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大阪市立大学 慢性疲労症候群の客観的診断に有効なバイオマーカーを発見

大阪市立大学

  • 2017.7.26

大阪市立大学医学研究科システム神経科学の山野恵美特任助教、理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センターの片岡洋祐チームリーダー(大阪市立大学客員教授)らのグループは、慢性疲労症候群(CFS: Chronic Fatigue Syndrome)患者の血漿成分中に特徴的な代謝物質が存在することをメタボローム解析(代謝物質の網羅的解析)により明らかにした。

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「慢性疲労症候群は、原因不明の強度の疲労が6カ月以上続き、日常生活に支障をきたしてしまう疾患です。発症率は人口の0.1%~0.5%程度で、日本では推定30万人の患者がいるとされていますが、経験のある専門医でないと診断は難しく、客観的な診断を可能にするバイオマーカーの確立が求められていました」と、研究に取り組んだ山野氏は話す。

今回の臨床研究は、CFS 患者に特徴的な代謝物質を発見するための試験1と、その結果の妥当性を確認するための試験2の2回に分けて実施され、それぞれの試験で異なる被験者を対象に行われた。

試験1ではCFS患者47名と健常者46名、試験2ではCFS患者20名と健常者20名の血漿サンプルを採取し、メタボローム解析を実施。

試験1では、細胞のエネルギー産生に関わる解糖系のピルビン酸、TCA回路前半のクエン酸やイソクエン酸、尿素回路のオルニチンやシトルリンにおいて、CFS患者群と健常者群との間に濃度の違いが認められ、CFS患者群では、解糖系からTCA回路への流入、TCA回路前半および尿素回路において代謝機能の低下が推測されるという。

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次に、測定された代謝物質を用いてコンピューターを使用したパターン識別手法による解析を行ったところ、CFS患者群と健常者群を判別する代謝物資として、イソクエン酸、ピルビン酸、オルニチン、シトルリンが有効ということが示された。

さらにピルビン酸/イソクエン酸、オルニチン/シトルリンの濃度比をCFS患者群と健常者群で比較したところ、いずれもCFS患者群のほうが有意に高いことが確認されたことから、この2つの濃度比を組み合わせることで有効なバイオマーカーとなりうることが明らかとなった。

「今後は一般の医療機関でもこの指標を活用し、簡単な血液検査によって迅速な診断を可能とする医療システムの構築はもちろん、詳細な発症メカニズムの解明や治療薬の開発につながれば」と、山野氏は展望を述べる。

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大学の英文科を卒業し、5年間企業に勤務するなかで、健康に関わる疲労やストレスなどに興味を持ったことから、医学系の大学院に進み研究者の道を目指したという山野氏。その個人的な興味・関心と研究テーマがうまく合致して、共同研究者とのさまざまな連携のもと、今回の発見につながったという。

「医学系の研究者として医師と共に働いていると、やはり医師というのは人命を預かる立場にあり、信念や覚悟を持って臨む職種であると感じます。私自身、5年間の企業勤務を経て研究者となったのですが、医師になりたいという強い思いがあれば、少しくらいまわり道したとしても、やり直すことは不可能ではありません。自分の心に正直に、信念を貫いてほしいですね」と、力強い声援を送ってくれた。


【山野恵美 特任助教 プロフィール】

所属:大阪市立大学大学院医学研究科 システム神経科学 特任助教
専門:予防医学
経歴:神戸女学院大学文学部英文学科卒業後、5年間の民間企業勤務を経て平成22年3月京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻博士後期課程修了、同年4月から現職。


この記事は「医学部サイト」より転載いたしました。

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