page_top

学部トレンド! 2016 理学部・工学部系統のトピックス

  • 【学部リサーチ 2016】 理学部・工学部系統の総合的研究

理学部・工学部系統のトピックス

2015年は、東京工業大や電気通信大などで大規模な学部改編が行われたが、2016年も、名古屋大や東京海洋大で新学部が開設されるほか、複数ある学科をひとつにまとめてコースを設置するといった学部改組を行う大学も多い。背景に、AI、ロボット技術など、理工系分野の加速度的な進歩に早期に対応しようという狙いがある。

人工知能研究

●東京大学大学院に「先端人工知能学教育寄付講座」

 東京大学は、2016年6月、大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻に、「先端人工知能学教育寄付講座」を設置した。
 寄附講座とは、民間企業などが大学の教育・研究を振興するために、資金を寄付したもので、今回は、トヨタ自動車、三菱重工、パナソニック、オムロン、ディー・エヌ・エー、みずほフィナンシャルグループ、野村総合研究所、ドワンゴの8社が9億円を寄付して実現した。
 寄附講座の目的は、深層学習(Deep Learning)を含む先端人工知能技術とその理論基盤に関する体系的教育プログラムの構築と実施による人材育成。
 人工知能技術が、産業、経済、社会、文化に大きな影響を与える中で、今後あるべき姿などの方向性も含め、先進的で実践的な知識と技能を有する人材を育成することが目的だ。
 人工知能技術は、IBMが開発したディープ・ブルーが、当時(1997年)のチェス世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフを2勝1敗2引き分けで破ったこと、将棋(電王戦)で、世界コンピュータ将棋選手権を勝ち抜いたソフトが、トッププロを次々に破ったことなど、主にボードゲームの世界で注目を浴びてきたが、今年、その複雑さのためにあと10年はかかるといわれてきた囲碁でも世界トップ棋士を破り大きな話題となった。
 これには、膨大な変化手順をしらみつぶしに読む思考法から、ディープラーニングという、人間に近い思考法をコンピュータが身につけたことが大きいといわれている。人間が長い間抱いてきた、“こころ”を持った人工知能への第一歩が始まっているという研究者も多い。
 今回の寄附講座には、将棋「電王戦」を主催するドワンゴやディー・エヌ・エーなど、日本を代表するインターネット・モバイルサービス企業に加え、自動運転で世界としのぎを削る自動車会社、掃除機や洗濯機開発で競争する家電メーカーなどが参加している。中国などの台頭で地盤が沈下したといわれる日本の製造業にとっても起死回生のチャンスと考えているところも多い。

情報系学部新設

●名古屋大学に情報学部

 多くの国々が、コンピュータ・プログラミングを、初等・中等教育から必修化し、日本も2020年から小学校で必修となるなど、情報科学教育の早期化は世界の流れだ。早期から行われるプログラミングに代表される情報教育を大学教育に結びつけ、専門人材を養成する情報系学部の新設が活発だ。
 名古屋大学は、2017年4月、現在の情報文化学部を改組し、情報学部を設置する。目的は、ビッグデータ、人工知能、IoT(Internet of Things)などで劇的に変わる世界において、新たな価値を創造する人材を養成すること。
 設置する学科は、自然情報学科、人間・社会情報学科、コンピュータ科学科の3学科。自然情報学科は、自然現象などを情報学の方法論を用いてモデル化し解明すること、人間・社会情報学科は人間の心理や社会を情報学の方法論を用いてモデル化し解明すること、コンピュータ科学科は、先端的な情報科学技術の開発・適用をそれぞれ目的としている。定員は、自然情報学科38人、人間・社会情報学科38人、コンピュータ科学科59人で、学科別に募集するが、入学後に志望が変わった場合、3年進級時に他学科に転科できる柔軟なカリキュラムとしている。   

●東洋大学に情報連携学部

 東洋大学が、東京都北区赤羽台の新キャンパスに、2017年4月、定員400人で開設予定の情報連携学部も、コンピュータ・サイエンスを基盤として、多様な人々と連携できる力とシステムを連携させる力を育成する学部だ。
 インターネットを通して多様な人々と連携しすばやくアイディアを形にするスキル、プログラミングを活用して様々な分野の専門性を連携させるスキルを身につけ、社会経済にイノベーションを起こせる人材の育成を目指している。
 1年次では、コンピュータ・プログラミングとコミュニケーション・スキルを集中学習。2年次からは、情報ビジネスのマネジメント力を身につける情報連携ビジネスコース、豊かな社会とくらしの創造に挑む情報連携シビルシステムコース、新しい情報サービスを具体化できる力を身につける情報連携エンジニアリングコース、新しい情報サービスや製品をデザインする力を身につける情報連携デザインコースの4コースに分かれ専門能力を磨いていく。学部長には、ユビキタスコンピューティングの第一人者、坂村健現東京大教授が就任予定だ。

資源系学部新設

●東京海洋大学に海洋資源環境学部

 品川キャンパスに海洋科学部、越中島キャンパスに海洋工学部の2学部を設置する東京海洋大学が、2017年4月、海洋科学部を改組して、海洋生命科学部と海洋資源環境学部の2学部を設置。越中島キャンパスの海洋工学部と合わせ、3学部体制となる。
 新設する海洋資源環境学部は、現在の海洋科学部海洋環境学科で行われている「海洋生物学」「水圏環境化学」「環境システム科学」「環境テクノロジー学」の教育研究を母体に、海洋環境、海洋資源、海洋エネルギーを教育研究する学部として誕生する。
 現在、わが国の課題となっている新たな海洋産業の創出に貢献できる人材を育成し、海洋資源の有効利用、ならびに国際競争力の強化に貢献できる人材養成がねらいだ。
 海洋環境に関する様々な問題を学び、海洋環境の管理・修復まで学ぶ海洋環境科学科と、海底資源や再生可能エネルギーの利用や海洋開発などを学ぶ海洋資源エネルギー学科の2学科で構成される予定だ。
 周りを海に囲まれる日本は、陸地面積約38万平方キロに対し、領海を含めた排他的経済水域(EEZ:幅12カイリの領海の外側にあって、沿岸国が、その水域のすべての資源の探査、開発、保全、管理およびその他の経済活動で排他的な管理権を持つ水域)は、その約12倍の約447万平方キロ。米国、オーストラリアなどについで世界で6番目の広さだ。EEZには、魚などの漁業資源だけでなく、石油やレアメタルなどの資源も眠っている。この分野の人材育成が急がれるゆえんだ。

この記事は「螢雪時代(2016年8月号)」より転載いたしました。

螢雪時代 【定期購読】のご案内

国公立大&難関私立大合格!のために読む雑誌

大学選びのための大学情報・入試情報と、合格するための学習方法を毎号満載し、志望校合格をめざす受験生を強力にサポートします。
現在、ステキなプレゼント付きの『定期購読キャンペーン』を実施中!!

年間10か月以上(2018年3月号までの範囲で継続)定期購読される方が対象です。 「5月号(発売中)から2月号まで」あるいは「6月号(5/13発売)から3月号まで」のどち らでも、お申込みいただけます。 ぜひ、ご利用を!

【学部リサーチ 2016】 理学部・工学部系統の総合的研究 記事一覧

大学トレンド 記事一覧