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学科長インタビュー「看護学科の魅力とは?」山形大学 小林淳子先生

  • 【学部リサーチ 2017年版】看護・医療・保健学部系統の総合的研究

人と生命を大切にすることが、看護の基本

《国立》山形大学 医学部看護学科 学科長
小林 淳子(こばやし あつこ)先生

宮城県生まれ。東北大学医療技術短期大学部看護学科卒業、東北学院大学人間情報学研究科博士前後期課程修了。公衆衛生看護学を専門とし、「喫煙・禁煙に関する地域住民の健康関連行動」や「地域看護」などの研究テーマに取り組む。

小林先生のご専門について教えてください

 私が所属している講座名の「地域看護学」についてお話しします。「地域看護学」は保健師が中心となって地域で生活する人々の健康の保持・増進をめざす「公衆衛生看護学」と、現在ますます重要性が大きくなっている「在宅看護学」の領域が含まれています。

 最近は患者さんの入院期間が短く、病院勤務の看護師にとっても、患者さんがご自宅に戻ってからの在宅看護、あるいは退院支援といったことが非常に重要になってきています。地域看護学とはそういったことも包含していると考えています。

 入院している患者さんの多くは、いつかそれぞれの地域に帰っていきますよね。その先の、いわゆる「居宅」と呼ばれる場所も患者さんのご自宅であるとは限らず、介護老人保健施設であったり、特別養護老人ホームであったりグループホームであったりします。そういった、退院後の暮らし方についても視野に入れているのが地域看護学の考え方だと思います。


看護とは、どんな仕事ですか?

 もともと看護は、対象とする人々の「健康」を切り口にしつつ、「生活」に視点を当てた仕事です。臨床の看護師は、例えば診療・治療の補助行為など、主に急性期(病気の症状が急激に現れる時期)のケアを仕事にしていますが、そのケアは、診療や治療が終わり病室に戻った患者さんがどのように生活することになるのか、といったことを常に考えながら行います。つまり、看護師の仕事には、治療に伴う看護技術の熟練に加えて、患者さんの生活を推測する能力が求められます。

 看護の仕事は、母親の胎内にいる胎児から後期高齢者に至るまで、人間のあらゆるライフサイクルを対象としています。看護職は人が生まれてから亡くなるまですべての期間を、専門職としてケアできる数少ない職業の一つですし、それがこの仕事のすばらしさでもあります。


看護師にとって必要な資質とは何ですか?

 看護師という仕事をするにあたって必要な資質を一つだけ挙げるとすれば、それは「人と生命を大切にすること」だと思います。これは、他人を大切にするだけではなく自分自身をも肯定する力であり、困っている人に救いの手を差し伸べることができる気持ちのことです。

 看護学科では、専門科目の勉強や実習などで苦労する学生も少なくありませんが、極端なことを言えば、そうした気持ちを持ち続けることができれば勉強に対する努力につながると思います。

 また、これは看護も含めた医療系学部・学科のすばらしいところですが、患者さんや地域の方々など、自分のケアを必要としている人が病院や地域にいるということを、実習などを通じて学生時代から実感することができるのです。そうした人たちから感謝の言葉を受け取りながら、看護を自分の生業にしていくということは、先ほど触れた「自分自身を受け入れる」ことにもつながっていくものでしょう。


山形大医学部看護学科の教育の特色は何ですか?

 前にお話ししたこととは逆に、実習の現場では患者さんから拒絶されてしまったり、指導者から手厳しい指導を受けたりと、うまくいかないこともあります。むしろ、プロとして一人前になるまでは、壁にぶつかることのほうが多いのかもしれません。そうしたときに、学生が失敗を乗り越えて次の一歩を踏み出せるようになるためには、かつて同じ道を通ってきた教員・指導者や先輩が存在するということ、そして彼らからのフォローは極めて重要だと思います。真の意味で「自分を受け入れる」ということは、なかなか独りではできないものだからです。指導者や先輩から自分の考えや行動に対して何らかの建設的なフィードバックを受けることが次の一歩につながっていくのです。

 山形大学では、医学部看護学科と附属病院看護部との距離が非常に近く、学生の教育にあたっては常に共同連携できる体制をとっています。特に学生にとってストレスが多くかかる実習については、附属病院看護部の全面的なバックアップを受けています。

 一般的に、大学の看護学科と実習病院の看護部は組織としては別々に動かざるをえないことが多く、そのことは教育・研究・実践の連携という観点でも大きな課題だと思います。本学で先にお話ししたような看護学科と附属病院看護部の連携が実現できているのは、本学の前医学部長で現医学部参与である嘉山孝正先生が唱えた「実践の現場に教育の基本がある」という考え方が本学医学部全体の基盤となっているからだと思います。

 また、本学では全国で初めて「Student Nurse制度」を導入しました。これは、やはり嘉山先生が他大学に先駆けて導入し、今では医学教育のスタンダードとなった「Student Doctor制度」にならって定めたものです。(※Student Doctorは医学部医学科4年生が臨床実習前に受験する共用試験CBTとOSCEの合格者に対して与える称号で、臨床現場に立つにあたって知識・技術面で一定の水準に達していると大学が認定する制度)臨床看護実習前に、関係する授業科目の試験と客観的看護実践能力試験(OSCE)に合格した学生に対してStudent Nurseの称号を与え、臨床実習を認めています。この制度は、看護学生の知識・技術面の水準について患者さんやご家族への説明責任を果たすこと、また学生本人が現場意識を持って実習に取り組むこと、そして教える側、指導する側の意識付けをねらいにしています。


看護学科をめざす受験生へのメッセージをお願いします

 人や生命を大切にする気持ちを持った方、生命を守る仕事に就きたいと考えている方はぜひ看護学科をめざしてください。あるいは、入学後の勉強を通して人と生命を大切にする気持ちを育てていただきたいと思います。人の健康と生活に視点を置く「看護」は、時代や国境を越えて社会のニーズに応えることのできるすばらしい分野です。看護学科で学び、看護職としてのしっかりした基盤をつくることで、キャリアパスの可能性は大きく開かれます。

 意欲あるみなさんの受験を心から歓迎いたします。

この記事は「螢雪時代(2017年6月号)」より転載いたしました。

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