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学部長インタビュー「外国語学部の魅力とは?」上智大学 村田真一先生

  • 【学部リサーチ 2017年版】文・人文・外国語学部系統の総合的研究

“言語”というツールを使って
広い視野で世界を見てほしい

《私立》上智大学 外国語学部 学部長
村田 真一(むらた しんいち)先生

1959年岩手県生まれ。1987年東京外国語大学大学院外国語学研究科スラブ系言語専攻修士課程修了。上智大学外国語学部ロシア語学科教授を経て、2017年より学部長。ロシア演劇・詩学・文化研究が専門で、2007年にはロシア語の普及とロシア文化研究への貢献により、ロシア大統領令によるプーシキンメダルを受賞。

外国語学部とは、どんなことを学ぶ場所ですか?

 外国語学部というのは、学部名としては実はかなり古いネーミングです。かつては「語学の専門家を育てる、専門家になる」ということが教える側、学生の側ともに目的でありゴールであったと思うのですが、時代とともにその内容も変わり、今の外国語学部は語学を基礎としつつも、言語はあくまでもツールとして用いて、地域研究をはじめとする自分の専門に活かすためのものになっています。

 この学部で学ぶ者として、まず外国語のスペシャリストであることは当然です。私の所属するロシア語学科に例をとりますと、ロシア語は大変難しい言語と言われていて、特に入門の部分は、まるでロッククライミングのようなハードさです。そうした困難を乗り越えて言語の基礎力をつけたあとは、その基礎力をもとにして地域研究をしてほしいと思っています。地域研究と言ってもロシアのことだけではなく、ロシアと周辺の近隣諸国とのかかわりにについて勉強してもいいですし、あるいはもっと広く捉えて、国際関係の中でのロシアの外交や経済、ロシアとヨーロッパの文化比較や、ロシアと日本が相互に与えた影響―といった研究を通じて、広い視野で、世界を複眼的に見る力を育ててほしいのです。


外国語学部にはどんな学生がいますか?

 実は最近、私は他の学科の学生にインタビューする機会がありましたので、「なぜ外国語学部を選んだのか?」と質問してみました。ポルトガル語学科のある学生からはどんな答えが返ってきたかというと「自分はあまのじゃくである」と(笑)。英語はみんなやっているし、スペイン語や中国語も学習者の数が多いので、とにかく人がやっていない言語を選びたかったと。そして、いざ入学し学び始めてみると、実はポルトガル語はブラジルやアフリカ諸国でも話されている、非常に話し手の多い言語であることに改めて気付かされたということでした。また、イスパニア語学科のある学生は、高校生の頃からすでに第2外国語でイスパニア語を選択していて、大学でさらに学びを深めたいという高い目的意識を持って入学しました。ロシア語学科はというと、「ロシア語を使って仕事をしたい」という答えが圧倒的です。私が大学に入った頃、ロシア語を商売に使いたいという学生はもちろんいましたが、何より多かったのは、ロシア文学が好きな学生たちでした。時代も変わったものだと思います。

 教員としては、もちろんビジネスのためにロシア語を勉強するのも大切ですが、もっと広い視野を持って、たとえばその文化がアメリカ、ヨーロッパ、日本といった他の国々とどう違うのか、ロシア人のものの考え方は日本人とどう違うのか、といったことを知ってほしいですね。そして、そこからさらに日本あるいは日本語を見つめ直すということが大切だと思います。


上智大学外国語学部での学びの特長を教えてください。

 本学外国語学部では2014年から「研究コース」制を導入しました。この制度では、1~2年次は「第一主専攻」として各学科の語学を中心に学びます。そして3年次になると各自が「第二主専攻」として、北米、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、ロシア・ユーラシア、言語、アジア、中東・アフリカ、国際政治論、市民社会・国際協力論、の9つの研究コースから自分の専門を選ぶことになります。そこで、ゼミに所属しながら専門性を深め、最後に卒論を仕上げることになります。

 ここで強調しておきたいのは、研究コースは自分の好きなコースを選べるということ。例えば、ドイツ語学科でドイツ語を学んできたからといって、ヨーロッパ研究コースを選択しなければならないということはありません。もちろん関連性の濃いコースと薄いコースはありますが、国際政治論も、市民社会・国際協力論も選択できます。そしてこのような、自分の身につけた言語と専門との組み合わせを考えることそのものが、本人の視野を広げることにもなるはずです。


外国語学部ではどんな人材を育てたいですか?

 まず、進路の傾向として多いのは商社や金融、物流業界です。それと、在外公館や国際機関で働く人も多いですね。ちなみに、これもロシア語学科の話なのですが、旧ソ連諸国のうち4か国の日本大使は、実は本学ロシア語学科の出身です。

 ロシア語圏で外交官という仕事をするにあたって、言語の運用能力は当然必要ですが、それ以上に大事なのが、ロシア語の勉強を通じてしか身につけられないロシアの文化やロシア人の発想、政治性といったものへの理解です。これは私自身がロシアで経験したことなのですが、現地の学生たちに3つの課題を出して、1週間以内に提出してください、と言いました。そして1週間後。誰もやってきません(笑)。そこで、課題を1つずつに分けて、それぞれに期限をつけたところ、期限ギリギリではあるけれど仕上げてきてくれるようになりました。日本人にはなかなか理解しづらいことですが、こういうやり方がロシア人の国民性なんですね。外交という場においても、そういうことが理解できていないと交渉もできないわけです。そして、おそらくそれは、ただ留学するだけでは理解できず、学部での学びを通じて初めて身につけられるものですし、本学外国語学部ではそうした人材を養成できていると思います。


受験生へのメッセージをお願いします。

 個人的には、本を読むことが好きであってほしいですね。そして、これも読書に関連することですが、例えば「雨が降っている。」という文があったとします。その文を読んだときに、すぐ字面通りに受け取らず、「本当に雨が降っているのか?」というところからものを考えてほしいのです。それを書いた人は、本当は晴れた空を思いながら書いていたのではないか。あるいは、雪が降ってほしいと思いながら書いたのでは―。文を読む(解釈する)ということはそういう作業であって、大学というのはそういうところまで勉強する場所でなければいけないと思います。その文章が外国語になるとどうなるか。そこには哲学があり、思想があり、歴史があります。その言語を使う人々の思いや考えを知り、実際に人と出会うということは、まさに生きることと言えるのではないでしょうか。そういった学びを深めたい人、また政治や歴史に興味がある人も、ぜひ外国語学部に入ってもらいたいと思います。


この記事は「螢雪時代(2017年5月号)」より転載いたしました。

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