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学部トレンド!2017 農・獣医畜産・水産学部系統

  • 【学部リサーチ 2016】 農・獣医畜産・水産学部系統の総合的研究

農・獣医畜産・水産学部のトピックス

国立大の改組や定員増、学部新設が続いている。また、獣医学部では、全国共通の共用試験が2017年本格実施される。自然環境の保護・再生の専門家養成も活発だ。

■東京海洋大に海洋資源環境学部、誕生

 農学部系統の学部の新設・改組が続いている。2015年に、龍谷大が国内で35年ぶりとなる農学部を開設したのに続き、2016年は、弘前大農学生命科学部と宮崎大農学部で定員増(弘前:185→215人、宮崎:265人→285人)が行われ、岩手大農学部では4課程1学科を6学科(定員210→230人)に、静岡大農学部では3学科を2学科(定員150→180人)に、愛媛大農学部では1学科を3学科に再編。また、高知大農学部は農学海洋科学部に学部名称を変更するのに合わせ従来の1学科を3学科に再編、定員増(170→200人)も実施した。
 2017年も、東京海洋大が、3番目の学部として、海洋資源環境学部を新設、従来の海洋科学部は海洋生命科学部に名称が変更され。海洋工学部と合わせて3学部体制となる。東京商船大の伝統を受け継いで「海事」の教育研究を行っている海洋工学部(越中島キャンパス)と、東京水産大の伝統を受け継いで「水産」の教育研究を行っている海洋科学部(品川キャンパス)の2学部に「海洋」をターゲットとする新学部が加わって、東京海洋大学は日本で唯一の海洋系大学として大きく発展することになる。
 海洋資源環境学部は、海洋を利用するにあたり、海の環境を保全しながら進めること、海洋資源を上手に利用しながら新しい産業分野を創出することをコンセプトに、「海洋環境科学科」と「海洋資源エネルギー学科」の2学科が設置される。
 海洋環境科学科では、海洋および海洋生物に関わる基礎科学(物理系、化学系、生物系、地学系)を総合的に学び、海洋環境・海洋生物の調査・解析・保全・利用のための科学と技術を発展させる人材を、海洋資源エネルギー学科では、環境保全を前提とした海洋・海底(エネルギー資源を含む)の探査・利用・開発方法について、基礎科学や海洋工学などの視点から総合的に学び、実践的に活躍できる人材の養成をねらっている。
 農学・生物資源系統の学部・学科の新設・改組・定員増は、近年のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉の大筋合意、鳥インフルエンザや口蹄疫、BSE(牛海綿状脳症)などの人畜共通感染症、輸入食品の安全性問題などが背景にある。
 とくに、食品の安全・安心の問題は、輸入品や国内製品の偽装表示、東日本大震災と原発事故による土壌や河川の汚染などもあり、国民の懸念は払拭されていない。農学部系統は、こうした問題を解決する人材の養成に大きな期待が寄せられている。

■獣医学共用試験、2017年2月から本格実施

 医学・歯学・薬学部では、臨床実習に入る前に、知識と技能が十分身についているかどうかを試す共用試験が2005年度(薬学部は2010年度)から実施されているが、獣医学部でも2016年度(2017年2月)に初めて実施される。
 獣医学共用試験は、医学部や歯学部同様、実践的な獣医師養成のためには臨床・公衆衛生・獣医衛生分野の「参加型実習」が必要という考えから導入され、獣医学教育モデル・コア・カリキュラム、共同獣医学部・学科・課程などの教育体制を整えた上での本格実施となった。
 共用試験は、コンピュータ上で知識評価を行うvetCBT(veterinary Computer-Based Testing)と、獣医臨床における診察技能・態度を評価するvetOSCE(veterinary Objective Structured Clinical Examination)の2つの試験からなり、3年の試行期間(2013年に第一期CBTトライアル、OSCEプレトライアルを実施)以後、毎年実施されてきた。
 獣医学の共用試験が、医学部や歯学部、薬学部に比べて遅れたのは、獣医学部・学科の定員が、とくに国立大学では30人から40人程度と少なく、国家試験の全科目に対応する教育体制を構築するのが難しかったため。
 このこともあって、共用試験のトライアルの開始1年前の2012年に、2大学が共同で設置する共同獣医学部・学科・課程をそれぞれの大学の強みを生かすかたちで国立6大学で開設。翌2013年には、岐阜大、鳥取大にも設置され、全大学に「獣医学教育モデル・コア・カリキュラム」が導入されることとなった。
 共用試験は、各大学の参加型臨床実習の開講時期に合わせ、4年次から5年次にかけて実施される。4年次の2月から3月にかけては7大学(岩手大・東京農工大、岐阜大・鳥取大、宮崎大、大阪府立大、酪農学園大)で、5年次の6月から7月にかけては4大学(北海道大・帯広畜産大、山口大・鹿児島大)で、5年次の8月から9月にかけては2大学(東京大、麻布大)で、それぞれCBTとOSCEが同時に実施される。
 CBTとOSCEを2つの時期に分けて行う大学もあり、北里大、日本獣医生命科学大、日本大の3つの大学では、4年次の2月から3月にCBT、5年次の8月から9月にOSCEがそれぞれ単独で実施される。

■樹木医、自然再生士など自然環境の保護・再生専門家を養成

 農学部系統で取得できる資格には、獣医師や食品衛生監視員、理科や農業の中高教員免許などがあるが、いま注目されているのが、樹木医や自然再生士、森林インストラクターなど、自然環境の保護・再生に関わる資格だ。
 樹木医は、樹木の診断・治療、保護育成などを行う専門家(一般財団法人日本緑化センター認定の民間資格)で、全国の桜並木や街道の松並木、名園・庭園の樹木を病虫害などから守る上で欠かせない存在だ。
 樹木医となる方法のひとつに、森林科学科などの樹木医補資格養成機関として登録されている大学に入り所定の単位を修得するという方法がある。所定単位を修得し樹木医補の資格認定を受けた上で1年の樹木の保護・育成、維持管理等に関わる実務経験を積めば、樹木医試験の受験資格が得られる。2016年現在、樹木医補資格養成機関として、40大学(短大含む)、16の専門学校が登録されている。
 樹木医試験は、筆記試験と業績審査による第1次審査で樹木医研修の受講者を選抜する。樹木医研修は12日間で行われ、16科目の講義と試験、面接、樹種同定に関わる適性試験による2次審査が行われ、合格者には樹木医の資格が与えられる。合格者は年間100人程度。2016年12月現在、樹木医の登録者数は、2,569人で、うち女性は276人。
 一方、里山、里海、自然林、人工林、自然林、湖沼等の過去に失われた自然環境を再生し保全・育成する専門家が自然再生士。自然再生士補資格養成機関として登録された大学で所定の科目を履修すると自然再生士補と認定され、さらに1年以上の実務経験を経ることで自然再生士試験の受験資格が得られる。
 自然再生士補資格養成機関として、54大学等、61学部84学科が登録を行っている。自然再生士資格試験は、択一問題、経験論述問題(事前提出)、専門技術論述問題で行われ、合格者には自然再生士の資格が与えられる。2016年12月現在、自然再生士の登録者数は、1,676人で、うち女性は197人。

この記事は「螢雪時代(2017年1月号)」より転載いたしました。

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