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学部トレンド! 2016 社会・社会福祉学部系統のトピックス

  • 【学部リサーチ 2016】 社会・社会福祉学部系統の総合研究

社会・社会学部系統のトピックス

社会学部系統から派生し、地域創生を担う人材を育てる地域系学部の開設が相次いでいる。いずれも地域に入って課題解決型の学習を行うのが特色だ。合わせて社会福祉士・精神保健福祉士国家試験、社会調査士資格の動きを紹介する。

地方創生の担い手となる人材を育てる地域系学部、続々誕生!

 社会学部から派生した学部に、観光学部やメディア学部、地域科学部などがあるが、国の「地方創生」を踏まえ、地方の国立大を中心に、地域系学部の創設が相次いでいる。
 地域系学部は、岐阜大が1996年に設置した地域科学部が最初とされるが、2004年の鳥取大地域学部、2015年の高知大の地域協働学部へと続き、2016年には、宇都宮大(地域デザイン科学部)、福井大(国際地域学部)、愛媛大(社会共創学部)、佐賀大(芸術地域デザイン学部)、宮崎大(地域資源創成学部)の5大学で地域系学部が誕生することとなった。2017年も島根大で地域実践を重視した人間科学部、新潟大でPBL型授業、フィールドスタディを重視した創成学部の開設が予定されており、地域系学部は地方国立大を中心に大きな勢力を占めることになる。
 地域系学部が誕生する背景には、高齢化や人口減少の影響で疲弊する地方を、若者が集まる大学を拠点に活性化させようとする意図がある。
 文部科学省も大学の地域貢献を促す補助事業「地(知)の拠点整備事業:COC事業」を整備するとともに、2015年度からは若年層の東京一極集中の解消を目指す「COCプラス」を開始して大学に地方創生での役割強化を促している。
 社会学部の学習の基本に、社会調査と呼ばれる、実地調査、フィールド調査の手法があるが、地域系学部でもこの手法が実践されている。
 たとえば、福井大の国際地域学部では福井県内の企業や自治体に出向く「課題探究プロジェクト」を1年次後期から3年次まで実施する。2年次から分属するグローバルコース(他は地域創生コース)では海外留学が必修だ。
 高知大地域協働学部では、1年次の「地域理解実習」を手始めに、2年次の事業企画プロジェクト実習、地域共同企画立案実習、3年次の地域協働マネジメント実習等、3年間に約600時間の現地実習を実施する。地域に入り込むことで、地域の産業・生活・文化を理解し、その中で地域の課題を発見し解決するための方策を立案し発表する。こうした地域の多様な人々を巻き込んで、地域社会の新しい魅力を発見し、地域社会に貢献していこうとするのが、高知大に限らず地域系学部の特色と言える。

社会福祉士国家試験新卒合格率は47.1%、精神保健福祉士は74.1%

 社会福祉の分野には現在、三福祉士と呼ばれる3つの国家資格(社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士)が整備されている。これらのうち社会福祉士は、老人福祉施設や障害者福祉施設、地方自治体に設置されている社会福祉協議会(社協)などで、生活・福祉相談をしたり、サービスプログラムの企画・運営に携わったりする専門家で、一般にソーシャルワーカーと呼ばれている。
 最近では、病院などで患者のために働く医療ソーシャルワーカー(MSW)や、社協などに所属し、住民と共同で「制度のはざま」にある人たちのために働くコミュニティ・ソーシャル・ワーカー(CSW)や地域福祉コーディネーターも数を増やしている。
 日本では、MSW、CSW、地域福祉コーディネーターとも国家資格となっていないために、社会福祉士の専門分野としてそれらの仕事を行っている。したがって、社会福祉士は、社協など地域で働く者(CSW、地域福祉コーディネーター、ケースワーカー)、医療機関で働く者(MSW)に2大別され、それらに、病院の精神科などに勤務して、精神障害者の保健および福祉を行う精神保健福祉士が加わっているのが現状だ。
 超高齢社会に突入した日本では、寝たきりの高齢者の介護や、高齢の夫や妻をもう一方が介護する老々介護、最近では介護疲れで被介護者を手にかける「介護殺人」が社会問題化している。保育所不足で働くに働けない母子家庭の問題や、いじめや虐待死など幼児・児童問題も後を絶たない。またブラック企業など若年者を襲う雇用問題や、世界一を記録し続ける自殺問題、ストレス社会が引き起こすといわれるうつ病などの精神疾患も年々増え続けるばかりだ。
 社会福祉士、精神保健福祉士は、こうした社会問題に対して、社会的弱者の立場に立って解決にあたることを使命としている。両資格の受験資格は、科目取得の条件さえ満たせば、大学卒業時に同時取得できるが、いずれも難関化しているため、最近ではどちらか一つに絞って受験する例が多い。社会福祉士国家試験の受験資格は、福祉系大学・学部を卒業する以外に、3つのルートがあるので、2016年1月に行われた福祉系大学・学部を卒業した場合について紹介する。
 社会福祉士国家試験(第28回)の受験者は26,797人で合格者は6,601人、合格率は24.6%だった。新卒に限ると受験者9,441人に対して合格者は4,436人、合格率は47.0%だった。また、精神保健福祉士国家試験(第18回)は、受験者数3,110人、合格者は1,640人で、合格率は52.7%。新卒は受験者1,813人に対して合格者1,344人、合格率は74.1%だった。

社会調査士の資格取得者は約4千3百人、専門社会調査士は160人

 社会調査士とは、社会調査の知識と技術を用いて、世論や市場動向、社会事象などをとらえる専門家のこと。
 社会調査とは、社会学分野でよく用いられる調査手法で、何らかの質問を対象者に行い、集めたデータを分析して、人々の意識や行動などの実態をとらえようとする調査のこと。
 社会調査は、結果の分析法で2つに大別される。一つは、大量のデータをとり、社会の全体像を把握することを目的とする統計的社会調査。もう一つは、少人数へのインタビューや参与観察(実際に集団などの中に入り対象を直接観察する)などの事例的社会調査である。
 統計的社会調査は、面接、留め置き、郵送、集合、電話、インターネットなどによる調査方法があり、大量のデータを扱うことから量的調査とも呼ばれている。また、事例的社会調査は、インタビューや観察など、対象が少数であるため「質的調査」とも呼ばれている。
 社会調査士は、これら量的・質的社会調査の調査法・分析法に精通し、既存の調査についての問題点を的確に指摘し、改善策を提案できる能力があると認められる者に与えられる民間資格(社会調査協会)である。問題解決の手法を身につけられるとして、社会学、社会福祉学などの学部・学科を持つ多くの大学で資格取得が奨励されている。
 社会調査士は、調査設計と実施方法、基本的な資料とデータの分析、統計学、量的データ解析の方法、質的なデータの分析など6つの科目を規定の時間修めることで認定される(取得済科目と履修中の科目の合計5科目以上でキャンディデイト資格が申請できる)。この上級資格として大学院修士レベルの専門社会調査士資格もある。
 社会調査士資格制度は、2004年に始まったためまだ知名度も低いが、それでも全国で約200大学が社会調査士資格に参加(資格取得のためのカリキュラムを整備)、2015年に社会調査士資格を認定された者はキャンディデイトと合わせ4,339人(延べ46,642人)。専門社会調査士はキャンディデイトと合わせて160人を数えている。

この記事は「螢雪時代(2016年9月号)」より転載いたしました。

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