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学群長インタビュー「人文・文化学群の魅力とは?」筑波大学 山中弘先生

  • 【学部リサーチ 2017年版】文・人文・外国語学部系統の総合的研究
  • [2017/4/27]

立ち止まって考え、知的好奇心のままに
深く、広く学ぶのが人文科学です

《国立》筑波大学 人文・文化学群 学群長
山中 弘(やまなか ひろし)先生

1976年、早稲田大学第一文学部卒業。1986年、筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程修了。文学博士。愛知学院大学教授などを経て現職。専門は宗教社会学で、研究対象は修験道、現代宗教からポップカルチャーに至るまで広範囲に及ぶ。編著書に『宗教とツーリズム―聖なるものの変容と持続』(世界思想社)など。

人文科学を研究する道に進まれた理由は?
専門の研究分野は何ですか?

 進学先に文学部を選んだのは、自由な雰囲気の中でものを見て、考えるのが好きだったからです。

 私の専門は「宗教社会学」ですが、ヨーロッパの社会・歴史・文化・芸術などを学ぶうちに、宗教の影響力の大きさに関心を持ち、ドイツの社会学者マックス・ウェーバーの、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』をはじめとした宗教社会学の著作に感銘を受けたのがきっかけです。人間社会の形成・発展には、経済活動だけでなく、宗教を含む「価値」が重要な役割を果たす、という考え方です。

 私の場合、社会科学的な観点から宗教にアプローチします。フィールドワークなどの手法で、宗教とその信仰者に対し、内側(教学や哲学として)からでなく、外側から人間の作り上げた社会・文化現象として捉えるのです。

 当初は18~19世紀のイギリスの宗教運動(メソディスト)を研究していましたが、今は広く現代の宗教について研究対象としています。

 例えば、最近は“聖地巡礼”や“パワースポット”がブームになっています。それも伝統的な“聖なる場所”ではなく、今まで注目されなかった場所や、アニメの舞台など宗教と関係なさそうな場所が、メディアの影響やインターネットによる情報拡散によって多くの人を引きつけ、新たな“聖地”と化す現象が起きています。それには、観光(ツーリズム)という、やはり宗教と直接関係なさそうな行為も重要な役割を果たしています。

 旧来の伝統を離れ、自分たちで作り上げた場としての“聖地”を、独自の価値として消費活動の対象とする、新しい宗教現象として注目しています。


人文科学を学ぶ意義や魅力は何でしょうか?

 人文科学は「人間を学ぶ」、さらにいえば、人間の築いてきた文化や価値観について研究する学問です。人間の営みを総合的に俯瞰できる点が、人文科学の醍醐味といえるかもしれません。

 また、人文科学は「ものを深く考える」学問だと思います。工学系のように「すぐ役立つ」わけではありませんが、高度情報化でスピードが速くなりすぎ、短期的視点で動きがちな現代社会だからこそ、それを作り出した人間とは何か、立ち止まって長期的な視点で考えることが大切です。そこに人文科学の存在意義があると思うのです。


人文・文化学群には3つの学類があります。
それぞれ、どのような特徴がありますか?

 いずれも定員規模がコンパクトで、学生1人あたりの教員数が多く(比較文化学類では1学年80人に対し教員60人以上)、人間をめぐるあらゆる知的関心に応える授業や、学生が主体的に学ぶ参画型の授業を多数準備し、質の高い少人数教育を実現しています。

 人文学類(通称は「人文」)は、4つの主専攻(哲学、史学、考古学・民俗学、言語学)、さらに17のコースに分かれます。専門分野を徹底的に深めていく、伝統的な文学部のイメージで、「この分野を極めたい」という人に向いています。一方、比較文化学類(通称は「比文」)は、学修上は6領域に分かれますが、複合的な学びが可能で、自分が関心のある地域やテーマによって、例えば宗教学・言語学・民俗学というように複数分野をつなげて学んでいく、学際的な色彩の強い学類です。人文が「縦に深める」なら、比文は「横に展開する」イメージで、「何でもやってみたい」という人に向いています。

 ただし、英語をはじめ多様な言語を習得できるカリキュラムを用意し、そこで習得した語学力を用いて、積極的に海外へ発信していこうとする学生や卒業生が多い点は共通しています。

 日本語・日本文化学類(通称は「日日」)は、他の2学類より定員が少ない分、家庭的な雰囲気が特徴です。日本語を「国語」ではなく言語として学び、日本語や日本文化を世界に向けて発信できる人材を育成します。日本語・日本文化研修留学生(日研生)など、多くの留学生の受け入れ先でもあり、学類生は留学生の学習や日常生活を支援するチューターを務め、日本語教育や国際交流の経験を積んでいきます。

 教育の主体はあくまで学類ですが、それを支える枠組みが「学群」であり、学群共通のコアカリキュラムを用意しています。「キャリアデザイン」「学問と社会」に加え、各学類の授業にも選択必修科目としてコアカリキュラムの機能を果たすものがあり、幅広い学びを実現しています。

 筑波大学には「担任制度」があります。1年次前期の「フレッシュマンセミナー」を担当する教員で、本学群では各学類とも1クラスあたり約20人の編成で担任が1人つき、週1回授業を行いますが、その終了後も、4年生になるまで自分たちのよき相談相手として、学類生たちが信頼を寄せています。


近年、最も重視している取り組みは何でしょうか?

 筑波大学では、海外留学の促進と経済的支援、各種の語学研修プログラムの充実、留学生の積極的受け入れと交流など、全学的に「グローバル化の日常化」を進めています。

 本学群でも、比較文化学類は2013年からカナダのプリンスエドワード島大学と交流協定を結び、留学しながら4年で卒業できる制度を整えました。また、日本語・日本文化学類では海外の大学で行われるインターンシップ「日本語教育実習」「異文化理解国際研修」をカリキュラムに組み込んでいます。

 注目すべき取り組みとして、ASIP(地域研究イノベーション学位プログラム)があります。本学群と社会・国際学群を対象とした、大学院修士課程までの一貫教育コースです。1年次以上の希望者の中から面接で選抜し、各学類の学びと並行し、希望する発展途上地域(中央アジア・ラテンアメリカ等)の研究科目や言語など特別なカリキュラムを習得し、3年半で大学院推薦入試を受験、早期入学の後、希望地域への協定校留学とインターンシップを経験し、大学入学から最短5年で修士課程を修了することができます。専任を含む指導教員が協定校と連携しながら、きめ細かく学生の支援体制を整えています。

どのような受験生に入学してほしいですか?

 知的好奇心が旺盛で、世の中の事象を、他人事でなく自分に関わるものとして捉える問題意識と、積極的にチャンスをつかむ行動力を持った学生に受験してほしいですね。本学群は、それに応えるだけの充実した環境と、熱意ある多くの教員を用意して、皆さんのチャレンジを待っています。

この記事は「螢雪時代(2017年5月号)」より転載いたしました。

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