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兵庫医科大学 免疫機能を司るT細胞の数を調節するメカニズムを解明

兵庫医科大学

  • 2017.6.21

兵庫医科大学病原微生物学の石戸聡主任教授は、メルボルン大学 Jose A. Villadangos、ミュンヘン大学Ludger Kleinのグループとの共同研究により、「MARCH-VIIIとCD83によるT細胞の選択の調節メカニズム」を明らかにした。

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通常、胸腺皮質上皮細胞は細胞の表面に主要組織適合遺伝子複合体 クラスII(MHC II)を発現することによって、さまざまなT細胞受容体をもつT細胞群の中から自らのMHCに合ったT細胞を選択している。MHC IIの発現が低いと、T細胞の数が少なくなることは分かっていたが、その調節メカニズムは未解明だった。

今回の研究では、MARCH-VIIIという酵素がT細胞を選択するMHC IIの数をユビキチン化によって調節していたことを解明。これに付随して、CD83という分子がMARCH-VIIIによるユビチキン化を抑制して、T細胞の数をコントロールしていることも分かったという。

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「ユビチキン化とはタンパク質翻訳後修飾の一つであり、ユビチキンという小さなタンパク質が別のタンパク質にペプチド結合する生体反応です。ユビキチン化の一つの役割として、タンパク質を分解します。MARCH-VIIIはMHC IIをユビキチン化する酵素であるので、MARCH-VIIIがたくさんあると、MHC IIがユビチキン化されて減少し、選択されるT細胞の数も少なくなってしまうのです」と石戸教授。

ヒトの体に備わっている免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類の免疫システムがあるが、T細胞は獲得免疫の中心的な役割を担っており、外敵や異物の種類に合わせて、専門的な細胞に指令を出したり、直接ウイルスやがん細胞を排除したりする機能を持つ。

「T細胞はヒトにはなくてはならない細胞ですが、体の中ではT細胞が少なくなったり、逆に異常なT細胞が多くなったりすることがあります。少なくなると免疫不全、異常なT細胞が多くなると自己免疫疾患の原因にもなります。こうした免疫疾患にはMARCH-VIIIの異常が原因の一つとして隠れていることも考えられます。それが明らかになれば、今回分かったメカニズムをもとに治療法や新薬の開発につながるかもしれません」と期待を寄せる。

「オートファジーの研究でノーベル賞を受賞された大隅良典先生も基礎研究の重要性に言及されていましたが、基礎研究のやりがいは結果が白黒はっきり出ること。他人になんと言われようと、科学的真実を発見したときはエキサイティングで、かけがえのないものです。もちろん研究したからといって成功するとは限りませんが、医師の場合はある程度身分が保証されているわけですから、少しでも興味が湧いたなら研究すべきと私自身は考えます。最終的には臨床医になるにしても、研究を通じて精神力も鍛錬されますし、人間的な成長にもつながるのです」と、医師を目指す医学部志望者に基礎研究の大切さを説いてくれた。

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【石戸 聡 主任教授 プロフィール】

所属:兵庫医科大学医学部 病原微生物学 主任教授
専門:病原微生物学、免疫学
経歴:1988年関西医科大学卒業。1995年神戸大学大学院医学研究科博士課程修了。神戸大学大学院医学系研究科助教授、理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター チームリーダー、昭和薬科大学薬学部教授などを経て、2016年から現職。


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