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東京大学 ピロリ菌とウイルスが連携し胃がん発症を促すメカニズムを解明

東京大学

  • 2017.4.19

東京大学大学院医学系研究科の畠山昌則教授たちの研究グループは、発がん細菌と発がんウイルスが連携して胃がんの発症を促すメカニズムを明らかにした。

この研究成果は、英国の科学誌「ネイチャー・マイクロバイオロジー」オンライン版に掲載された。

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胃の粘膜に感染する細菌「ヘリコバクター・ピロリ」(ピロリ菌)は、胃がんを引き起こす最大のリスク因子となる。

一方、約10%の胃がん症例では、ピロリ菌の感染に加えて、リンパ腫などの原因となる「エプスタイン・バールウイルス」(EBウイルス※1)が胃がん細胞に感染していることが知られている。

しかし、ピロリ菌とEBウイルスが胃の細胞に同時に感染した場合、この二重感染が胃がんの発症に及ぼす役割については、これまで全く明らかにされていなかった。

ピロリ菌は胃の細胞の表面に付着したあと、菌が保有する注射針を使って発がん性のあるタンパク質を細胞内に注入する。

その後、このピロリ菌タンパク質が細胞のがん化を促す酵素「SHP2」と結びつくことで、胃がんの発症リスクを著しく高める。

研究グループは、ピロリ菌の発がんタンパク質による胃がん発症を抑制する酵素として「SHP1」をみつけた。この「SHP1」は「SHP2」と姿・形がよく似た兄弟分子であるという。

これに対して、EBウイルスが感染した胃の細胞内ではウイルスによって「SHP1」の発現が抑制され、その結果、ピロリ菌発がんタンパク質が胃がんを誘導する働きが高まることが明らかになった。

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畠山教授は「今回の成果は、ピロリ菌という細菌と、EBウイルスというウイルスが連携して胃がんを引き起こす仕組みを世界で初めて明らかにしたもの。この研究が効果的な胃がんの予防法の開発につながることを期待している」と語っている。

この研究は、千葉大学大学院医学系研究科の金田篤志教授、東京大学大学院医学系研究科の深山正久教授、瀬戸泰之教授たちとの共同で行われたもの。

  • エプスタイン・バールウイルス(EBウイルス)

    B細胞に感染するヘルペスウイルスの一種で、ほぼすべての成人でB細胞に潜伏感染している。
    EBウイルスはパーキットリンパ腫というB細胞由来の悪性腫瘍の原因となることが知られている。

【畠山昌則教授 プロフィール】

所属: 東京大学大学院医学系研究科・医学部
専門・実績: 病因・病理学専攻、微生物学講座、微生物学分野
経歴: 1981年北海道大学医学部・医学科卒業、1991年米国マサチューセッツ工科大学ホワイトヘッド研究所に留学。その後、(財)癌研究会癌研究所ウイルス腫瘍部部長、北海道大学遺伝子病制御研究所分子腫瘍分野教授などを経て、2009年から現職。2015年より東京大学マックス・プランク(Max Planck)統合炎症学センター副センター長兼任。

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