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京都府立医科大学 胎児期の脳の発育へのグリコーゲンの関与が明らかに

京都府立医科大学

  • [2017/7/5]

京都府立医科大学大学院医学研究科神経発生生物学の後藤仁志助教らは、グリコーゲンによる細胞内エネルギー代謝が胎児期の脳の正常発生に影響を与えていることを明らかにし、その論文が「Journal of Cerebral Blood Flow and Metablolism」誌9月号に掲載された。

生物が基本的な生命活動を維持するためには、細胞内の代謝経路によってエネルギー産生を行うが、その際グルコースが主要なエネルギー源として利用されることはよく知られている。

グリコーゲンはグルコースの貯蔵源として、大人の筋肉や肝臓の細胞内に豊富に存在する。筋肉に蓄えられたグリコーゲンは、運動時にエネルギー源として利用され、肝臓に蓄えられたグリコーゲンは、空腹時に代謝されて血糖値を上昇させる働きを持つ。

「大人の脳にもグリコーゲンは存在し、近年の研究では記憶や学習に関わっていることが明らかになってきました。発生期の脳にもグリコーゲンが存在することが知られていたのですが、どういう働きをしているのかは不明だったのです」と、後藤助教は研究の背景について語る。

そこで、今回の研究は、脳が最も成長する発生期に、グリコーゲンの脳形成における働きについて解析し、細胞がどのようにエネルギー源を使用しているかを突き止めることが目的だった。

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まず、発生期のマウスを用いた組織学的解析によって、終脳の脳室下帯(SVZ)のアストロサイトという細胞にグリコーゲンが特に多く存在していることが分かった。

次に、発生の各段階のグリコーゲンの分布・量を調べたところ、マウスの出生直後ではSVZのグリコーゲンが減少していることから、グリコーゲンが出生後にエネルギー源として代謝されていることが裏付けられた。さらに、グリコーゲンを利用する酵素の阻害剤を脳内に投与すると、SVZのアストロサイトの増殖が抑制されることが確認されたという。

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これらのことから、(1)発生期のSVZ領域のアストロサイトがグリコーゲンをエネルギー源として使用していること、(2)SVZのアストロサイトに蓄えられたグリコーゲンは、出生直後のアストロサイト自身の細胞増殖を維持するために使用されていること、以上の2点が明らかとなった。

「私は医学部出身ではないのですが、医学は幅広い分野を包括しており、数学、物理、生物、それぞれ自分の得意な分野を研究に生かすことができます。テーマもアプローチもさまざまな“研究の多様性”が医学においても重要なのではないでしょうか」と、後藤助教は話す。

今後は、この研究を発展させ、発生期のグリコーゲンエネルギー代謝の異常が成長に伴ってどのような影響を及ぼすか、あるいは成体の脳室下帯(SVZ)においてグリコーゲンが神経新生にどのように関わっているかなどを明らかにしていきたいという。


【後藤仁志 助教 プロフィール】

所属:京都府立医科大学 医学研究科 神経発生生物学教室 助教
専門:神経発生学、分子生物学
経歴:2002年神戸大学農学部卒業。2007年大阪大学大学院理学研究科修了。自然科学研究機構生理学研究所非常勤研究員を経て、2010年から現職。2012年米国コネチカット大学留学、客員研究員を兼任。


この記事は「医学部サイト」より転載 いたしました。


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