page_top

能力アップの仕組みを解明!【吉田式】受験に勝つ“記憶力&思考力”強化塾

  • 能力アップの仕組みを解明!【吉田式】受験に勝つ“記憶力&思考力”強化塾

大学受験で成功を手にするためには、膨大な数の知識を覚える“記憶力”と、問題の正解を導き出す“思考力”が不可欠。
特に難関大入試のハードル突破を狙うなら、2つの力を最大限高めたいところだ。
本記事では、脳科学や学習医学に精通する吉田たかよし先生に、記憶力&思考力強化のポイントを教えていただいた。

吉田 たかよし先生
《プロフィール》
医学博士・本郷赤門前クリニック院長。東京大学工学部卒。NHKのアナウンサーとして活躍後、医学部に再入学し、東京大学大学院医学博士課程修了。現在、受験生専門の医療機関・本郷赤門前クリニック院長、受験医学研究所所長、学習カウンセリング協会理事長。最新刊『「受験うつ」からわが子を守る本』(洋泉社)ほか、多数の著書を執筆している。

頭の良さは遺伝じゃない! 努力次第で誰でも伸びる

 「頭の良さ」は生まれつきのものなのか。この問いに対して、吉田先生は「NO」と断言する。脳の知的能力は、およそ5割強が遺伝因子、5割弱が環境因子に左右されると言われている。しかし、大学受験で求められる知的能力に関しては、「ほぼ環境により決まる」と吉田先生は言う。だから、「自分は才能がない」「自分の頭はこんなもの」とあきらめる必要はない。ポイントを押さえれば、誰でも難関大に合格できるだけの学力を習得することができるのだ。
 そこで、この記事では、受験生としての頭の良さの基準となる「記憶力」と「思考力」に焦点を当て、科学的な根拠に基づく能力強化の秘訣を探っていく。まずは「記憶」から。

短期記憶で終わらせず、長期記憶にして確実に残す

 記憶には、「短期記憶」と「長期記憶」がある。短期記憶は、情報を頭に入れたとき、脳の「海馬」という部位に一時的に保存される記憶で、最長でも2週間あまりしかもたない。例えば、一夜漬けで覚えた記憶は短期記憶であり、覚えるのも速いが忘れるのも速い。一方、長期記憶は、脳の「大脳新皮質」という部位に長期にわたり保存される記憶で、病気やケガなどで脳の機能が失われない限りは消失しない。ただし、長期記憶のうち思い出せるのはほんの一部だけ。普段必要のない大部分の記憶は意識下に眠っており、認識することはできない。
 定期試験なら短期記憶だけでも乗り越えられるかもしれないが、大学受験ではそうはいかない。覚えるべきことをいかに長期記憶として保存し、いつでも取り出せる状態にしておけるか。それが、成否を分けるのだ。

自分の頭と感情を使って、記憶にインパクトを付加

 短期記憶として脳にインプットされた情報のうち、脳が重要だと判断した情報、つまり、インパクトのある情報のみが長期記憶として保存される。そこで、記憶効率を上げるためのポイントがいくつかある。
 一つは、丸暗記ではなく、考え、理解しながら覚えること。例えば、授業中は板書を丸写しするのではなく、先生の話を要約してメモする、自分なりに図解するなどして、頭を使うことを意識しよう。いわゆる「頭を使っている」状態のときには、脳の「前頭前野」という部位が活性化している。この前頭前野との結び付きが強い情報は長期記憶になりやすく、記憶にタグ付けがされて思い出しやすくもなるのだ。
 次に、無機質に淡々と覚えるのではなく、興味をもったり面白がったりすること。新しい知識に出合ったときに、「へえ、そうなんだ!」、「うわ、すごいな!」と感動したり、いきいきとした感情を伴ったりすると、格段に記憶に残りやすくなる。感情に関わる「扁桃体」という部位が活性化し、それが扁桃体と隣り合う海馬へと伝わり、海馬が刺激されるためだ。インパクトがあるため長期記憶にも残りやすい。感情を付加するために、物質名を擬人化したり、ユニークなゴロを自作したりするのも効果的だ。
 また、一度頭に入れただけでは記憶はどんどん抜け落ちていくので、早めに復習して短期記憶を強化することも重要だ。さらに、短期記憶は寝ている間に長期記憶へと変換・保存されるため、睡眠も大切。就寝前は記憶のゴールデンタイムなので、逃さないようにしよう。

記憶」の仕組み

記憶」の性質を押さえよう!

●短期記憶は、反復により強化される
おすすめ! 授業直後にさっと復習する

考え理解すると、記憶に残りやすい
おすすめ! 自分の言葉で要約する、図解する

感情を伴う記憶は、長期記憶になりやすい
おすすめ! 感動する、興味・関心をもつ

睡眠中に短期記憶→長期記憶に変換される
おすすめ!: 就寝前に1日の総復習をする



解法パターンの自動化で、理数科目の思考力は高まる

 「思考力」というと、「記憶力」とはまったく別の能力のように思えるが、実はそうではない。特に受験数学などで求められる思考力に限って言えば、「思考力=脳が記憶したさまざまな思考パターンを適宜用いて、執行する力」であり、記憶とは密接な関係があるのだ。数学や物理などの問題で解法をパッとひらめいたように感じるのも、何もないところから解法が浮かび上がってくるのではなく、自分が記憶している解法パターンを組み合わせたり応用したりして、解答の道筋を見いだしているのだ。
 こうした力を伸ばすうえで重要になるのが、思考の「自動化」だ。自動化とは、一度パターンを習得すると脳内にプログラムができ、同様の状況になったときに自動的に反応できるようになること。例えば、自転車に一度乗れるようになれば、体の動きやバランスを特に意識することなく乗れるようになる。同様に、数学が苦手な人でも、1桁の計算はパッとできるはずだ。このとき脳では、前頭前野ではなく「大脳基底核」という意識下の処理を司る部位が活動しており、意識しなくても、頭を使わなくても、“自動的に”できてしまうのだ。
 この自動化の範囲を拡大することで、特に理数科目などの問題に対処する論理的思考力を高めることができる。吉田先生が勧める方法は、基本的な解法パターンを用いるシンプルな典型問題を、何度も繰り返し解くこと。できるだけ多くのパターンをインプットし、慣れてきたらどんどんスピードを上げていこう。
 こうして自動化を進めていけば、問題を見てパッと解法が浮かび、スムーズに解き進められるようになる。難しい問題は基本パターンの応用・組み合わせで対処できるので、まずは基本に徹すること。何度やっても自動化できない人は、その前の段階がきちんと自動化できているかを確認しよう。場合によっては、中学レベルの内容まで戻ってやり直す勇気も必要だ。

英語や国語の思考力は、人に教えることで伸びる

 英語や国語おける思考力は、数学・理科とは異なり、脳の機能上では「言語的知性」に相当する。これらの科目は、他者とのコミュニケーションを通して学ぶと伸びやすい。
 吉田先生が特に勧めるのが、「人に教える」こと。例えば、読解問題などは、理由・根拠を明確にしながら答えや結論を導き出すことを意識し、それを友人などに解説してみよう。相手が理解できるように工夫しながら説明することを通して、自分の中でも理解が深まり、論理的・言語的な思考力も高まるのだ。

やる気の低下には要注意!意欲・関心が伸びを決める

 記憶力や思考力を高め、学力を伸ばすための最重要要素として吉田先生が強調するのが、「意欲・関心」だ。意欲が下がると、記憶力も思考力もぐんと低下してしまう。特に思考力は、影響をより強く受けやすい。意欲がなくなると、脳が思考に必要なエネルギーや脳内ホルモンを無駄使いしないよう省エネモードに入ってしまうため、考えなくなってしまうのだ。
 物事に対する興味・関心、好奇心も重要。前に述べたが、感動や感情を伴う情報は記憶に残りやすい。自分が好きなことや興味のあることは覚えられるというのも、同じ理屈だ。実は、好奇心の強弱は遺伝的背景によるところが大きいのだが、好奇心が決して旺盛ではないという人であっても、意識的に高めることは可能だ。勉強するときには、少しおおげさなくらいに感情を込めてみよう。自分の得意なことや好きなことに近づけるのも一つ。例えば、暗記が苦手な理系の人が歴史を勉強する際、いきなり人物名や年号を丸覚えするのではなく、物理のように因果関係に注目して歴史の流れを理解するなど、面白いと感じられる工夫をしてみよう。

思考力強化のポイント

思考回路を「自動化」する

解放パターンの自動化で、スラスラと解けるように

多くの思考パターンを記憶し、執行することが大事。典型問題を”繰り返し・たくさん・速く”解くことで、大脳基底核(意識下)で自動処理できるようになる。


数学や難問は「朝」にやる

論理的思考力が高まる朝は、実力飛躍の大きなチャンス!

起床後の数時間は、脳の前頭前野が活性化しており、高度な論理的思考力が求められる数学や物理などの理数科目の問題、挑戦的な難問などを解くのに適している。

英語・国語は「人」に教える

人とのコミュニケーションで言語的知性を向上させる!

英語や国語の思考力は「言語的知性」にあたるもの。読解問題のポイントをクラスメイトと解説し合うなど、他者とのコミュニケーションを通して学ぶと効果的。

「意欲」が思考力を左右する

意欲や興味を高める工夫で思考力を高めて成果アップ!

意欲は記憶力や思考力に大きく影響する。特に思考力は、意欲が低下すると脳が省エネモードに入って「考えなく」なり、ガタっと落ちる。学習時は意欲をアップ!



ちょっと工夫で効果抜群!
記憶力&思考力を強化する8つのメソッド

学力・学習効率を左右する記憶力と思考力は、ちょっとした工夫でも高めることができる。
ここでは、吉田先生が受験生に強く勧める記憶力&思考力の強化メソッドを紹介する。
「自分は頭が良くない」などと嘆く前に、ぜひ実践して効果を確かめてほしい。

記憶
授業後5分の復習で、短期記憶を強化する

 忘れやすい短期記憶を強化するためには、時間を空けずに復習することが大切。授業後、休み時間になったらすぐ、5分程度で授業内容をざっと振り返り、新しく学んだことを7つ挙げてみよう。やってみるとわかるが、7つ挙げるのはなかなか難しい。脳に記憶はされているものの、思い出せないのだ。何度か繰り返すうちに、授業時に「覚えておこう」という意識が働き、思い出せる数も増えてくる。これを授業後の習慣にしよう。

記憶
寝る前5分の総復習で、記憶を更新する

 脳は睡眠中に記憶の整理を行い、短期記憶のうち重要度の高いものが長期記憶へと変換される。そこで、就寝前の5分間で、その日に勉強したことや覚えたいことをざっと総復習しよう。再度インプットすることで、海馬に一時保存されている短期記憶が強化される。そして、脳が「この情報は重要だ」と認識し、長期記憶に変換されやすくなるのだ。なお、寝る前のスマホは睡眠の質の低下にもつながるので、受験生ならやめておこう。

思考
ハイレベルな問題は、朝早く起きて挑戦する

 脳の前頭前野が最も活性化しているのが、朝起きてからの数時間。朝の時間帯は、高度な論理的思考力が求められる数学や物理などの問題や、自分にとってチャレンジングな問題を解くのに適している。理系の人は特に、早起きをして朝食前に勉強するのがおすすめだ。逆に、午後以降は前頭前野の活性度は落ちていくので、覚えることを中心とした勉強に向いている。1日の脳のバイオリズムをうまく活用して、効率よく勉強しよう。

思考
5分考えてもわからない問題は、答えをチラ見する

 考えてもわからない…という状態が続くと、意欲が低下する(学習性無気力)。5分考えても解法が浮かばなければ、あきらめて解答を見よう。ただし、「チラ見」のみ。ヒントを得て「あ、そうか!」と理解できたら、そこからは自力で解いていこう(いわゆる「アハ体験」。この瞬間、思考力が大きく高まる)。まだわからなければ、もう少し解答を読み進める。この要領で問題に取り組み、最終的にノーヒントで解けるようにしよう。

記憶
覚えたいことを書いたメモを、家じゅうに貼っておく

 記憶は“場所”とセットにすると、覚えやすく思い出しやすい。これは古代ギリシャ時代から言われていることで、認知科学的にも正しいことがわかっている。そこで、覚えたいことを書いたメモを、家の中のいたるところに貼っておこう。心身ともにリラックスできるトイレやお風呂では、副交感神経が優位になり、記憶しやすい状態になる。特に重要なことや覚えにくいことは、トイレやお風呂に貼っておくのがおすすめだ。

思考
頭の回転を上げたい!そんなときは上を向く

 何かを思い出そうとするときや考えごとをするとき、人は自然と上を向くが、これには科学的な理由がある。脳は髄液の中に浮いていて、上を向くことで前頭極(前頭前野の一番前の部分)の圧迫がとれ、思考力が上がるのだ。一方、うつむくのは逆効果。背中を丸めてうつむきながら勉強…では思考力も低下する。また、立ったり歩いたりしながら勉強するのも効果的。脳のメインスイッチ・脳幹網様体が刺激され、脳が活性化する。

記憶思考
五感に刺激のある屋外で勉強する

 屋外では、光や音、風、匂いなどのさまざまな感覚を通した刺激により、脳内のネットワークが強化され、思考力や記憶力が高まる。また、オープンな屋外で勉強することには、脳のストレス軽減というメリットもある。これからの時期は屋外で過ごすのにちょうど良い季節。自分の部屋に閉じこもっていないで、公園を散歩しながら英単語を覚えたり、ベンチに座って問題を解いてみたりと、意識的に外へ出るようにしよう。

記憶思考
行き詰まったら、5秒間だけ遠くを見る

 勉強中はつい近くばかりを見がちだが、「どうも行き詰まった…」と感じたときには、5秒間ほど視線を遠くに向けてみよう。窓から外の景色を眺めるだけでいい。すると、目の焦点を遠くに合わそうと水晶体(レンズ)の厚さを調節する内眼筋が働き、これが思考にも良い影響を与える。「視界が広がると思考も広がる」というのは事実。屋外は視界が広いため、自然と視線が遠くへ向くので、その点でも屋外での勉強はおすすめだ。

この記事は「螢雪時代(2017年6月号)」より転載いたしました。


蛍雪時代

螢雪時代・9月号

国公立大&難関私立大合格!のために読む雑誌

先輩合格者の「合格体験記」、ベテラン予備校講師の「科目別アドバイス」をはじめ、センター試験関連情報 や大学入試の分析&予想など、お役立ち情報満載の月刊誌。志望校・合格へあなたをサポートします。

「螢雪時代」のご案内は、こちら

能力アップの仕組みを解明!【吉田式】受験に勝つ“記憶力&思考力”強化塾 記事一覧

入試・勉強法 記事一覧