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横浜市立大学 MERS コロナウイルスを迅速に検出する方法の開発に成功

横浜市立大学

  • 2017.5.17

横浜市立大学医学部・大学院医学研究科の梁明秀(りょう・あきひで)教授を中心とした共同研究グループは、MERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスを短時間で、簡易かつ正確に検出できるイムノクロマトキット(※1)の開発に成功した。

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中東や韓国で流行したMERSは、致死率が非常に高く、これまで600人以上の死亡が確認されている新興・再興感染症の一種。治療薬や感染予防のためのワクチンは未だ存在していないため、ウイルスの蔓延を防ぐには、感染の有無を素早く特定し、迅速に対応することが求められる。

現在MERS診断には、遺伝子を増幅して検出するPCR法が用いられているが、結果が出るまでには数時間~半日程度かかり、専用の装置と高度な技術が必要とされる。

一方、今回開発した検出キットは、喀痰や鼻汁を特殊な溶液で薄め、検出紙に1滴垂らすだけという簡便なもので、感染の有無を15分ほどで判定できる。「妊娠検査薬のようにセルフチェックもできますし、携帯が可能ですから、感染が流行している海外にも簡単に持ち運べますし、空港などの水際で感染拡大を阻止することにも役立ちます」と梁教授。今後は研究に参加した試薬メーカーとともに実用化を目指すという。

研究グループでは、抗原抗体反応を利用した免疫学的な方向からアプローチ。まず、MERSコロナウイルスを構成するタンパク質を、梁教授の保有技術であるコムギ胚芽無細胞系(※2)を応用した方法で高品質かつ大量に合成。次に、これを免疫原とし、MERSコロナウイルスを検出できるマウスモノクローナル抗体を新たに開発した。

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「国立感染症研究所と共同で、SARS(重症急性呼吸器症候群)などの類縁ウイルスの遺伝子情報をすべて調べ上げることで、今回作製したモノクローナル抗体が、MERSコロナウイルスだけを特異的に検出することが分かりました。

また、これまでに出現したすべてのMERSコロナウイルスに対しても網羅的に反応することを確かめました」と成功の裏には、非常に地味で大変な作業があったことを明かした。

「微生物学は細菌学、免疫学、ウイルス学をカバーする学問領域です。特に、ウイルスの領域は、MERSやエボラ出血等の新興感染症の出現、さらにはグローバリゼーションにともなう蔓延リスクの増大が懸念されており、研究基盤を一層充実させることが急務です。

また、感染症対策ばかりではなく、ウイルスを使った新たながん治療や、ウイルスが原因と疑われる病気の解明など、非常にやりがいのある研究分野です。

医学の世界には、まだ治療法が確立されていない難病や、原因不明の病気もたくさんあります。基礎研究医は、そうした病気のメカニズムや治療法を見いだすことで、患者さんを救う役割を担っているのです」と話す。

  • イムノクロマトキット…抗原抗体反応と毛細管現象を応用した免疫測定試薬。簡単な操作で病原体等を目視で検出することが可能であり、既にインフルエンザや妊娠診断等で実用化されている。
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  • コムギ胚芽無細胞系…タンパク質合成阻害物質を除去した小麦胚芽抽出液に、アミノ酸などの基質と目的mRNAを加えるだけで、安定・効率的にタンパク質を合成する技術。本手法を用いることで従来合成が困難とされてきたウイルスタンパク質の大量合成が可能となる。

【梁 明秀教授(微生物学・分子生体防御学)プロフィール】

所属:横浜市立大学医学部・大学院医学系研究科教授
現在の専門:ウイルス学、分子生物学
経歴:1996年香川医科大学(現香川大学)医学部医学科卒業。2000年東京医科歯科大学大学院医学系研究科修了。ハーバード大学医学部研究員、横浜市立大学大学院医学系研究科助手および准教授を経て、2007年国立感染症研究所エイズ研究センター第一研究グループ長。2009年から横浜市立大学医学部・大学院医学系研究科教授。

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