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【保護者の方へ】複数の大学を受験する場合の『併願作戦』

  • サブロー先生の進路指導室
  • [2018/10/3]

 こんにちは、パスナビ進路指導室長のサブローです。10月に入り、ご家庭では、これまでの模試結果等を参考にそろそろ具体的に志望校の検討に入る頃でしょう。そして11月にはいよいよ最終の三者面談が始まる時期となります。その面談の前までには、ご家庭の考え方を一致させておくことが必要となります。そこで今回は、複数の大学を受験する場合の確認事項や注意点などを『併願作戦』と題してお送りします。

 …と、ここまでは例年と同じ書き出しなのですが、私は昨年度3学年主任として卒業生を出し、彼らがどれほど厳しい入試を経験したかその実態と来年に向けての対策を皆様にお伝えしたいのです。ぜひ参考にしてください。

緊急告知 <補欠合格を期待しつつ、止まらない受験料出費!>

 保護者の方々もすでにご存じとは思いますが、各私立大学が「入学定員の厳格化」により、一昨年度より徐々に合格者を絞り込み、その代わりに補欠を多く出すという傾向が強くなり、2018年の入試においてはさらに拍車がかかって、受験生本人にとって、(費用の面では保護者にとっても)大変厳しい入試となりました。
 その一例を挙げますと・・・ 各大学(レベルは関係ありません)が例年以上に補欠を出したのは定員割れを防ぐためです。多くの大学はその補欠の繰上げ発表を、たとえば2月下旬 3月上旬 3月下旬というように3回に分けて発表しました。補欠となった受験生にとっては、仮にその大学が第1や第2志望だとすると、その3月下旬まで一縷の望みを胸に待つのですが、合格通知が届く保証はないので、受けられる大学があれば止め処もなく受験してしまい、そのたびに受験料が発生してしまうのです。
 さらに厳しい例を挙げますと・・・ 3月の入試ではわずかな定員に多くに受験生が集まってしまい数十倍の倍率となり、本来ならば合格を絶対にもらえる大学なのに不合格になってしまったという例はあとを絶ちませんでした。実は短大でもそのようなことが起こっていたのです。本当に信じられません!
 最終的に繰り上げの合格通知が来れば本人は大喜びですが(家計は火の車です)、結局通知が来なかった場合には、予備校に行くか、第○志望の大学に行くか、またはその大学を蹴って予備校に行くという選択肢しかありませんでした。浪人生が全国的に増加したのはこれが原因になっているのです。

<来年の併願校決定に向けてのアドバイス>

 2018年9月18日に、「文部科学省は、私立大学の入試で入学定員を一人でも超えた場合、2019年度から超過人数に応じて助成金を減額するとした罰則強化策の導入を当面見送ると決め、19日にも各大学に通知」という報道が新聞やテレビでなされました。
 文部科学省は従来、「入学辞退者を見越し、合格者を多めに出してきた」弊害を抑制するために、国から私立大学に交付する助成金の“不交付基準”を厳格化して、2016年度は117%、2017年度は114%、2018年度は110%を超えた合格者を出した場合に、助成金を減額する…という罰則を設け、『2019年度は100%を超えた場合(定員を1名でも超えた場合)、超過人数に応じて助成金を減額する』としていたわけですが、2019年度の入試では、この罰則強化策は実施されないことになります。

 文部科学省が「大学への新たなペナルティの導入を見送る」こととなり、今度の入試に挑む受験生は「少し気が楽」となったと思いますが、今春と同様の定員規制が残るのは事実なので、影響は一部の大学に限られるかと思います。
 従って、2019年の入試でも(2018年の入試と)ほとんど変わらないようなことが起きても不思議ではありませんので、アドバイスとしては本人が納得して進学できる大学から早めに合格通知をもらうことが先決です。それも2月初旬です。あとになればなるほど倍率が厳しくなるからです。そして第1・2志望に全力を注いでください。

 それでは次に一般的な併願作戦について説明いたします。基本的には以下の内容を良くご理解いただいた上で併願校を決めていただくのですが、上記の「2月初旬に合格通知をもらえる納得できる大学」を必ず加えてください。

第一志望を諦めてはいけない

 第一志望は決まっているでしょうか? 「現状の成績からでは到底無理!」であっても、絶対に第一志望を諦めさせないでください! その第一志望への熱い思いがあり、努力を重ねているのであれば、不可能はありません。たとえE判定でも応援を続けて下さい。(E判定は19%以下の合格率と言われていますが、0%ではなく10人受験すれば1.9人は合格する…と考えましょう)。もしも第一志望を諦めてしまった場合には、受験に対するモチベーションは下がるばかりでなく、第2・第3志望も危うくなる心配があるからです。後ほどお話しますが、確実な安全校(合格確保)を押さえにすることで、あくまでも第一志望合格にこだわり、勉強に励んでほしいものです。

受験科目を揃える

 お子様の学部・学科の志望が統一されていても、大学によっては選択科目が異なる場合があります。そのため併願校を決める際には、受験科目は「第一志望の大学に合わせる」のが基本です。よく問題になるのが『国語』です。大学によっては、「古文・漢文を除いた現代文のみ」とか、「漢文だけを除いた現代文・古文」ということがよくあります。たとえば第3志望だけに古文・漢文が入っているような場合には、負担が増えますので、第一志望の国語の受験科目に合わせた方が、効率的な勉強ができます。またここ数年で、『地歴・公民』からの選択が課されている場合に、地理では受験できない(日本史・世界史・及び公民の中からの選択しか認められない)大学が増える傾向にあるので要注意です。
 また、国公立と私立を併願する場合、たとえば私立大をセンター3教科で受験する時には、特に首都圏の中堅~難関大のボーダーラインは、80%~90%以上(来年度はさらに厳しい予想)となるのが普通です。不安な場合にはそのリスクを回避する方法があります。今では4・5教科受験を用意している大学も増えていて、基本的には国公立志望者が中心に受験するので、3教科受験よりも倍率が低くなる可能性があります(あまり変わらない大学もあります)。国公私立併願の場合には、それぞれの受験科目をどうするかを話題にしてみてください。


併願する大学数

 1月末から開始される一般入試を受験する場合には、「第一志望の大学しか入学したくないので一つしか受験しません。」というケースは稀にあるかもしれませんが、他大学も併願をするというのが基本的な考え方です。また数はどれくらいが妥当かは、各家庭での考え方もありますのではっきりとした数字を言うことはできませんが、うちの高校の例を紹介しましょう。記念受験も含めて15前後出願する生徒もいますが、それほど多くはありません。平均すると5~7ですが、ここ数年で割引制度が充実してきているので、以前に比べて10近く受験する生徒は増えてきています。

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 併願パターンを決める上で最も大切なことは、難易度の幅を持たせることです。もちろん「このレベルの大学しか行きたくない!」といって超難関大学のみ受験というのも、ご家庭がOKならば何も言いませんが、基本的には上記の表のように3つのレベルでそれぞれ大学を決めていくのが一般的です。
 「標準型」が基本で、それにセンター利用をプラスしたものが「センター併用型」、進学したい大学がハッキリしている場合には「省エネ型」がお勧めです。

一般入試とセンター利用の併用をどのようにしたら良いか?

 保護者の中には、一般受験とセンター利用の受験料を見て、センター利用のほうが安いので「全てセンター利用で受験しなさい!」と言う方がいらっしゃいます。もちろんセンター試験で90%以上取れる自信があれば問題ありませんが、先ほども触れました通りに、難関大学はもちろんのこと、中堅大学でもボーダーラインが80%以上(来年度はさらに厳しい予想)となることが多いので、万が一得点できなかった場合には大変なことになります。うまく一般入試との併用を検討してください。それでは上記の「センター併用型」を使ってモデルプランを示しますので参考にして下さい。

 第一志望<一般・センター>:
 やはり第一志望なので全ての受験方式で受験するのが基本。大学によって「全学部入試」もあれば受験してもよいと思います。

 実力相応<一般>:
 ここは基本的に一般のみで良いですが、センターに自信がある場合は、センター利用にすれば受験料を抑えられます。

 安全確保<一般・センター>:
 レベルにもよりますがセンターでボーダーラインに届くようでしたらセンター利用だけでも可、心配ならば一般で、安全策ならば両方出してもよいでしょう。

学内併願

 上記の併願パターンは、基本的には別々の大学を指していますが、同じ大学内での併願というのもあり、「学内併願」と呼ばれています。この言葉を聞くと「エッ、一つの大学で併願?」と思われるかもしれませんね。将来構想ができていない点が、どちらかと言うとデメリットかもしれませんが、○○大学で学生生活を送りたい強い気持ちを持っているならば、それはまさに充実したものになり、在学中に将来のことも決められるようになるでしょう。受験におけるメリットもあります。それは大学により様々ですが、一つの大学内での入試問題傾向が異なる大学と、似ている大学があるのです。後者の場合には大変有利ですよね。また、学内併願で受験料の割引を実施している大学もあります。これは受験費用の軽減にはメリットになりますね。「学内併願」の発展型ともいえる「全学部統一入試」については次項で説明します。

全学部入試

 学内併願の発展型である「全学部入試(名称は大学によってさまざま)」《同一大学内のほとんどの学部で一本化した入試≫を行う大学も多くなっています。この場合は、複数学部(学科)を一回の受験で済ますことができ、受験料の割引もあります。ただし気をつけていただきたい点が一つあります。それは「全学部入試」の募集人数は「一般入試」の募集人数よりも少ない傾向にあり、センター利用の募集人数に近い大学が多いです。ということは、倍率がアップするのではという心配がありますね。しかし数年前はその傾向が強かったのですが、最近は合格者も多く出している大学が多いので、「一般受験」「センター利用」「全学部入試」共に倍率に差がない大学が増えています。受験を考える場合には、必ず過去数年分の倍率をチェックしてください。

受験日程

 合格確保のための安全校から受験して、最後に第一志望を受験とうまく行けば良いですが、うまく行かない場合もあります。しかし最も重要視する点は、合格発表日のあと何日後に手続き〆切があるかです。具体的に下の表をご覧ください。表の大学は、上から志望順とします。

 それでは問題です。『4大学すべて合格した場合は、どの大学に費用を払わなければならないでしょうか?』

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 答え:C大学とA大学です。
 解説:C大学の〆切りは一番早いので費用を払います。でもD大学には不要。そしてB大学の次の日にA大学の発表なのでB大学の〆切りには費用は払わず、A大学に費用を払います。

 次の問題です。『A大学にだけ費用を払う場合の受験結果にどうなるでしょう?(A大学だけ合格は除く)』
 答え:C大学に不合格。B大学発表と同じ日なのでD大学は合格でも不合格でも良い。B大学合格でもA大学に合格すれば費用は払わなくて済む。

 このように、合格の場合には他大学の発表の前に〆切があると費用が発生してしまいます。このようなカレンダーを利用して、ここでは省略していますが、出願締切日・受験日・合格発表日・手続締切日を書き込んで、できるだけ出費を抑えた併願を組みたいものです。

三者面談での秘策

 実際に受験に行くのは、1月第2週のセンター試験からです。模試のデータを使って11月頃の実力から、受験大学の最終決定をすることに疑問を感じている方はいらっしゃいませんか。もちろん同感です。「現役生は、受験日当日まで伸びる!」と私は信じています。そこで、3種類の併願作戦を立てておくのはどうでしょう。 ①今よりも上がった場合(過去問を解いて自信が付いて、気持ちが安定している場合) ②現状維持 ③今よりも下がった場合(過去問を解いて不安になってしまった場合)をそれぞれ想定します。具体的に言えば、
 ①は第一志望を上げる。または、第一志望はそのままで、実力相応のレベルを上げる。
 ②は今のままです。
 ③はもちろん第一志望を変えてはいけません。安全校(合格確保)を納得できる大学に下げましょう。
 この3種類の想定を書いて、三者面談の際に担任に提出すれば納得してくれるはずです。

 センター試験の出願は無事に終えましたでしょうか。いよいよ2019年度の入試が近づいてきました。また、これから大学の推薦入試なども始まり、友人の「合格!」という声が耳に入ったり、模擬試験の成績に一喜一憂したりと、受験生本人が不安定になりがちな時期でもあります。ご家庭では、お子様の健康面・精神面でのフォローがこれまで以上に必要となります。何かお困りの点がありましたら、すぐに担任の先生や、塾・予備校の先生などの相談することをお勧めします。

 最後までお読みいただきありがとうございます。良い併願が組めることをお祈りしております。
 サブロ―

著者プロフィール
サブロー先生

サブロー先生

都内・某私立高校で長年にわたり進路指導部長を務める。2018年4月からは2年生(特進クラス・理系)の担任に。英語科の教員としても、その指導には定評がある。また、音楽は趣味の領域を超え、おやじバンドコンテストで全国優勝するほどの腕前。学校でもフォークソング部の顧問として、生徒たちのバンドを熱血指導中。「大学受験パスナビ」では『お悩み相談』と『サブロー先生の進路指導室』を担当。

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