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学部長メッセージ「医学部の魅力って何?」

  • 【学部リサーチ 2016】 医・歯・薬学部系統
  • [2016/4/12]

患者の苦しみを前に何ができるか、それを感じ、動ける人であってほしい

《私立》関西医科大学 学長
友田幸一(ともだ こういち)先生

1951年大阪府生まれ。関西医科大学卒業後、同大学助教授、金沢医科大学教授、関西医科大学教授、同大学副学長を歴任し2015年より現職。耳鼻咽喉科手術支援ナビゲーションシステム導入や鼻副鼻腔内視鏡手術の遠隔教育システム開発などの実績で知られる。

“工学的”な視点が支える医学の発展

 まずは、私が医学を志した動機についてお話ししたいと思います。私の父は今の私の専門と同じ耳鼻咽喉科の医師だったのですが、実は私自身は大学受験の当初、現在のコンピュータの前身となる電算機が発展の途上にあった時代背景や生来機械が好きだったこともあいまって、医学部は併願しつつも第一志望にしていたのは電子工学系の学部でした。

 そんな私にとってひとつの転機となったのは1970年に開催された大阪万博。当時受験生だった私も何度となく会場を訪れてはさまざまなパビリオンを見て回ったのですが、その中のひとつに展示されていた人間型ロボットの姿に大きな衝撃を受けました。それまでの産業用ロボットとはまったく違う“人”を模した機械。この分野を学ぶにあたって自分は“工学的”な視点で臨むべきなのか、あるいは“人の身体のしくみ”を追求する方向でアプローチすべきなのか悩んだ結果、後者を軸に学ぶべく医学部への進学に方針転換したのです。

 そして大阪万博から46年。人間型ロボットにはより人間に近いすばらしいものが次々に現れ、当時の私が想像した世界が現実になりつつある感じがします。ただ、これは実際に医科大学に入学し、解剖実習などを経験してから感じたことですが、人体の仕組みが持つすばらしさに機械はまだ遠く及びません。

 一方、医学の世界においてもめざましい技術革新が進んでいます。例えば、かつての耳鼻咽喉科の手術といえば患部が露出するほどに切開を行うことがふつうでしたが、現代は内視鏡などを用いて患者さんの身体を大きく傷つけない手術ができるようになっています。この手術技法を実現するにあたって課題となったのは、肉眼で見えないのにどうやって内視鏡を患部まで到達させるのかということでした。その課題を解決したのが手術支援ナビゲーションシステムの開発です。これは執刀医が操作している内視鏡の位置をCTスキャナの画像と組み合わせ、さながらカーナビゲーションのように指し示してくれるもので、今ではどんな病院の手術室にあると言ってもよい機器です。

 このシステムをはじめ、現代の医療では「誤認しない」「ミスをしない」という機械の特性を、執刀医と助手の肉眼をさらに補う“第3の眼”として活用する手法が定着していますが、こうした環境が実現できるのは機器やシステムを開発する企業と大学との連携、また工学的な知見あってのことです。そういう意味でも、工学に興味を持ちながら医学の道に進めたことは幸運だったと感じています。

技術の“標準化”と医師育成環境の変化

 関西医科大学では2014年に研究医養成コースを開設しました。研究医の研究内容は「基礎研究」と「臨床研究」の二つに大別され、前者は人体・生命活動に関わるさまざまな事象の解明から病気の原因解明につながっていきます。後者はより医療現場の課題に近い「医療の質・技術をより発展させる」ことを目的にした研究となります。

 一例を挙げると、臨床研究の分野で私が取り組んできたテーマに“医療技術の標準化”というものがあります。特に外科医の世界では職人芸的な技を持つ「手術の名人」のような医師が存在しますが、その数の少なさゆえ患者さんの誰もがその恩恵を受けられるわけではなく、またその技術の継承方法も確立されてはいません。一方で、外科手術にはヒューマンエラーに起因する医療ミスのリスクが常につきまといます。

 名人とまでは行かずとも、医療の技術レベルから医師の技量の個人差をできるだけなくし、ミスのリスクを減らすにはどうすればよいか。そこで力となってくるのが、先ほども述べた工学的視点です。執刀医の動作を分析して数値化し動きのムダなどを指摘する、あるいは手術の一連の動作の流れから致命的なミスを指摘する、そういった役割を機械に持たせることで、すべての医師にある一定以上の技術水準や安全水準を維持できるようにしたいと考えてきました。システムの一部はすでに医師教育の現場に導入されていて、かつては先輩の見よう見まねで受け継がれてきた医療技術が、より客観的かつ標準的に習得できる環境ができあがりつつあるのです。

受験生に知ってほしい医師の“資質”

 ここまででお話ししたように、技術発展や新しい知見の導入によって、医療技術そのものだけでなく医師を育成する環境も大きく進歩しています。先輩から叱られながら技術を習得するほかなかった私たちの世代から見ると、いまの医学生はずいぶん恵まれた環境にあるように思えますが、そのぶん「甘さ」を感じることもあります。

 ご存知のように、医学部という学部は入試の難易度という観点では他の学部系統とは比較にならないほど高いレベルと言えます。このため、高校や予備校での成績が高いことのみを理由にして医学部を志望し、いざ合格・入学したものの適性が合わないことに気づくというケースがあるのもまた事実です。関西医科大学に入学する学生も当然優秀な子が多いのですが、その「優秀」が「知識を集める能力」にとどまっている場合が少なくないように感じます。

 私が医師にとってまず必要であると考える素養は、いまそこで苦しんでいる人に対して何ができるかを感じ、考えられる「感情」です。関西医科大学では学生たちを、例えば在宅医療の現場など、医療設備の整っていない現場で実習させる取り組みを行っています。充分な設備もない、道具もない、しかし目の前の患者さんは苦しんでいる―そうした現場を目の当たりにして感じさせ、そこで何ができるかを学生に考えさせるということです。まだ学生ですから医療行為はおろか、できることは非常に限られていますが、患者さんの話を聞いてあげるだけでも、痛いところをさすってあげるだけでもよいのです。しかし、どうすべきかはこちらからは敢えて指示しません。そこで学生が何をするか、できるかを見ることで、ある程度は医師としての資質や今後の進路の方向性が見えてくると思っています。当学では6年間の医師教育を通じて知識だけではない現場での体験を重視しており、こうした機会は今後も増やしていきたいと考えています。もちろん、医学生の進路は臨床医ばかりではありません。研究医という進路も選択肢のひとつです。方向性をあまり狭めることなく、将来の夢やビジョン、やりたいことについて自ら考える姿勢を持ってもらえればと思います。先ほどご紹介した研究医養成コースもそうなのですが、当学では将来の進路を決める機会の幅をできるだけ広げられるよう留意しています。特に関西医科大学独自の取り組みと自負しているのが3年次に行う「配属実習」です。これは芸術やスポーツその他、医学分野に限定しない活動テーマを学生自身が設定し、それを1ヶ月間にわたり実行するというものです。こうした活動を通じて、医学知識の集積や技能習得だけではなく、コミュニケーション能力をはじめ人間としての幅を広げられると考えています。

 また、医師という職業には“即断即決”を求められる場面が多々あります。ある意味入試にも通ずる素養かもしれませんが、何事もすばやく決断を下せる力を育てていただきたいと思います。ただ、即断即決と拙速は大きく異なるものです。すばやく、かつ正しい判断を行うには、自らを常に安定した状態に置くセルフ・コントロールの能力も欠かせないことを忘れないでください。

 最後に、医学部をめざす受験生の皆さんに覚えておいていただきたいことがあります。関西医科大学の今年の大学案内は、冒頭に次のようなメッセージを掲げました。

 「Medical Doctor、Scientistをめざすあなたの入学を待っています」。

 医科大学が掲げるメッセージとしては実に当たり前のことが書いてあるのですが、その“当たり前”のこと―医師・科学者になるということ―がどういうことか本当にわかっていますか、という思いを込めて、敢えてこのシンプルなメッセージといたしました。他の学部と違い、医学部は入学することがすなわち将来の職業をほぼ決定するということです。受験生のみなさんにはそのことをいま一度自覚したうえで、受験勉強に励んでもらいたいと思います。

この記事は「螢雪時代(2016年4月号)」より転載いたしました。

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