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第8回 : 一を以って之を貫く/Disneyland will never be completed./運命は自分で切り開く

  • 木村達哉のPower of Words 人生に効くコトバ
  • [2016/10/18]

この時期、「志望校」や「併願校」という言葉が、
次第に現実味を帯びてきたのではないでしょうか。
「どの大学へ行くかで人生は変わるが、
人生を決めるのは大学ではない」と木村先生。
この言葉に隠された大切なコトをお伝えすべく、
今月はコラム付きの拡大版でお届けします。


志望校は決まっているが併願校がノーアイデア。志望校が一つに絞り込めない。 ああ、どうやって選べばいいかわからない…! そんなあなたに贈る特別企画!

どうする!?
志望校&併願校選び

第一志望校は決まっているが、
併願校が決まらない。


 揺るぎない志望大学があるのなら、併願校なんて決める必要はないと思うよ。逆に併願校を意識するあまり、第一志望に対する気持ちが弱くなったり対策が手薄になったりすることもある。以前の教え子で、東大を第一志望、慶應を第二志望に定めていた生徒がいた。東大に向けた勉強をしながらも「慶應の対策はどうしたらいいのだろう」と悩んでいたが、結果的に慶應よりレベルが下の大学に入ることになってしまった。どちらの対策も中途半端になり、最終的に伸びなかったんや。

 絶対に行きたい大学があるなら、そこに向けて取り組んでいるなかで「ここなら受験パターンも似ているし、第一志望対策の邪魔にならないかな」といった感覚で、併願校を選べばいいと思う。どこを受験するかを決めるのも、直前でいいやろう。とにかく志望校に向けてしっかりとした気持ちで取り組むべきであり、併願校だけの対策はすべきではない、というのが僕の持論や。


揺るぎない志望校があるなら、併願は不要!
併願校を早く決めすぎると、弊害が生じる。
志望校への一途な熱意を邪魔してしまうし、
合格が決まると、闘志が鈍ってしまうんや。


志望校候補がいくつかあり、絞り込めない。

 まずは、それぞれの大学や学部でどのようなことが行われているのか、どのような環境なのかを精査することが重要や。「あの大学はオシャレだ」とか「英語に力を入れている」とかいう漠然とした情報ではなく、いくつかの候補を自分の責任でしっかりと調べること。最終的に絞り込むのは、センター試験後で十分やろう。

 併願する私立大に関して言えば、絞り込む必要はまったくないよ。何校でも受験できるんやから、候補にしている大学を受け、合格してから決めればいい。むしろ私立大の併願校を早く決めすぎると、弊害が生じる。国公立大の受験日より早く合否が出るから、「第二志望に合格したしもういいかな」と、闘志が鈍ってしまうんや。

 本当に行きたいわけでもない大学を「志望校」と宣言することに意味はない。自分の人生なんやから、通って悔いのない大学や学部を選ぶことや。焦らなくていいよ。


志望校も併願校も決まっていない。いつまでに決めるべき?

 早く志望校を決めれば対策はしやすいけど、だからといって早ければいいというものでもない。センター試験までにいくつかの大学に絞っておいて、センター試験の点数を見ながら臨機応変に出願すればいい。各大学でどのような教育や研究が行われているのかをしっかり調べて候補をいくつか絞り込んだうえで、センター試験に臨むのがベストやろう。

 併願校を準備しておくことは、失敗を前提とした努力をすることになるから、おすすめしない。秋の段階で第二志望だの第三志望だの言っているようでは、先が思いやられるよ。こここそが自分の大学だと言えるような大学に出会えるまでは、どんな出題形式・傾向であっても対応できるような勉強をしておこう。そして、そんな大学を見つけたときには、一目散にそちらに向かって走り出せばいいんや。

 最後に人生の先輩としてひと言。人生は一回きりや。1年浪人したからといって、その後の人生に与える影響なんて皆無。せっかくの人生なんやから、生き急ぐことなく、本当に進みたい大学を目指してほしい。


しっかり調べて候補を絞り込んでおけば、
志望校決定は、センター試験後でもいい。
生き急ぐことなく、妥協することなく、
自分が本当に進みたい大学を目指せ!


Volume 42 : 一を以(もっ)て之(これ)を貫く

孔子

中国・春秋戦国時代の思想家、哲学者。現在まで続く儒教の始祖であり、その思想や言行は『論語』にまとめられている。

 この言葉は「一貫して変わらずに道を進む」という意味です。どの大学に進んでも「至るところ青山あり」ではありますが、「どこでもいいや」という気持ちになるのは、僕は違うと思います。やはり、第一志望は大事にすべきです。

 僕は関西学院大学(関学)の卒業生です。関学はとてもいい大学でしたし、今でも関学の方々とお付き合いできていることを幸せに思っています。でも、受験生時代の第一志望は慶應義塾大学でした。慶應の文学部でフランス文学を学び、フランスに留学して、ゆくゆくは文壇で活躍する小説家になろうと思っていました。現役時代には手が届かなかった慶應に向けて、浪人した当初は朝から晩まで勉強していました。

 模試でA判定が出るようになって安心した僕は、入学後のことを考えて小説を書き始めました。今から思えば油断したのかもしれません。チューターから「同志社か関学には合格する」と言われていたのも油断の種となりました。みんなが受験勉強に勤しんでいる間に小説を書いていた僕は、判定がDやEになっても書き続けました。その結果、当然のように慶應は不合格になり、関学の文学部に進むことになりました。愕然とした僕は、しばらくは何をする気も起こりませんでした。油断さえしなければ慶應に合格していたのに…と思っても後の祭りです。

 今でも思うのです。あの時に慶應を目指して意志を貫いていたら、どうなっていたかなと。大学生活もその後の人生も、まったく違ったものになっていたことでしょう。当時の自分を振り返って、何よりも「貫けなかった自分」が嫌になります。口では慶應と言いながら、「最悪でも同志社か関学ならいいかな」と思っていたのではないかと。自分の夢にとって大変申し訳ないことをしたと、反省しているのです。

 人生はたった一度きりです。だからこそ、こだわりたいことがあります。もしもその大学でどうしてもやりたいことがあるのならば、一心不乱にそこを目指すべきです。そうした姿勢から、また新しい何かが生まれるのです。

最後まで気持ちを緩めず、
自分の志を貫くべし!


Volume 43 : Disneyland will never be completed.

ウォルト・ディズニー

アメリカのアニメーター、映画監督。数多くのキャラクターを生み出し、人々に夢を与える「ディズニーランド」を創り上げた。

 「この大学に合格できないと人生がまずいことになる」なんて深刻に考えてしまうときがありますよね。そんな皆さんに紹介したいのが、6月号でも少し触れたこの言葉です。この後に、It will continue to grow as long as there is imagination left in the world.(ディズニーランドは成長し続けるだろう。世の中に想像力が存在する限り)と続きます。

 皆さんが受ける入試は、大学側からすれば「入るに相応しい基礎学力を持っているかどうかをチェックする機会」です。合格はゴールではなくスタートであり、皆さんの人生は大学入学後に再スタートするのです。今やっている受験勉強は試合のための準備運動に過ぎないのであり、入学後こそ勝負の時です。ですから、そこで遊んでしまうというのは愚の骨頂だと言えます。

 大学では、受験勉強で培った基礎力を使って、発展的・専門的な学問に取り組むことになります。受験勉強とは異なり、大学での学問には答えがありません。見つかるかわからない難病の治療法を必死に探したり、宇宙誕生の神秘に挑んだり、大学というのは未知の人類の謎を解き明かすための存在なのです。

 勉強すればするほど、皆さんの力は向上し続けることでしょう。そして、高みに達した皆さんの力を、待っている人がいるのです。早く治療法を見つけてくれと願っている患者さんが、日本経済発展の方策を見いだしてほしいと願っている人が、どれだけいるでしょう。皆さんはそんな世界に足を踏み込もうとしているのです。

 あの大学はこの大学より偏差値が上だとか下だとか、そんなことよりもむしろ、皆さんが大学に入ってからどのような活動をするかが重要なのです。そりゃ行きたい大学に進むことができれば何よりです。でもね、もしそれが不可能になったからと言って、後の人生がとても残念なことになるかというと、そんなことはまったく関係のないことです。本当に大切なのは、社会に役立てるために自分の力を伸ばそうという想いで、努力を続けることなのです。

何かのために努力する限り、
あなたは成長し続ける


Volume 44 : 運命は自分で切り開く

美輪明宏

歌手、演出家、俳優。美、平和、人生などをテーマにした書籍も多数著し、悩める現代人の心の拠り所となっている。

 人生はいいことばかりではありません。うまくいかないことだらけです。うまくいったと思っても落とし穴はたくさん待っていて、成功と思ったことが失敗の入口であったりもします。この言葉は「宿命とは人生の青写真・設計図。心がけ次第で設計変更できるもの。その設計図を自分の意思と力で実現していくのが運命。運命は自分で切り開く」の一部であり、僕は折りに触れて肝に銘じるようにしています。

 せっかく東大に合格しても、馴染めずに退学したり引きこもって通学できなかったりする学生が少なからずいるそうです。「こんなもののために人生を犠牲にしてきたのか」と嘆く学生もいると聞きます。東大に限らず、大学は何も与えてはくれません。一方で、大学は常に用意をしてくれています。例えば海外留学やインターンシップなど、ほとんどどの大学に進んでも、同じようなシステムやプログラムが用意されています。自分でやろうと思った学生が行動を起こすためのサポートは万全だが、受け身の学生には何もしない。大学とはそういうところです。要は、自分のモチベーション次第なのです。

 受験は一大事だと思います。中学受験や高校受験に比べると、勉強すべき範囲はかなり広いですし、とくに難関大学ということになるとライバルの数は相当なものになります。それだけに第一志望のハードルを乗り越えた喜びは筆舌に尽くしがたいものがありますし、周囲の人たちの喜びが大きいのは言うまでもないでしょう。 しかし、だからと言って、その一大事をクリアしたら素敵なことが待ち受けているかというと、まったくそんなことはありません。なぜなら前述のとおり、自分から学ぼうとしない限り、大学は何も与えてはくれないからです。時間割すら自分で組み立てねばならないのです。この大学を出たから就職は間違いない、というような大学も存在しません。すべては大学に入ってからあなたが何をやったのかで決まるのです。自分の人生は大学が決めるのではありません。あなた自身が決めるのです。

自ら学ぼうとしなければ、
大学では何も得られない



編集 笹原風花
撮影 荒川潤
スタイリング 眞藤伸子
ヘアメイク 泉雅人


この記事は「螢雪時代2016年11月号」より転載いたしました。

著者プロフィール
木村 達哉先生

木村 達哉先生

灘中学校・高等学校英語科教諭
教壇に立つ傍ら、英単語帳『ユメタン』(アルク)や参考書などを多数執筆。また、「英語教師塾」を立ち上げ、全国的な活動を展開している。近著に『キムタツ式 英語長文速読特訓ゼミ』シリーズ(旺文社)がある。

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