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スマホを“受験勉強の味方”にする方法【螢雪時代からの提案】

  • [2017/5/17]

スマートフォン(スマホ)が、高校生の“必須アイテム”と言われて久しい。
豊富な機能で毎日の生活をサポートしてくれるすばらしい道具だが、ネガティブな側面も。
とくに受験生には、受験勉強の足を引っ張るトラブルの種になりかねない。
見方を変えると、情報端末の使い方を考えることは、自分の思考に向き合うことでもある。
そこにうまく向き合うことができたら、スマホを受験戦略の相棒として使いこなしてみよう。

スマホは受験勉強の敵?

封印か、活用か。受験生たちの悩み

 『螢雪時代』の「合格体験記」などに登場してくれる先輩たちに受験生時代のお話を聞くと、スマホの取り扱いについてのエピソードがよく話題に上る。
 受験生としてスマホとどう付き合うか、悩んだ末に“封印”という思い切った手段に出た先輩たちは多い。電源を切ってしまい込む、ガラケーに機種変更する、契約を解除する…人によって方法はいろいろだが、とにかくスマホを触れない環境に自分を置くということだ。
 先輩たちがここまでして避けたかったスマホの弊害は、言うまでもなく、SNSなどへの依存が時間を浪費すること。また、スマホ断ちという“儀式”を決行すること自体が、メンタルの切り替えという効果も生む。このことを振り返った先輩たちによれば、苦しかったけれどやってよかった、という感想も多い。
 一方で、スマホは大学受験においても有用なツールであるという事実もある。たとえば旺文社が運営する大学情報サイト「大学受験パスナビ」は、そのアクセスの大半をスマホからの閲覧が占めている。志望校の入試情報から過去問までもネットで見られる時代、これを活用するか否かは、難しい選択だ。

スマホ依存度チェック

□ スマホを握ったまま寝てしまうことがよくある

□ 家にスマホを置き忘れたら、学校に遅刻してでも取りに帰る

□ 食事、お風呂、トイレと、何をするときもスマホを持っている

□ 気がつくと、そもそも何のためにスマホを手に取ったのか忘れていることがある

□ 何もないのに、スマホに着信があったような錯覚を起こすことがある

□ 友だちに送ったメッセージへの既読や返信が気になって仕方がない

□ 面白いものを見つけると、まずSNSへの写真アップを考えてしまう

□ SNSで流れてきたウワサ話などを、よく確認せず拡散してしまったことがある

情報端末との向き合い方

 今回の記事の目的は、受験対策でのスマホ活用を強く勧めることではない。たとえば、上の表でチェックが3つ以上ついた人。生活がスマホやSNSに半ば“支配”されている状態をいったんリセットし、頭を受験生モードに整理するべきだ。受験を乗り切るうえでの当面のリスクを排除するという意味でも、先輩たちにならってスマホ断ちに挑戦するのが最良の選択と言えるだろう。
 ただ、みなさんが大学に進学して研究に取り組むとき、あるいは社会に出てさまざまな仕事の現場に立つとき、その頃に情報端末の主流がスマートフォンであるかどうかはわからないが、いずれにしてもその時代の機器を取り扱うことになるだろう。そのときに、また「機器に生活を支配される」状態になってしまっては困る。情報機器や情報そのものに対しての向き合い方は、できるだけ早いうちに身につけておきたいものだ。たとえばスマホに対して「これがなくては生きていけない」ではなく「なくても何とかなるが、あったら便利」というくらいのほどよい距離感を保つことができ、かつ情報そのものについて「絶対に正しい」はない、ということが冷静に理解できている人なら、問題ないだろう。
 以下に紹介する活用ポイントを参考に、手のひらの端末を大学受験戦略の頼れる相棒として、ぜひ使いこなしてほしい。



活用① 記憶する

ここからは、スマートフォンやそのアプリがもつ特性を、大学受験戦略や学習のツールとして活用する方法について提案したい。基本的な考え方は、みなさんが手にしている螢雪手帳やノートと同じ。“あったら便利”なその機能が、脳を元気にするサプリメントになるかもしれない。


<学習⇒記録⇒記憶>のサイクルに、もうひと工夫

 記憶の定着は反復にあり―受験勉強を始めてしばらくたったみなさんなら、イヤというほど聞いたお題目だろう。螢雪時代6月号の「記憶するノート術 考えるノート術」で特集している「ノート」も、その目的は同じこと。授業や学習参考書などから吸収した内容をノートの紙面に書き出し、まとめ、改めて読み返す。手、目、耳、口を駆使し、情報の出し入れを繰り返して、記憶は確実に定着していく。
 ところで、スマホなどの情報機器の利点の一つといえば、写真や文章などの情報をかんたんに記録できることと、その記録をかんたんに探し出せる(検索)こと。
 たとえば授業が終わったあと、望ましいのはすぐにノートをまとめることだが、時間の余裕がなければ、授業で習った部分の教科書のページやプリントをスマホで撮影しておく。情報の出し入れに1サイクル加えることで、さらに定着の度合いが増すのだ。

情報の保存と整理に便利なアプリ

 情報管理アプリEvernote(エバーノート)を勉強に活用している人は多い。文章や写真などの情報をまるでメモを取るように記録し、あとから容易に取り出すことを可能にするアプリだが、特筆すべきはOCR機能。これは、写真など画像に含まれている文字の形を文字情報として読み取り、キーワードで検索可能なデータとして保存する機能だ。たとえば上の写真は、『螢雪時代』4月号・特別付録「螢雪手帳」の記入例ページを撮影してEvernoteに保存したもの。手書きの「世界史」の文字が検索にヒットしているのがわかる。
 こうしてノートや教材などの画像を保存しておけば、いつ、何を勉強したかをすぐに思い出せる。記憶を確実に定着させるノートづくりの参考資料に、ぜひ活用したい。
 注意を一つ。こうしたアプリはデータをネット上に保存する以上、情報流出のリスクは皆無ではない。個人情報などの保存は避けよう。


活用②調べる

<ネット⇒裏とり>の調査スタイルを習慣に

 スマホでインターネットにアクセスすることの利点といえば情報を調べるスピードの速さ、というのは今さら言わずもがなだが、そこで得られる情報に不確実なものが少なからず含まれるという事実は、ようやく常識として定着し始めたというところだろうか。
 たとえば志望校の入試内容についてネットで調べたとしよう。そこに掲載されているデータがたとえ誤っていなくても、その時点で大学から発表された内容に変更が加わっている可能性は決してゼロではない。志望校の決定や出願といった重要な局面では、大学が発行する募集要項などの資料にあたって必ず“裏”をとろう。
 この習慣がもたらすのは、情報の確実さだけではない。「記録する」の項で述べたのと同様、同じ情報に対して手を2回動かすことが、記憶を頭に強く刻み込むことにつながるのだ。

調べるという行為から自分を知る

 ネットで調べものをするときに起こりがちなのが「調べっぱなし」。検索結果に出た情報を見ただけで満足してしまい、その場では理解した気がしても、内容が頭に残っていない状態だ。「調べっぱなし」を防ぐための一つの方法が前述の「ネット⇒裏とりスタイル」だが、逆に、ネットでものを調べる行為の利点として覚えておきたいのが「検索履歴」。
 スマホでGoogle検索を使っていると、それまでに検索したキーワードを一覧で見ることができる。また、以下で触れる「勉強垢」でTwitterを使っている人であれば、自分の過去のツイートを振り返ることで、自分が知りたがっていることや気にしていることの傾向をつかむことができる。夏休み前や秋など、学習計画の見直しにかかるタイミングで、「自分の傾向と対策」を把握するための参考として、ネット上に残した自分の足跡をたどるのも一つの手だ。


活用③知らせてもらう

スマホをあなたの"専属マネージャー"にしよう

 『螢雪時代』4月号が発売されてからはや2か月。賢明な読者のみなさんは、特別付録「大学合格 螢雪手帳」を、学習計画や受験戦略の進行管理に大いに活用されていることだろう。
 手帳という道具のすぐれているところは、スケジュール、目標、タスク、あるいは日常のつぶやきなど、雑多な情報を一つの紙面に書き込むことができ、俯瞰的に眺められるということ。スマホにもメモ帳的なアプリはあるが、やはり紙の手帳がもつ自由度にはかなわない。一方、パソコンやスマートフォンといった機械が得意とするのは、情報をその属性ごとに整理し、時系列で自動処理する機能だ。手帳とスマホ、それぞれの得意技を合わせて使うことで、あなたのスケジュール管理は見違えるほど効率的になるだろう。
 たとえば、iPhoneなら「カレンダー」や「リマインダー」、Android端末なら「Googleカレンダー」などのスケジュール管理アプリが標準搭載されている(2017年4月現在)。こうしたアプリに、手帳に書き込んだ情報の中から、学習の完了目標や出願締切日、入学手続日など、スケジュール厳守が必要な情報を書き写しておく。肝心なのは、スケジュールやタスク登録の際、締切日の数日前にアラート(通知)を表示するように設定しておくこと。こうすれば、当日になってあわてずに済む。
 志望合格という目標を達成するまでに、やるべきことは山ほどある。スマホをあなたの専属マネージャーにして、漏れのない進行に役立ててはいかがだろうか。


活用④つながる

「勉強垢」の効能

 Twitterなどのソーシャルメディア利用者の間では、一人のユーザが実名から匿名まで複数のアカウントをもっていくつもの顔を使い分けるのが一般的だという。そのことの是非はさておき、そうしたアカウントの使い方の中で、「勉強垢(=勉強用アカウント)」というものが受験生や資格取得をめざす人たちの間で流行している。
 どうしても孤独な戦いになりがちな受験生生活だが、ソーシャルメディアという場で同じ目標をもった受験生同士がつながり、励まし合うことはモチベーションアップにも効果がありそうだ。また、冒頭で「いくつもの顔を使い分ける」と書いたが、勉強垢の中で“受験生である私”を演じることは、メンタルの切り替えという観点でも有効だ。
 もっとも、受験生生活の中心はあくまで勉強。SNSに生活を支配されないよう、くれぐれも注意しよう。


ロールプレイで難関大を倒せ!

 最近、学習指導者の間では、勉強のやり方にゲーム的な考え方を取り入れることが珍しくなくなっている。前の「勉強垢」の項で“受験生を演じる”ことについて触れたが、それは、ゲーム的な取り組みにも適している。
 例えば英語が得意な受験生なら、数学や国語その他の科目が得意な友だちとグループチャットなどで組んで、過去問や予想問題を攻略してみるという方法。まるで戦士・魔法使い・僧侶などが力を合わせて戦うRPGのパーティのように、お互いの得意分野を教え合いながら課題を解決していくやり方だ。「教える」ことが自分自身の学習定着になるという、王道メソッドにもつながる方法だ。


 ここで取り上げた活用方法は、あくまで受験勉強を快適に進めるためのアイデアの一つ。繰り返しになるが、スマホを受験勉強に活用するか、思い切って封印するかはみなさん次第だ。
 とはいえ、スマホを象徴とする情報通信技術はいまや人々の生活の中に完全に浸透し、その流れはこれから大きく変化しながらも、止まることはないだろう。学問の世界にも、同じことが言える。
 そうした前提に立ちつつも、「機械は人間が使いこなすもの」というスタンスを忘れず、変化を恐れない柔軟さをもって学びに取り組むための参考になれば幸いだ。

この記事は「螢雪時代(2017年6月号)」より転載いたしました。


蛍雪時代

螢雪時代・12月号

国公立大&難関私立大合格!のために読む雑誌

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