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≪読む力+書く力を鍛えよう!≫まず「言いたいこと」を見つけ、自分の意見をまとめよう!「書く、読む力」は後からついてくる

  • “読む力+書く力”を鍛えよう!
  • 駿台予備学校 論文科講師/松井 賢太郎先生

受験生になくてはならないのが、どんな教科でも、問題文や設問を論理的に読み解き、出題者や作者の意図をつかむ「読む力」だ。
また、推薦・AO入試や国公立大2次試験では、小論文や記述式など「書く力」を問われることが多い。
でも、どちらもすぐには身に付かない。受験勉強がスタートしたばかりの今だからできる、「読む力+書く力」アップに効く基礎トレーニング法を、高校や予備校の先生が伝授する!

「書けるようになりたい」人に贈る、2つのメッセージ

 私の授業では「実際に書いてみること」を重視しています。「小論文の書き方を教えてください」という受験生はたくさんいますが、残念ながら多くの場合、それは「上手な文章を書くための“マニュアル”がほしい」ということを意味しているようです。そんな人に、次のようなメッセージを贈りたいと思います。

(1)マニュアルだけでは小論文は書けない

 結論から言えば、マニュアルだけでは小論文は書けません。
 いわゆる“マニュアル”は、「自分の意見を述べる→その根拠を述べる→立場の異なる人からの反論を想定し、それに対する反論」という、小論文の基本的な「作法」です。もちろん、これを知らなければ、自己主張し、説得する「対話」としての小論文が成り立たないのですが、肝心なのは主張すべき「中身」です。いくら「作法」を教わっても、「言いたいこと」がない人には小論文の答案は書けません。

 大学側は小論文を課すことで、受験生が専門分野にきちんと関心を持っているか、幅広く社会的関心があるかどうか、そして現代社会が抱える問題を見つけ出し、自分なりにどう解決策を導き出すかを見ています。
 しかも、出題されるテーマは、多くの場合、「賛成か反対か世の中の人々の意見が分かれ、解決策の見つかっていない問題」です。つまり、大学側は「マニュアルに頼らない判断力」を求めているのです。

(2)「言いたいこと」を見つけるのが大事

 まずは、「中身」を充実させることが先決です。そのためには、何のために大学へ行くのか、自分は何に関心があるのか…など、志望理由書を作成するつもりで考えてみましょう。それが「自分の言いたいこと」を見つける第一歩となります。

 学校の作文が得意で、基本的な文章能力が高くても、自分の「言いたいこと」がないために小論文で苦戦する受験生はけっこういます。逆に「言いたいことはあるが、書けない」人はあまりいませんし、いても書き慣れるうちに解決していきます。「何のために大学へ行くのか」を書く作業は、自分を見つめ直すことでもあります。ここで、自分の進むべき方向がわかり、それに理由をつけて説明できるようになれば、基本的な準備はひとまず完了です。

 大事なのは、日頃から社会について関心を持ち、きちんと考えているかであり、最低限それが伝われば、上手な文章、美しい文章は必ずしも必要ありません。「自分の言いたいこと」を主張することに慣れてくれば、そのために必要な文章の構造がわかってくるので、「書く力」は自然についてきます。そして、課題文や問題文の論理的な構造も同じであることが見えてくるので、「読む力」も身につくはずです。

言いたいことが書けるようになるための「3つの提案」

 以上の2つのメッセージを踏まえ、「言いたいこと」を書く力をつけるための基礎訓練として、皆さんに3つの提案をしたいと思います。

提案①自分が将来、どんな職業につきたいか、文章にまとめてみよう

 メッセージ(2)で述べた通り、志望理由書を書くつもりで、自分が将来どんな職業につきたいか、文章にまとめてみましょう。

やってみたい職業→その理由→何を実現したいか、社会にどう貢献するか→そのために大学で何をどう学ぶか

という順序で項目を立て、インターネットで調べたり、先生や家族の方に質問したりしながら、まずは箇条書きやメモ書きでいいので、少しずつ書きためていきます。まとまった段階で、500字程度の説明文を書くのです。

 将来のビジョンが明確になれば、おのずから社会に対する関心が強まり、「自分の言いたいこと」が見つかるようになります。
 この作業は、社会現象を他人事でなく、自分の問題として引きつけて考える力を養うことにもつながるのです。

提案②与えられたテーマについて調べてみよう

 先生に頼んでテーマを設定してもらい、自分で調べるトレーニングをお勧めします。
 例えば、ここでは基礎練習として、「子どもの人権」に関する、こんなテーマについて調べてみてはどうでしょうか。

 多国籍企業が、安価な労働力を求めて発展途上国に進出した結果、大人だけでなく子どもまでが、低賃金で過酷な労働に従事させられている実態が報道され、問題になりました。こうした、国際条約(子どもの権利条約など)で禁止されているにも関わらず「児童労働」が横行し、教育を受ける権利など子どもの人権が侵害されている問題を解決するため、「誰が何をすることができるか」を考えてみてください。
 インターネットや書籍などを使って調べ、箇条書きでよいからまとめてみましょう。ふだん検索しないテーマを検索することで、「フェアトレード、NPO、不買運動…」といったキーワードに触れ、興味の対象が広がるとともに、社会問題を自分にも密接に関わる問題として捉えることができるようになります。

 このような作業を通じて、自分で調べ、考えをまとめることに慣れてくれば、小論文で使える、自分の主張を裏付ける知識を増やすことができるようになります。

提案③友だちと一緒に、問題発見・解決の練習をしてみよう

 また、次のようなテーマで、友だちと一緒に、調べたり話し合ったりしながら、問題を発見したり、解決法を考えたりするトレーニングをしてみましょう。

 慶應義塾大-経済で、2008年に出題された論文試験の問題です。その概略は、閉園の危機に陥っていた北海道の旭山動物園で、飼育係がアイディアを出し合い、試行錯誤した結果、「行動展示(動物それぞれに最も特徴的な能力を発揮できる飼育環境を人工的に用意)」「ワンポイントガイド(飼育係が担当する動物の、ふだん見られない生態などの説明を行う)」といった、見せ方を工夫する対策により、全国でも有数の人気動物園に再生した事例を読み、①それぞれの対策の問題点を指摘しなさい、②問題点の解決も含め、あなたが考える新しい動物園を提案しなさい、というものです(各300字)。

 ヒントになるのが、課題文中に出てくる、動物園の4つの役割(レクリエーションの場、教育の場、自然保護の場、調査・研究の場)です。「動物園の本来の役割をはたすのに、これだけでは不十分なのではないか、こういう工夫もできるのではないか」などと考えてみてください。理想と現実のギャップに気がつくことが、解決するべき問題の発見につながるのです。

ここがPOINT

●大学が見たいのは「問題発見・解決力」
●「言いたいこと」を見つけよう!
●「調べ学習」で関心の幅を広げよう

この記事は「螢雪時代(2017年6月号)」より転載いたしました。


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