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学部長インタビュー「歯学部の魅力とは?」徳島大学 河野文昭先生

  • 【学部リサーチ 2017年版】医学部・歯学部・薬学部の総合的研究
  • [2017/3/22]

患者を「支える」達成感と、
幅広い研究の可能性が待っています

《国立》徳島大学 歯学部 学部長
河野 文昭 先生

徳島県出身。1976年、1期生として徳島大学歯学部に入学、卒業。同歯学研究科博士課程修了。歯学博士。1990年、米ミシガン大学へ留学。徳島大学歯学部助手、講師、教授を経て、2015年から歯学部長。同大学病院総合歯科診療部長を兼任。専門は歯科補綴学。「暖かい心」を持つ診療をモットーとする。

歯科医師として研究の道に進まれた理由と、
専門の研究分野は何ですか?

 私は本学部の1期生です。卒業後にすぐ開業できる実力をつけられるよう、鍛え上げられましたが、自分たちで研究を築き上げる喜びもありましたね。

 専門は「歯科補綴(てつ)学」です。クラウン、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどといった手法で、う蝕(虫歯)や外傷、あるいはがんなどで失われた口の中の環境を補う「補綴」のため、治療・検査技術や材料などを研究します。高齢化社会の到来でニーズの高まりが想定されましたし、もともと関心があった工学系の要素が強い「補綴学」を専攻することになりました。


歯学を学ぶ意義や魅力は何でしょうか?
医学との大きな違いは?

 医学が患者さんを「助ける」のに対し、歯学は「支える」医療である点が違いですね。歯学は歯だけが対象ではなく、顎・顔面・口腔(くう)に生じる疾患や異常の診断、治療などを幅広く研究します。生命の根源である「しゃべる、かむ、飲み込む」機能を長く保てるよう、患者さんに寄り添う過程で、さまざまな気づきがあり、それが歯科医師を成長させます。「患者さんが育てる」といっても過言ではありません。そして、患者さんの喜ぶ顔をみた時の達成感がモチベーションとなります。

 一方で、歯科医療のあり方は大きく変わりつつあります。まず、医・歯の「共診」が盛んになっています。例えば、難病の手術を受けた患者さんに対し、術後のオーラルケアを充実することが、誤嚥(えん)性肺炎の防止などにつながります。歯や口腔内の治療から、他の部位の病気がわかることも珍しくありません。このため本学では「1患者1カルテ」、つまり医学部と歯学部の教員が患者さんの情報を共有することで、医療の質の向上を図っています。

 また、通院が困難な高齢者などを対象とした、歯科医師・歯科衛生士・社会福祉士などがチームを組んで行う訪問歯科医療の必要性も高まっていますが、地方では担い手不足が課題です。


どのような流れで学んでいくのでしょうか。カリキュラムの特徴は?

 本学部の目標は、高い倫理感、患者さんと信頼関係を築ける「暖かい心」を持ち、高い研究意欲を持つ歯科医師の育成です。また、同じキャンパスに医療系の学部・学科が集中する利点を活かし、他職種との協働ができる歯科医師の育成も目標に掲げています。

 修業年限の6年間のうち、1年次はおもに教養教育と、歯学・医学の概論を学びます。徳島大学では全学で、新入生は大学入門講座の「SIH道場」を受講しますが、「Strike while the Iron is Hot(鉄は熱いうちに打て)」の略で、アクティブ・ラーニング(能動的な学習)が目的です。SIH道場で、本学部は読書レポートや問題解決型授業、歯・口腔保健(歯科衛生士と社会福祉士の国家資格が取得可能な学科です)の両学科の学生が参加する「気づきの体験学習」や「相互歯磨き学習」など、コミュニケーション能力の向上を目指す体験学習を行っています。

 2年次後期から、基礎医学や専門科目の講義や実習が始まります。3年次には研究基礎ゼミで各講座に配属され、歯科医学に関する研究法を体験し、4~5年次で歯科臨床に必要な内科学や外科学などの隣接医学を学びます。

 その後、5年次前期に全国統一の歯学共用試験を受験します。これをクリアすると、5年次後期から実際に患者さんの診療を行う臨床実習が始まります。いよいよ実習を控え、白衣を授与する「白衣式」の時に「スチューデント・デンティスト」の称号もあわせて贈り、やる気と責任感を高めています。

 臨床実習を補完するため、ヒト型の歯科用シミュレーションロボットや実習用マネキンを設置した施設「スキルスラボ」も活用しています。

 最終的に歯科医師国家試験を受験、合格した後は、大学病院や市中病院で臨床研修を行います。本学の病院には、1年目の臨床研修医の受け入れ先として、2008年から「総合歯科」を設置しています。


近年、最も重視している取り組みは何でしょうか?

 本学部では「暗黙知教育」に力を入れています。態度や心構えなど、言葉や数値では表わせない知識を身につける教育です。そのため、2年次前期に「シャドーイング」という授業を行います。先生1人に学生1人が半日ついて、歯科医師の実際の仕事ぶりを見学します。どのように患者さんと接し、対応するか、肌で感じてもらうことで、「こんな先生になりたい」「こうすれば信頼関係を築ける」というロールモデルとしてもらうことが目的です。

 チーム医療の意識、自ら学ぶ意識を高めることも重要です。1年次の9月に、医・歯・薬・看護など医療系学部・学科の学生が集まって、「他職種協働」のワークショップを行います。所属が異なる学生が入り交じり、10人程度の小グループに分かれ、テーマを決めて話し合い、成果をまとめて発表します。

 また、2年次の早期体験実習(各診療科をまわり、診療体験や、機器・器具の使い方を学ぶ)の後も、やはり小グループに分かれてディスカッションを行い、成果物を発表します。

どのような受験生に入学してほしいですか?

 何より、新しい分野に挑戦する意欲と、患者さんの目線に立った「暖かい心」が大切だと思います。また、論理的思考力や表現力も必要なので、後期日程では小論文を課しています。チーム医療の一員として、コミュニケーション能力も重要なので、2018年度から推薦入試の選考方法に、グループディスカッションを加えます。

 歯学は「全身の健康と長寿を担うオーラルサイエンス」として、新たな可能性を秘めています。受験生の皆さんも、ぜひチャレンジしてください。

この記事は「螢雪時代(2017年4月号)」より転載いたしました。

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