page_top

学部長インタビュー「薬学部の魅力とは?」千葉大学 齊藤和季先生

  • 【学部リサーチ 2017年版】医学部・歯学部・薬学部の総合的研究

物質に対する深い理解を基に
人類の健康や福祉に貢献する

《国立》千葉大学 薬学部 学部長
齊藤 和季 先生

東京大学薬学部卒業。同大学院薬学系研究科修了。1981年慶應義塾大学医学部助手、発がん物質の代謝活性化とDNA修飾を研究。1985年千葉大学薬学部助手、植物化学・生化学およびバイオテクノロジー研究を開始。1987年ゲント大学で植物分子生物学と遺伝子組み換え研究を開始。1995年千葉大学薬学部・薬学研究科教授、現在に至る。

他の学部とは異なる薬学部の特徴について教えてください

 人類の健康や福祉に貢献すること。これが薬学の最終的な目標です。理学分野などでも行われる研究が薬学部にもあります。例えば、有機化学や物理化学などがそうですね。理学では、物質の性質や構造の解明が研究の主目的ですが、薬学はそうした基礎研究を行いつつも、それをベースに人類の健康や福祉に役立てる研究を行うわけです。理学の化学科なら物質、生物科なら動植物や微生物などを扱いますが、薬学部ではそれらと併せて人への応用を考えることになります。

 人類の健康や福祉を目的とする点は、医学と共通します。医学との違いはというと、医学は人間にアプローチするのに対し、薬学は物質にアプローチするという点です。物質の構造や変化の仕組みを理解して、それを人の健康に活かす取り組みを行うのが薬学。薬学は、生命や健康について化学的・物理的・生物的側面から学ぶ総合的応用科学といえます。

6年制学科と4年制学科の特徴を教えてください

 医療現場で患者さんと接して薬を使う薬剤師を養成するのが6年制学科です。そこでは、医療系・臨床系の薬学教育が中心に行われます。医療現場で実務を学ぶために実習の機会が多くあるのも特徴です。5年次には病院や薬局での実習があり、この実習を受けるには共用試験(CBT、OSCE)をクリアしなければいけません。共用試験では、実習に必要な知識や技能・態度を評価します。ここで一定レベル以上の知識や技能・態度があると認められてはじめて、病院や薬局での実習に参加することができるのです。その後、薬剤師国家試験受験資格を得ることができます。

 一方、創薬研究のための課程が4年制学科です。新薬の研究や医薬品の開発のために、物質に対する根源的な理解を深めていきます。6年制学科では薬を使う薬剤師を育てるのに対し、4年制学科ではその薬を創る研究開発者を育てます。研究職では患者さんに接することはありませんが、患者さんが使う薬を創る以上、研究者であっても医療現場に対する意識は大事です。

 薬剤師と創薬研究のいずれの道に進むとしても、生命現象の物質的な基盤を理解することがベースになりますから、その部分は1・2年次で共通して学ぶことになります。


薬学部で、学生に求められる素質とは何でしょう?

 まず薬学部全体で言いますと、丁寧な人が向いています。物質を極めて精密に扱いますし、その変化や状態を細かく数字にして管理をします。精緻さがなく、大雑把な人では、薬学を学ぶのは大変です。

 そして、人と接するのが好きであることです。薬剤師になれば、患者さんと接して、お話をして体の具合を把握し、また、薬に求めることを聞き取ることになります。患者さんにもっとも近い医療者が薬剤師です。薬剤師を目指す学生は、人と接して会話をすることが好きであってほしいと思います。

 それは研究職であっても同じです。閉ざされた空間で黙々と作業をするイメージがあるかもしれませんが、それは違います。研究ではグループ内で議論を行い、意見を交わす機会が多くあります。研究者間の相互作用により研究は広がり発展するので、研究に進むのでも、人が好きであることはやはり大事です。


千葉大学の薬学部の、他にはない強みや特長は何でしょうか?

 亥鼻キャンパスに薬学部、医学部、看護学部が集結している点でしょう。生命科学の拠点として、この3学部が連携して教育を行っています。学部間の相互作用によって、自分の専門分野だけにとどまらず、他の医療者の役割も理解しながら、視野を広げて専門分野を学ぶことができます。その代表的なプログラムが「亥鼻IPE(=Interprofessional education 専門職連携教育)です。これは1年次からスタートする実習で、薬学、医学、看護の学生たちが集まり、グループワークを行うものです。各自の役割と、他の医療分野の役割も理解して、現場で協調して医療にあたるための協力関係を学ぶことができます。この実習は、薬学生が進路を考える際、医療現場に携わるか、研究職になるかを判断するための重要な経験にもなります。

 また、附属病院も隣接し、すぐ近くの場所で病院実習が行われます。大学院として「医学薬学府」があり、そこでは医学の先生が薬学生に教えたり、逆に薬学の先生が医学生に教えるなど、医学と薬学の相互作用が盛んです。生命科学を広く深く学ぶために優れた環境が整えられています。

平成30年度入学生から4年制学科では薬剤師になれなくなりました

 薬剤師になるには、医師と同様に6年制課程を修了することが前提とされています。ただし、平成29年入学生までは、4年制学科であっても修士課程を修了した後、所定の講義と実習を受ければ薬剤師国家試験受験資格が得られました。これは特別な措置でしたが、平成30年入学者からはこの措置が終了します。本誌をご覧の受験生から該当しますが、平成30年度入学生からは4年制学科では薬剤師にはなれません。薬剤師になるには6年制学科への進学が必要です。4年制学科に進んだ後に薬剤師を目指す場合は、卒業や退学した後に6年制学科に入り直すことになります。

 そのため、これから薬学部を志望する皆さんは、自分が薬剤師になりたいのか研究者になりたいのか事前によく考えておく必要があります。

それにともなって入試に変更点はありますか?

 千葉大学の薬学部では、これまで定員80名を、6年制・4年制の区別なく一括して募集を行ってきました。しかし、それが変更になります。次の平成30年度入試からは、定員10名を「センター試験を課す推薦入試」で募集し、進路は6年制学科に限定します。一方、一般入試の後期試験においては定員10名を4年制学科に限定して募集します。残りの定員60名はこれまで通り、一般入試の前期試験により一括で募集を行い、この入学者は3年次進級時に4年制か6年制かに分かれることになります。

この記事は「螢雪時代(2017年4月号)」より転載いたしました。

この記事で取り上げた大学

蛍雪時代

螢雪時代・10月号

国公立大&難関私立大合格!のために読む雑誌

先輩合格者の「合格体験記」、ベテラン予備校講師の「科目別アドバイス」をはじめ、センター試験関連情報 や大学入試の分析&予想など、お役立ち情報満載の月刊誌。志望校・合格へあなたをサポートします。

「螢雪時代」のご案内は、こちら

学部・学科内容ガイド 記事一覧

学部・学科内容ガイド 記事一覧に戻る

“千葉大学”の関連記事一覧

今月の入試対策

supported by螢雪時代

大学を比べる・決める

My クリップリスト

0大学 0学部 クリップ中