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TVドラマで注目度急上昇! 診療放射線技師の仕事を知る

診療放射線技師の仕事について

診療放射線技師とは

 医師・歯科医師を除き、医療の現場で放射線を扱える唯一の職種が診療放射線技師。検査室や手術室で行われる画像検査に加えて放射線治療にも携わる、放射線医療のプロフェッショナルとして、医療機関には欠かせない存在だ。
 主な仕事は、検査室や手術室で、単純X線やCT・MRI、血管造影などさまざまな方法によって、患者さんの臓器や病変の撮影を行い、診断用の画像を作成することだ。現在の撮影機器は、技術の進化によって高度化しており、放射線に関する知識や機器の取り扱い方法だけではなく、コンピュータ技術にも高いスキルが求められる。さらに、診断に役立つ画像を撮影するためには、人体の仕組みや解剖学的な知識も備えていなくてはならない。
 また、放射線を使った治療も、診療放射線技師ならではの仕事。がんに対する外科治療(手術)、薬物療法(抗がん剤など)とともに、がん治療の3本柱として放射線療法を担う重要な役割を果たしている。

医療の進化に伴い、画像診断への期待がさらに高まる

 医療の領域では、さまざまな検査方法や治療法が次々と開発されている。なかでも、画像診断の領域はここ30年の発展が目覚ましい。コンピュータ技術の進化も反映して、以前はモノクロ平面画像でしか捉えることができなかった人体の中の様子が、撮影画像をもとに精密な3D画像で表示することができるようになった。医師が診断・処置をしやすいように撮影画像を処理することも仕事のひとつ。さらに血管造影による3D画像は、手術前の頭の血管、心筋梗塞を起こした心臓の血管、足の血管など、医師が治療を行うために必要な判断材料として、診断・治療に大きく貢献する。こうした画像を用いる診断は、病気の早期発見にもつながり、現代の医療では必要不可欠な手法となっている。

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(京都医療科学大学提供)

検査だけでなく「治療」に携わるのも強み

 放射線療法は、患者さんの体への負担が少ない治療法として、今後、さらに普及することが期待されている。放射線療法は手術と同じく、がんとその周辺のみを治療する局所治療だが、悪性腫瘍や臓器を摘出しなくてすむため、術後の回復が早く、日常生活への影響も小さい。放射線が、がん治療の手段として使われ始めてから100年以上が経っているが、放射線治療機器の技術開発に加え、放射線が人間の体にどう働くかといった放射線生物学やコンピュータ技術が発達し、近年、治療技術が急速に進歩した。さらに、がん組織にのみに放射線を照射できるようになったことで、より治療効果が高くなっている。
 このように、悪性腫瘍に対して、高エネルギーX線や電子線を照射し、治療や疼痛緩和を行う放射線治療は、診療放射線技師が主体となって行う。経験を積んで、医学物理士(放射線医学における物理的および技術的課題の解決に先導的役割を担う者で、医学物理士認定機構が実施する医学物理士認定試験および認定審査に合格した者)を取得すれば、医師が行う治療計画を立案することができ、医療現場の前線に立つことも可能だ。

扱う医療機器は多種多様

 画像診断や治療に使う医療機器は多種多様で、その目的もさまざまだ。一般的な健診で行う胸部・腹部のX線検査や、症状の原因を調べるためのCTやMRIによる検査、血管の中にワイヤーを入れながら治療も行う血管造影、がん治療に使用する放射線治療装置など、その機能も多岐にわたる。

[一般(X線)撮影]


 レントゲン検査として知られている一般(X線)は、専用のスペースで胸部・腹部を撮影する据え置き型装置や、病室でも撮影ができるポータブル撮影装置、歯科用撮影装置などで撮影する。乳がん検査に使用されるマンモグラフィーもX線撮影装置。簡単に撮影しているように見えるが、診断・治療に役立つ画像を撮影するためには、人体解剖の理解や、疾患に対する知識が必要となる。

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(京都医療科学大学提供)

[CT]


全身の検査が可能で、健診から経過観察、救急医療まで幅広い分野の検査が行える。X線を360度から照射し、人体の内部構造を断層像(輪切り)として表示する機器で、本体はドーナツ型をしている。短時間での検査が可能で、それでいて多くの情報を得られることから、現在、医療の現場で頻繁に用いられている。近年の最新装置では時間軸も加わった4DCTや低い被ばく線量で画像が取得できる装置。X線撮影と同様、人体解剖の理解や、疾患に対する知識を駆使して撮影を行う。また、断層像をもとに3D画像を作成するスキルも、診療放射線技師に求められる。

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(京都医療科学大学提供)

[MRI]


 磁気共鳴の原理を使った、放射線被ばくがない検査。全身の検査が可能だが、特に軟部組織や筋肉・骨の微細な構造や変化を捉えられるのが特徴。撮影プロトコルの微調整が可能で、技師のスキルが画像に顕著に表れる。

[核医学検査]


 RI(放射性同位元素)を使用した検査。放射線(γ線)を放出する物質を体内に入れて特殊な動態を示す物質に結合させ、その動きを調べることによって、血流状態や代謝機能などを観察する。

[血管造影]


 ガイドワイヤーやカテーテルといった器具を血管に入れて、目的部位にもっていき、冠動脈(心臓の血管)や脳血管の再建術、腹腔内出血の止血、動脈瘤の手術を行う医師の補助を行う。血管内のワイヤーの位置をリアルタイムの映像で確認しながら観察・治療を行うため、撮影を担当する診療放射線技師にも高いスキルが求められる。

[放射線治療]


 放射線治療は、体の外から放射線をあてる「外部照射」と、体の内側から、がんやその周辺に放射線をあてる「内部照射」に分けられ、両方を組み合わせて行うこともある。診療放射線技師は、医師が作成した治療計画の検証を行い、安全かつ正確に照射を行う。また、治療装置の品質維持のため、精度管理や点検・保守も担当する。最近、放射線治療装置の進化は目覚ましく、さまざまな機能を持つ装置が登場している。悪性腫瘍の形状や位置を正確に把握した上で、角度や強度を詳細に設定した照射も可能になっている。

チーム医療の一員として貢献

 医療の現場でチーム医療が推進されている現在、診療放射線技師もチーム一員としての活躍が期待されている。診断に必要な医療画像を的確に撮影・検査する、がん治療で放射線治療を行う、医療機器のメンテナンスといった、本来の業務に加えて、電子カルテなどIT化に対応するためのIT知識を発揮し、医師をはじめ、さまざまな医療スタッフと患者さんの情報を共有しながら、患者さんに最適な医療を提供していく。
 また、放射線の被ばく管理も診療放射線技師の重要な役割。放射線を取り扱うエキスパートとして被ばく管理を行う。医師や看護師、その他の医療スタッフ、そして患者さんの被ばくをいかに少なくすることができるかが課題となり、診療放射線技師の専門知識とスキルが生かされる。

豆知識

放射線を使った画像診断機器の軌跡


 現在の放射線画像診断の基礎となるX線(エックス線)は、1895年、ドイツの物理学者レントゲン博士によって発見。真空放電の実験を行っていた際、物を突き抜ける光線のようなものを発見し、そこに手を重ねてみると骨の形がよく見えたことから、未知の光線という意味で「X線」と名づけられた。この発見が医学の分野で応用され、体の中でおきているさまざまな病変を、体の外から診断する(診る)ことの研究が盛んに行われるようになった。
 さらに、X線を利用しつつも、その受け側をフィルムではなく、X線検出器とし、コンピュータによる計算で画像を作るのがCTだ。Computed Tomography(コンピュータ断層撮影)の略で、1967年にイギリスで開発され、全世界に普及した。


電磁波を利用したMRI


 MRIの登場は、物理学、生理学、医学など多くの研究者が磁気を使って物質の性質を明らかにする研究を行い、その原理と測定方法を解明できたことが大きな要因。1971年、アメリカのダマディアン氏が電磁波で腫瘍の良性、悪性の鑑別を行えることを明らかにし、その後、1972年にアメリカのロウターバー氏がMRIの画像化に初めて成功。以降、多くの科学者、医学者が研鑽を重ね、1990年代に MRI のハードウェア技術が急速に進歩し、臨床の場で実用化がスタート。登場から十数年で、MRIは医療現場に欠かせない存在となった。


血管撮影検査


 カテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入して、目的の血管に造影剤(血管を映し出すための薬剤)を流しながらX線撮影する検査。最近では、血管を観察するだけではなく、カテーテルを用いて治療を行う。これを、血管内治療(IVR:interventional radiology)といい、狭くなった血管を広げたり、破裂する恐れのある動脈瘤(血管のコブ)に血液が流れ込まないようにしたり、出血している血管やがん組織に栄養を与える血管などを塞栓させることが可能。