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≪読む力+書く力を鍛えよう!≫文章のレントゲン写真を撮り、「構造化」することで、論理的な読解力を身につける

  • “読む力+書く力”を鍛えよう!
  • 滋賀県立草津東高等学校 国語科教諭・進路指導課長/堀 浩司先生

受験生になくてはならないのが、どんな教科でも、問題文や設問を論理的に読み解き、出題者や作者の意図をつかむ「読む力」だ。
また、推薦・AO入試や国公立大2次試験では、小論文や記述式など「書く力」を問われることが多い。
でも、どちらもすぐには身に付かない。受験勉強がスタートしたばかりの今だからできる、「読む力+書く力」アップに効く基礎トレーニング法を、高校や予備校の先生が伝授する!

熟練X線技師のように…

 100行の文章を、最初から最後の行まで同じようにウエイトをかけて読むのは、初心者がビデオカメラを構えて頭のてっぺんから爪先まで撮影するようなもの。全体像をつかめないばかりか、どこにピントを合わせるべきかわからないまま撮影しているので、注目すべき箇所が明確になりません。マーキングをすることなく漫然と文章を読み、全体の構造を意識せずに読む人の読み方です。
 一方、100行の文章にX線を照射して骨だけを浮かび上がらせたレントゲン写真にすれば、全体像が見え、注目すべき箇所は何行目と何行目…とはっきりしてきます。

 文章全体の骨組みが分かれば(初読で文章の構造化ができれば)、今度はCTスキャンをかける感覚で文章を精読することで、自ずと筆者の主張が見えてきます。
 上手なレントゲン写真の撮り方、つまり文章の構造化のためには…。

抽象と具体を分ける

 「かごの中にたくさんの(A)果物がある。ミカンが〇個(a1)、リンゴが〇個(a2)、梨が〇個(a3)…」。a1・a2・a3(具体)は分かりやすいですが、大事なのはA(抽象)です。
 筆者は果物がたくさんあることを主張したいわけです。文章の中で、削ぎ落してもよい肉付けの部分(=具体)と、削ることができない骨の部分(=抽象)に分ける意識を持ちましょう。具体例はカッコで括って目立たないようにしてしまうとよいでしょう。

接続詞に着目する

 文と文のつながりは、大きく分けると次の4種類です。

①A → B 順接 「だから」「従って」等
②A ⇔ B 逆接 「しかし」「だが」等
③A = A’言い換え 「つまり」「すなわち」等
④A & B 並列 「また」「あるいは」等


 このうち注目すべきは、②逆接③言い換えです。②のB③のA’’に重いウエイトをかけて読みましょう。

 日本語の習性として、本音は最後に出てきます。「私の彼、カッコいいの。成績も優秀でセンスも良くて優しいの。でも、ちょっと変な趣味があるの…」「何? 変な趣味って?」となりますよね? 建前や差しさわりのない話題の後、「でも」という逆接語を用いて本音が述べられるわけです。「逆接語の後に筆者の言いたいことが書かれている」と心得て、Bに注目しましょう。「③言い換え」の接続詞の後も重要です。大事であればあるほど、筆者は自分の言いたいことを、何としても伝えようとします。「AつまりA’すなわちA’’、例えばa1あるいはa2、言い換えればA’’’」というように、手を変え品を変え、何度も読者に訴えかけてきます。A’がAよりも難しければ言い換えた意味がありませんから、後ろへたどっていくほどわかりやすくなるはずです。A’さえわかればAはわからなくても、全体の文意はつかめるわけです。

 自分が文章を書く際も、接続詞の働きを意識することで文章はかなり論理的になります。論理的文章を書けない人は、語感に頼って感覚的に接続詞を用います。「接続詞は、いとおしむように用いよ」を格言としましょう。

筆者の「重要サイン」を見逃さない

 「文章を読む際にはマーキングをしなさい。本文が汚れてくれば、頭の中はクリアになっていく。本文をきれいなままにしておくような横着な読み方はダメ!」と指示すると、「ココなんとなく重要っぽい。ココ大事な気がする…」と、なんとも頼りない感覚で線を引く人が見られます。
 大事な箇所には筆者の“重要サイン”が出ているので、そこにマーキングをするトレーニングをしましょう。筆者の“重要サイン”とは…

(1)目立たせ系
 ÒÒ(アクセント)、「〇〇」(引用ではないのにカギかっこがついている)など。注目すべきキーワードに筆者が記号を付しています。

(2)重要系
「…が重要だ」「大切なのは…」「…が必要不可欠だ」「問題は…」
など。筆者がはっきりと重要だと明示していたり、問題視したりしている箇所にすかさず太い線を引きましょう。

(3)根っこ系
「根本」「根源」「原則」「基本」「本質」「前提」
など。このような語句は、筆者の立ち位置を示しています。筆者は、ここに軸足を置きつつ、いろいろなこと(枝や葉)を述べて主張(花)を伝えようとするわけですから、「根っこ」の部分が大事なのは当然です。

(4)MAX系
「最も」「一番の」「真の」「究極の」
など。筆者の頭の中では最高ランクの事が述べられる部分に注目しましょう。

(5)顔出し系
「…と考えられる」「…ではないだろうか」「思うに…」
など。評論家は、ふだんは冷静に文章の後ろに控えているものですが、時にはストレートに、あるいはがむしゃらに、自己の主張を述べるため、顔を前に出してきます。筆者が“顔出し”している場所にもマーキングしましょう。「具体例を読み流し、接続詞に注目し、筆者の“重要サイン”をチェックしながら読む」ことで、骨として重く読むべき箇所と、肉や脂肪として軽く読む箇所を区別できます。必要なウエイトをかけながら読み、文章を構造化することが論理的読解の第一歩です。

ナンバリングとラベリング

 構造化を試みながら文章を読むことは、論理的に話したり書いたりすることにもつながります。「論理」とは、論の道筋です。「この人の話、分かりづらい」という時は、話に脈絡がなく、たどるべき道筋がはっきりしないから、聞いている人は迷ってしまうわけです。ロードマップを示せば、聞いている人は安心できます。「Aです。あと…B」はNG。「第一にA。第二にB」とナンバリングする癖をつけましょう。
 ナンバリングが終わったら、ラベリングをします。「このボトルに入っているものはA、このボトルはB」とラベルを貼る感覚です。ボトルの数と内容物を明らかにしてから中身の説明をしていくわけです。ナンバリングとラベリングが格好のナビゲーションになってくれます。

対義語や類義語を意識する!

 例えば「文化的相対主義」と言われてピンとこない人は、「相対」という言葉の辞書的意味は知っていても、言葉のニュアンスをつかみ切れていない人です。「相対」の対義語が「絶対」だと知っていれば、「自分たちの文化が絶対的ではないってことかな」と見当がつきます。A の意味がピンとこなくても、「Bではない」「A’」と言われると意味を察することができます。一つの語句は点ですが、点と点がつながれば線になります。線と線のつながりが言葉のネットワークになっていきます。ネットの破れをなくし、密にしていくことで理解力が向上します。ふだんから、対義語や類義語を用いて言葉の言い換えをするトレーニングをするといいでしょう。

ここがPOINT

●文章の構造を常に意識しよう!
●接続詞や重要サインに注目!
●論理的な読解で「書く力」もアップ!

この記事は「螢雪時代(2017年6月号)」より転載いたしました。


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