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学部トレンド! 2016 「保育所落ちた!」のブログもあって、社会問題化した保育士不足…

  • 【学部リサーチ 2016】 家政・生活科学・栄養学部系統の総合的研究

家政・生活科学・栄養学部系統のトピックス

「保育所落ちた!」のブログもあって、社会問題化した保育士不足、健康に生きるうえで欠かせなくなった栄養指導で、年々役割が増大する管理栄養士など、家政・生活科学・栄養学部系統のトピックスを紹介する。

食物学・栄養学系統

●チーム医療を栄養面から担う臨床栄養士の養成、本格化!

 臨床栄養士とは、病院などの臨床の現場で活躍する管理栄養士のこと。現在、病院では、患者に対する栄養管理を、患者個々の症例や治療態様に応じて適切に行う栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)の活動が本格化しており、その養成が大学でも始まっている。
 NSTは、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリテーションスタッフ、臨床検査技師などの医療専門家による職種を超えたチームであり、臨床(管理)栄養士には、患者の食事摂取量や摂取状況などのデータを元に、食事の量を調節したり、どのような形の食事を提供したりするなどNST内で中心的な役割が期待されている。
 現在、臨床栄養士という特別な資格はないが、病院で働く管理栄養士を対象に、日本健康・栄養システム学会が養成のための研修を行っており、研修を終えた管理栄養士が、NSTで臨床栄養士として活躍するようになっている。
 大学でも、養成が本格化している。わが国で初めて医学部に栄養学科を設置し、それまでの農学・生活科学に基盤を置いた栄養学から医学部を基盤とする臨床系の栄養学に切り替えた徳島大では、2014年、医学部栄養学科を医科栄養学科に名称変更、臨床系栄養教育を重点化した学科に切り替えた。従来の栄養学科の科目に加え、徳島大病院での臨床栄養系の講義と実習を必修科目に加え、医学を基盤に臨床栄養を実践できる本格的な臨床栄養士の養成をねらっている。
 さらに、1975年という早い時期に日本初の生活科学部を設置し、生活科学の学術研究で日本をリードしてきた大阪市立大も、「地域ケアを担うPh.D.臨床栄養士の養成」を、大学院のプログラム(2015年度文部科学省の医療系大学院教育改革プログラムに採択)とした。大学附属病院のNSTでの臨床インターン研修や地域ケアのフィールドでの臨床インターン研修などを実施し、それらの現場で得た臨床栄養学的課題を科学的に分析・研究を行うことで博士の学位を取得しようとする意欲的なプログラムだ。

●管理栄養士の新卒合格率、前年を下回るも85.1%

 2016年3月に実施された第30回管理栄養士国家試験の結果が5月に発表された。受験者総数は19.086人で合格者総数は8,538人。合格率は44.7%でいずれも前年比ダウン。とくに合格率は前年を11%下回った。
 管理栄養士の国家試験受験資格は、4年制大学で管理栄養士養成施設に認定されている大学であれば、卒業と同時に取得できるが、短大などの栄養士養成施設(2年制)の場合は、卒業後3年以上の実務経験が必要だ。
 管理栄養士国家試験の受験者数は、4年制大学卒業者が9,015人、短大卒業生(3年以上の実務経験)が8,415人とほぼ拮抗。ただ、合格率は4年制大学の85.1%に対し短大卒が9.2%で、これが全体の合格率を下げる要因となっている。
 短大を卒業して栄養士資格を取得した後、実務経験を経て管理栄養士試験に挑戦するのは、時間がたっていることなどもあって難関となっているのが現状だが、4年制大学の場合は、大学の課程をきちんと修めておけばほぼ合格できるといっていい。
 4年制大学卒業生の合格率が高いのは、定員が少なくきめ細かな学修指導が行われていることも背景にある。4年制大学の管理栄養士課程の定員は、国立3大学(お茶の水女子大、奈良女子大、徳島大)の合計で127人、公立18大学で649人と、国公立大では1大学あたり40人程度、私立大でも100人を超える大学は21校しかない。こうした少人数の環境のなかで、管理栄養学科の学生は、実験・実習に追いまくられる。これについていける強い修学意識が学生には求められる。
 国家試験の合格率では、定員100人を超える大学で90%以上を記録した大学が10校、そのうち九州栄養福祉大、岐阜女子大、女子栄養大は95%以上を記録している。また、100人に満たない大学では、19大学が合格率95%以上を記録している。  

保育学・幼児教育学系統

●待機児童問題が深刻化するなか保育士の待遇改善、日程に

 保育・幼児教育も家政・生活科学系の学部が長年担ってきた領域だが、この分野にも大きな変化が起きている。保育所不足と待機児童の問題だ。出産後も退職せず就労を継続する人や、いったん退職しても早期の速場復帰を希望する人が増え続けていることもあって、保育所の増設、定員増は緊急の課題だ。
 こうしたこともあって、自治体は保育所の増設や小規模保育や家庭的保育など地域型保育事業を推し進めた結果、日本全体の受け入れ枠(約253万人)は前年より約19万人増えた(保育所、認定子ども園、地域型保育事業の総計。2015年)。にもかかわらず待機児童は前年より約1万2千人増え、約2万3千人にのぼっている。待機児童の3割は東京、7割強は東京を含む首都圏・関西圏・政令指定都市・中核都市が占めている(厚生労働省調べ)。
 保育所を充実させて、出産後の女性の職場復帰を応援しようという政策は、安部内閣の「一億総活躍社会」というスローガンもあり、社会的なコンセンサスとなっているが、保育所を支える肝心の保育士が不足していることが、この問題を複雑にしている。
 看護師や幼稚園・小学校教諭などは、女性が憧れてつく職業とされてきたが、一時、待遇面での問題などから人材不足が続いていた。これらが解決に向かったのは、報酬や労働時間などの待遇を改善したことが大きいといわれる。
 いま、これらに近い状態にあるのが、保育士と老人ホームなどで働く介護福祉士だ。とくに、子どもが好き、小さい子の面倒をみたいという純粋な気持ちで保育士となったのに、待遇面で評価されず離職に至る現状は深刻だ。
 現在、民間に勤める保育士の月給は全職種平均より約11万円低いとされ、勤続年数も全国平均(12.1年)より約7.6年短い。他方、都内での保育士の有効求人倍率は5.65倍(2016年2月)に達している(厚生労働省調べ)。
 こうした現状を変えるために、国は2017年から2%処遇を改善することを発表(ベテランはさらに厚遇)。合わせて介護福祉士についても同様の改善を発表した。自治体も家賃の補助や再就職セミナーの補助など支援策を次々に発表している。
 現在、保育士資格は、大学のほか、短大、保育系専門学校(2年制以上)を卒業すれば取得できるが、教育の中身は、福祉、幼児教育、人間関係、小児医学など様々な領域が交錯する現状に追いついていない。待遇の改善と共に、教育の中身の検討も必要だ。

この記事は「螢雪時代(2016年7月号)」より転載いたしました。

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