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学長メッセージ「薬学部の魅力って何?」

  • 【学部リサーチ 2016】 医・歯・薬学部系統
  • [2016/4/12]

薬という化学物質を通し、疾病の治療、健康の増進を目指す総合科学

《国立》岡山大学 薬学部 学部長
檜垣和孝(ひがき かずたか)先生

1959年広島県呉市生まれ。広島県立呉三津田高校、京都大学薬学部卒業。同大学院薬学研究科博士後期課程修了。薬学博士。薬剤師。塩野義製薬株式会社研究所を経て岡山大学薬学部助教授。米国ミシガン大学で博士研究員を務めた後岡山大学に戻り医歯学総合研究所助教授、教授。2014年から薬学部長。専門は生物薬剤学で、消化管による薬物吸収を解析することで薬物を効果的かつ安全に投与する研究を行っている。

薬学部とはどのような学部か?

 薬学とは、「薬」という化学物質を通して、疾病の治療、健康の増進を目指すための総合科学です。病気にならず、怪我もしなければいいのですが、多くの人々は、長い人生のどこかで病気になったり、怪我をしたりします。その克服のために必要不可欠なのが医療であり、それを支えるのが薬です。

 薬学部は、薬を生み出すために必要なこと、および、薬を通して医療・環境衛生維持に貢献するために必要なことを教育・研究する学部です。薬を生み出すためには、まず、病気発症のメカニズムを知り、次に、病気の原因、症状を抑えることのできる化学物質の探索・精製・合成を行い、さらに、その化学物質の効果、安全性を調べ、体内に入ってからの運命を明らかにしたうえで、その化学物質を薬にするという工程を踏みます。

 また、薬を通して医療・環境衛生維持に貢献するためには、薬の適切な投与方法、投与計画の立案と服用指導を行い、薬を適切に管理し供給し、医療スタッフとして適切な治療遂行に携わること、薬・化学物質の知識を生かして、環境衛生を維持・管理することが必要になります。

 薬学部では、薬を作ったり使ったりするだけでなく、人々が生活する環境の維持に至るまで非常に幅広い研究が行われているのです。

薬剤師、薬学研究者への期待

 これまで述べましたように、医療を支えているのは医薬品であり、薬がなければ、治療もできないのですが、依然として、薬の選択、治療方針の決定は、診療を行う医師が行っています。

 しかし、薬のことを一番知っているのは、薬剤師であり、その薬剤師の知識・経験が薬の選択、治療方針の決定に活かされるべきです。実際、そうしたことに関わる薬剤師が多くの病院で活躍し始めています。これから薬学部、薬剤師を目指す皆さんには、薬の専門家として、チーム医療を牽引していく、そういう薬剤師を目指してほしいと思います。

 また、一方で、町中にある調剤薬局、ドラッグストアなどで、地域に根差した「かかりつけ薬剤師」もクローズアップされています。日々の健康相談、服薬指導、在宅医療などで、地域の人々の健康維持に貢献することのできる薬剤師です。こうした薬剤師は求められてはいますがまだまだ少数です。“困ったら、まず、あの薬剤師さんに相談しよう”そのように頼りにされる薬剤師がこれからはますます必要です。

 現在、病気の治療形態は大きく様変わりしてきています。たとえば、iPS細胞などを用いた再生医療を行うには、それをサポートするためのさまざまな医薬品が必要です。薬学研究者には、このような医療の進歩、多様性に対応し、疾病治療、健康維持に役立つ医薬品を生み出すことが求められています。そのためには、視野を広く持ち、さまざまな情報、新しい情報をいち早く取り入れ、それを画期的な新薬に結びつけることが求められます。

岡山大学薬学部の教育の特色は

 岡山大学薬学部は、昭和44年4月に医学部薬学科として発足しました。しかし、岡山の地には、明治23年に第三高等中学校医学部薬学科が設置(明治27年に廃止)されるなど、古くから医学・薬学の研究・教育に非常に熱心であり、岡山大学薬学部にも、その伝統と精神が受け継がれています。

 昭和51年5月には、薬学科、製薬化学科からなる薬学部となり、平成18年4月には、6年制の薬学科と4年制の創薬科学科として新たにスタートしました。一方、平成17年4月には、大学院改組により医歯薬学総合研究科が設置され、生命科学、医療研究領域の実質的な融合を図ることで、先端的な医療研究、高度生命科学研究の推進と教育を目指しています。

 岡山大学薬学部は、学生諸君の入学時の目標を確実に実現していただくために、6年制の薬学科(定員40名)と4年制の創薬科学科(定員40名)を別々に募集しています。

 入学後3年次前期までは、薬学全般についての基礎的な知識、実験技術等を身につけてもらうため、両学科とも、ほぼ同一のカリキュラムとなっています。3年次後期には、両学科とも研究室へ配属し、卒業論文研究の準備を始めることになりますが、カリキュラムもこれ以降は異なりますのでその紹介をします。

 薬学科(6年制)では、医療薬学に密接した講義が配当され、4年次では、薬剤師養成のために必要な、より実際的な講義・実習「実務実習事前教育」が行われ、4年次後期に実施される2つの共用試験、CBT(Computer-Based Testing)、OSCE(Objective Structured ClinicalExamination)に備えます。

 5年次では、計5か月にのぼる病院・薬局実務実習があり、病院実習は岡山大学病院薬剤部で、薬局実習は主に岡山市内の保険調剤薬局で行われます。

 6年次修了後に行われる薬剤師国家試験では、毎年、高い合格率を維持しており、特に、国公立大学の中では、常にトップクラスの合格率を誇っています。一方で、リサーチマインドを持つ薬剤師の養成を目指しており、この間にも、卒業論文研究に従事できるよう配慮しています。博士課程には、がんプロフェッショナルコースなど、特色あるコースを備えており、多くの学生諸君が進学しています。

 創薬科学科(4年制)では、創薬関連の研究、教育者の育成を目指しています。カリキュラムも、講義中心の教育から、配属された各研究室におけるそれぞれ与えられたテーマについての実験・研究中心の教育となります。研究に携わることで、さまざまな問題を自ら解決する能力の涵養を図っています。

 卒業後は、ほとんどの学生さんが大学院博士前期課程薬科学専攻に進学し、より密度の濃い研究に取り組むことになります。前期課程修了後は、多くの学生諸君が製薬企業等に就職し、研究・開発職として活躍しています。博士後期課程への進学も奨励しており、より多くの学生さんに将来を担う研究者、教育者を目指していただきたいと期待しております。

 1年次から担任制を導入し、きめ細かい指導を心掛けていること、また、医学部の協力を得て「人体解剖学」を開講していること、現在、多くの大学で取り入れられるようになったSGD(Small Group Discussion)形式の授業をいち早く取り入れ、コミュニケーション能力の醸成に力を入れていることも両学科共通の特色です。

 また、薬学科では、早期に、岡山大学病院薬剤部における薬剤師業務について体験していただく「早期体験学習」を、創薬科学科では企業見学を実施しています。

受験生に望むこと

 岡山大学薬学部は、JR岡山駅にほど近い、広大な津島キャンパス内に位置しています。中央図書館や、食堂、売店などの施設も近く、大変便利な立地となっています。また、近隣には、国体も行われた岡山県総合運動公園があるなど、交通の便が良いだけでなく、自然環境にも恵まれています。

 その中にあって、薬学部は、改修されたばかりの本館(1号館)、新築の2号館からなり、講義室、学生諸君のためのアメニティスペースなども充実し、隣接する遺伝子実験施設とともに、先端の設備が整っています。医・歯学部のある鹿田キャンパスでは、昨年、医歯薬学融合棟が竣工し、薬学部の臨床系教育の拠点として活動を始めています。

 大学は、答えのない研究に取り組む場です。頼りになるのは、高校までに身につけた数学、英語、化学、物理、生物、英語、国語などの基礎知識と論理的思考力です。基礎をしっかり身につけること、そして、単に、記憶するだけではなく、できるだけ、原理・本質を理解するように努めることが大切です。

 実験、研究を進めて行く中では、何が問題なのか、それをどう解決していくのかが常に求められます。受身ではなく積極的に考え行動する、そういう姿勢が必要です。

 また、自分の考えをしっかり表現することも大切です。医療従事者としては、医薬品情報を医師・患者等に正しく伝え、重要性を認識させ、用法等を遵守してもらうために、研究・開発者としては、研究の成果を理解・納得してもらうことが不可欠だからです。

 さらに、相手の意見、話に耳を傾けるという姿勢も大切です。薬剤師としては、患者さんの話をしっかりと聞き、より良い治療に導いていくために、研究者としては、共同研究者としっかり意思の疎通を図るために必要だからです。

 病の謎を解き明かすこと、ひとつの「薬」を生み出すこと。これは本当に大変なことです。また、人々の病を治すこと、健康を取り戻す手助けをすること、これもまた大変なことです。

 岡山大学薬学部では、こうしたことに挑戦するべくすべての教職員・学生が一丸となってチャレンジしています。薬の創製、医療の担い手を目指す情熱ある若者の挑戦を期待します。

この記事は「螢雪時代(2016年4月号)」より転載いたしました。

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螢雪時代・12月号

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