望していたので、難度の高い演習をやらなくては、という焦りが強かったように思います。こんな学習では実力が伸びようもないのですが、数学の失点は得意の世界史・日本史で挽回すればよいと軽く考えていました。
B・Mさん
私も同じタイプです。苦手な数学を避け、得意の古文の文章をちょっと読み、2次の実技対策と称してデッサンをして、勉強した気になっていました。センターの配点が低かったこともあり、数学で得点できなくても、自信のあった2次のデッサンなどの実技でカバーできると思っていました。現役時は、特に学習計画を立てることもなく勉強をしていました。だから、苦手な部分から目を背けて、好きな国語ばかり取り組んでいた記憶があります。国語の成績は上がっていったので、それで安心してしまったところが、今思うと良くありませんでした。
N・Sさん
私は夏休みいっぱい、部活動三昧でした。そのため高3の1学期は学習時間が2時間半程度、夏休みも毎日8時間の部活動の後、勉強できるのは4時間程度で、学校と塾の課題を終えるのが精いっぱいでした。私も数学が苦手だったので、短いながら一番時間を割いて勉強していたのですが、公式は覚えているけれど、問題を解けないという状態だったのは、明らかに演習不足だったと思います。数学については、直前までそうした状態が続いていましたが、焦っている暇もなかったので、ひたすら目の前の課題に取り組んでいました。
T・Mさん
私は現役時代、1学期は授業の予復習を欠かさず、夏休みに過去問をやったうえで書き出した課題に取り組みました。しかし繰り返し学習しなかったことが失敗でした。問題集で間違えたものの解答を読み、印をつけるに留めてしまったのです。それによりその問題で新たに得た知識や弱点を、時間とともに忘れてしまい、得点力に結び付けられませんでした。
飛躍の転機
「苦手の放置はダメだ!」と気付いたきっかけは?
T・Tさん
東大模試の数学で、得点が1桁台だった時にはさすがにショックで。得意科目だけでこの穴を埋めるのは難しいと気づいたのです。そこで、数学でせめて1問は解けるようになろうと、秋から基礎を復習し、典型問題の解き方を勉強し始めました。すぐに解答を見るのも止め、自分で考え抜く勉強に変えました。
自分の課題を把握した後、どういった取り組みを?
T・Mさん
私が繰り返し復習することの重要性に気づいたのは、浪人時の6月、合格できなかった理由を分析した時です。現役の時に十分に復習しなかったことから生まれた苦手や弱点を書き出し、徹底的につぶしていきました。「得意でも苦手でもない」という位置づけだった数学でもベクトルや数Ⅲといった現役時代の弱点がそのまま残っている状態だったので、基礎からやり直し、問題を見て「絶対に解ける」とわかる問題もあえて自分の手ですべて解くようにしました。
B・Mさん
私も現役時代、苦手を避けていたので、浪人時にセンター試験本番までにやることを書き出し、学習スケジュールを作りました。数学は中学レベルからの復習に取り組み、同じく苦手だった英語は単語や熟語などの基礎知識を身に付けた後、問題演習をやるという予定を実行してきました。
厳しい判定でも続けられたのは、志望大学への強い想いがあったから?
B・Mさん
私が現役の時と浪人の時で一番変わったのは、志望校に対する意識です。浪人時、改めて美術の分野を学びたいと思いました。そのためにはセンター試験対策をきちんとやって、現役時代の第一志望だった筑波大に行こうという思いを新たにしました。
T・Mさん
美術系の大学・学部も、志望校選びが将来の職業に直結すると思います。医学部もそうで、卒業後は医師か研究者の道に進む人がほとんどでしょう。選択肢を狭めてしまうことにもなりますが、将来就きたい職業がはっきり決まっているならよいと思います。
N・Sさん
私は、高校時はなんとなく「建築関係っていいな」と感じていましたが、今はさまざまな分野を学ぶ中から、自分が専門としてやりたいことを探そうと考えています。私のように高校時に明確にやりたいことが決めきれない人は、幅広い分野に触れることができる大学や学部が合っていると思います。
B・Mさん
おふたりが言う通り、私も「自分がやりたい仕事は何か」と考えた結果です。というのも、現役で合格・入学した地元の教育大学は教職の授業も多く、一番やりたかった美術に関する授業が少ないと感じていました。
仮面浪人することを決め、再受験の費用を自分で出すため大学在学中にアルバイトするうちに、さまざまな仕事や価値観に出合ったことで、美術を学んで仕事に生かしたいと思ったのです。本気で筑波大を目指すようになると、苦手を放置していた現役時代がいかに甘かったかを悟りました。本番まで何をどの程度できるようになっているべきかという、到達点の見極めを誤っていたのです。
T・Tさん
到達点の見極めは大切です。私は前年の合格者最低点を基準にそれを上回るよう、特に2次ではどの問題で何点取るという得点プランを立てました。
伸び悩みを経た、4人の合格の決め手は?
N・Sさん
私が合格できたのは幸運以外の何物でもありませんが(笑)、あきらめずに勉強を続けたことは大きいと思います。9月以降、難関国立大2次対策の補講には、部活動のためそれまでの勉強量が足りていないことを痛感していただけに、必死で授業・補講の予復習をして臨みました。わずかな時間も活用して課題をきちんとこなしたことで、基礎力を充実させることができたのだと思います。
T・Tさん
あきらめないことは本当に大切です。私の本番の得点は、昨年の合格最低点プラス0.3点でした(笑)。「1点でも多く取る!」という意識で勉強を続け、直前期にやっと、苦手の数学の解き方がわかってきました。
T・Mさん
私も受験勉強は継続が大事だと思います。現役時代から浪人まで、2年間頑張り続けたことが、合格につながりました。
B・Mさん
私は教育大に通っていた10月、もう一度受験すること、毎日大学の図書館で勉強することを両親に宣言しました。これによって、甘えてしまいそうになった時も頑張り続けることができたと思います。
受験生へのアドバイス
辛い時はどうやって、乗り切った?
T・Tさん
私は、国公立大の合格体験談で得点が低かった人のものを読み、「この人が合格できたんだから自分もいける!」という自己暗示で、モチベーションを上げていました(笑)。また、志望していた経済系の学部は2次でも苦手の数学が必要なので、友だちから「ムリじゃない?」と言われたことで、「やってやる!」という気持ちが高まりました。
N・Sさん
私も苦手科目に苦しめられ、過去問演習や模試でも、昨年の合格最低点より50点近く低い点しか取れませんでした。しかし夏まで部活動に時間を費やしたため、十分勉強できていないという焦りと、「これで不合格だったら、塾の費用も出してもらった両親に申し訳ない」という思いから、腹をくくって勉強していたという感じです。弱気になっているヒマもありませんでした。
T・Mさん
私は医師になりたいという気持ちが強かったので、モチベーションは常に高かったです。昔から自分に自信が持てなかった私は、自分のためより人のために頑張るほうが向いているタイプでした。医師を選んだのも、人のために働いて、直接、感謝してもらえる職業だと思ったからです。それだけに、浪人決定は「あんなに頑張ったのにもう1年やるのか」と本当に辛く、高校時代の同級生にグチをぶちまけていました(笑)。今思うと、聞いてくれた友だちに感謝の気持ちでいっぱいです。
B・Mさん
私も再受験を決めてから、志望校への気持ちがぶれることはありませんでした。しかし、本格的に勉強し始めた10月以降も、教育大の友だちには再受験することを知られないようにしていたことが、かなりストレスだったのです。家族に八つ当たりしたこともありますが、しっかりと受け止めてくれました。
一喜一憂しがちな模試の判定について、どう思う?
T・Tさん
模試ではC判定以上とったことはありませんでしたが、あまり気にしませんでした。模試結果が返ってくるのは、模試を受験してから1か月以上経っているので、その間にも自分は伸びているはずだからです。
B・Mさん
私も模試の判定は過信しないほうがよいと思います。浪人中、模試をまったく受けていなかった私のように、本番で出願する人が全員受験しているわけではなく、途中で志望校を変える人もいるからです。
T・Mさん
私が一番ショックだった模試判定は、浪人した4月のA判定です。「なんで1か月前の本番でこの力を出せなかったんだ」と落ち込みました。周囲は「A判定だから安心だ」と言いますが、私も判定は気にせず、弱点分析ツールとして活用していました。
T・Tさん
私も模試はしっかり活用すべきだと思います。本番と同じ時間帯に行なわれる模試もあるので、本番のつもりで緊張感を持って受験して、練習しておくのもよいでしょう。
夏休みはどう過ごす? オススメ勉強法とやっておきたいこと
T・Tさん
今の実力と本番までに達したい実力の差を踏まえて、いつまでにどの程度できるようになる必要があるかを逆算してみましょう。どうしても達成できそうにないと感じたら、計画を見直せばよいのです。自分の学習に自信を持ちつつ、冷静に判断することが大切です。
T・Mさん
やらなくちゃいけないことは、誰もがわかっていると思います。そこから逃げないことが大事です。時間のある夏休みに、やるべきことをきちんとやりましょう。
N・Sさん
受験生だからといって、自分にとって必要だと思うことまで、勉強以外はすべて我慢する必要はないと思います。私は部活動がそうでした。それをやったうえで残った時間に精いっぱい勉強しました。これにより、部活動中の10分休憩の間に単語を10個覚えるなど、時間を上手に使うことができたと思います。
B・Mさん
オープンキャンパスも多い夏休みは、志望校について調べたり、考えたりすることで、「行きたい」気持ちを1段階アップさせるのがよいと思います。強い気持ちを持つことで、勉強の密度が変わってくるはずです。
伸び悩みに潰されない!
逆転合格者の提言
・部活動で勉強時間が短い時こそ、わずかな時間を大切にしましょう
(N・Sさん)
・苦手や弱点から逃げずに、一つひとつつぶしていきましょう
(T・Mさん)
・伸び悩みは頑張っている証拠 いっそう効率学習を目指しましょう
(B・Mさん)
・本番当日まで伸びます! 自分を信じて頑張りましょう
(T・Tさん)
この記事は「螢雪時代(2017年7月号)」より転載いたしました。
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