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滋賀医科大学 食事中のナトリウムとカリウムの比が高い人ほど循環器病死亡リスクが高いことが明らかに

ニュース

2016.9.23

滋賀医科大学「アジア疫学研究センター」の三浦克之センター長が研究代表者を務める厚生労働省研究班(指定研究)による「NIPPON DATA80」において、食事中のナトリウムとカリウムの比が高い人ほど循環器病死亡リスクが高いことが明らかになり、その論文が英国医学雑誌オープンジャーナル「BMJ Open」7月号に掲載された。

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「NIPPON DATA80」は、無作為抽出された日本全国300地区の一般住民を対象として、1980年に実施された国民栄養調査に参加した30歳以上の成人男女のうち、脳卒中や心筋梗塞の既往歴を持つ人などを除いた8,283人を対象に、2004年まで24年間追跡を行った長期追跡研究である。

対象者を食事中のNa/K比で5群(Q1~Q5)に分け、最も低い群(Q1)と最も高い群(Q5)を比較すると、全循環器病死亡リスクは39%高く、また脳卒中死亡リスクでは43%高いことが分かった。


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最も低い5分位(Q1)に対する最も高い5分位(Q5)のハザード比を示す。ハザード比は性、年齢、BMI**、喫煙習慣、飲酒習慣、糖尿病、血清総コレステロール(mg/dL)、たんぱく質摂取量(%kcal)、脂質摂取量(%kcal)で調整した値。
*食事中のナトリウム摂取量とカリウム摂取量の比率
**肥満度を示す体格指数, BMI(Body Mass Index)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
出典:Okayama Aほか「BMJ Open2016」



「ナトリウムは血圧を上昇させ、カリウムはナトリウムの排泄を促し血圧を下げることはよく知られており、血圧の上昇を介して脳卒中や心筋梗塞のリスクが上昇すると考えられます。そのため循環器病の予防には、ナトリウムはできるだけ少なく、カリウムはできるだけ多く摂取し、Na/K比を低下させる食事を取ることが望ましい」と三浦教授は指摘する。

続けて「カリウムの摂取源は、主に野菜と果物です。野菜はたっぷりと食べ、糖分の多い果物は取り過ぎに注意しつつも、毎日食べるようにすること。ナトリウムのほとんどは食塩からで、その多くは醤油、味噌などの調味料や漬物など加工食品から摂取されています。日本食は優れているといわれていますが、伝統的な食品に含まれる塩分には注意が必要」とアドバイスする。

このような疫学研究は、10年、20年と経過してやっと結果が出るものも少なくない。「一人の研究者で完結することは少なく、代々引き継いでいくものがほとんど。われわれ疫学研究者は、農作物を育てるのと同じように、先輩方が始めた研究を収穫しながら、後輩のために種をまく仕事を並行して行っています」と苦労を明かす。

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「高齢社会の進展にともなって、予防のための医療がより重要性を増しています。疫学とは、人間を集団として捉え、疾患の動向や原因、対策を明らかにする医学研究の一つの方法です。EBM(Evidence-based medicine)におけるエビデンスもその多くが疫学的エビデンスであり、治療や予防などのガイドライン策定にも重要な役割を担っているのです。 医学生の多くは臨床医を目指していますが、例え臨床医になったとしても、疫学的視点を持って、町全体の健康や病気の予防について考えてほしいですね」と、三浦教授は疫学の意義を説く。


【三浦 克之教授 プロフィール】

所属:滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門教授、アジア疫学研究センター長
専門:循環器疾患・生活習慣病の疫学および予防医学、栄養疫学
経歴:1988年金沢大学医学部医学科卒業、1993年同大大学院修了。金沢医科大学医学部助手、助教授、米国ノースウェスタン大学客員研究員などを経て、2008年滋賀医科大学医学部准教授、2009年から同大医学部教授。


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