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学部長メッセージ「農学部の魅力って何?」

  • 【学部リサーチ 2015】 農・獣医畜産・水産学部系統
  • [2016/1/1]

農学は世の中の役に立つための〝実学〞。社会のニーズに応えていくことが使命

東京農工大学 農学部長
荻原 勲(おぎわら いさお)先生

1955年群馬県生まれ。千葉大学園芸学部卒業。東京農工大学大学院修士課程修了。群馬県庁に入り農業改良普及所、園芸試験場などに勤務。東京農工大学農学部助手、助教授を経て教授。2013年より農学部長。園芸作物の高収量・高品質の持続生産を可能にする技術や品種の開発の研究で知られ、農工大内に設けられた「植物工場」で、ブルーベリー、イチゴなどの果実の高収量生産が実用化している。『図説 園芸学』(朝倉書店)『人が学ぶ植物の智恵』(東京農工大学出版会)『家庭でできるおいしいイチゴづくり12か月』などの著書がある。

農学部とは?身につく力は?

 農学は、学んだことを世の中の役に立つよう応用する“実学”であり、社会のニーズに応えていくことを使命とする学問です。

 農学が他の学問と大きく違っているのは、目の前にフィールドが広がっていることです。私の専門は園芸学ですが、園芸学の対象は、農家や花卉(かき)栽培農家が実際に栽培している園芸作物であり、それらが栽培される農地です。研究も理論だけではなく、実際に園芸に携わっている人々の役に立つ研究でなければなりません。このように、実際に田や畑、山林、湖沼や海などで働く人々、そうした人々が生み出した生産物を消費する人々の役に立つことを目指した研究を行うことが農学という学問の最大の特色です。

 現在、国内では、少子高齢化もあって農山漁村の衰退が顕著です。手入れされた山林に貯蔵され、時間をかけて流れ出た水がふもとの耕作地や海洋・湖沼に豊かな恵みをもたらすといったサイクルが崩れつつあります。世界でも人口爆発、食糧不足、化石エネルギーの枯渇、地球温暖化の影響による気候の変動、感染症の問題など解決しなければならない課題が山積しています。こうした国内およびグローバルな問題の解決に大きな役割が期待されているのも農学であり農学部です。

 農学部では、どのような大学・学部であっても、入学後3年間にわたって講義や実験で研究の基礎を身につけ、最終年次では研究室に所属し、自らの関心に沿って研究を進め、教員と議論を重ね、その成果を論文としてまとめ上げます。その過程で、自分で物事を考える力を涵養し、プレゼンテーション能力を修得します。こうした教育・研究を通して身につけられるのが、課題を見つけ解決する力、つまり「課題探求能力」です。農学部で学ぶのは人々の実際の役に立つ「実学」、身につくのは「課題探究能力」といっていいと思います。

140年余の伝統自然豊かなキャンパス

 そうした使命を持つ農学部のなかにあって東京農工大学は、大久保利通の魂を受け継ぐ長い伝統がある、都心から近く緑豊かで環境に恵まれている、160以上の多様な分野で独創性のある最先端の研究が行われ高度な専門性を身につけられる、少人数教育で学生と先生の距離が近いなど、多くの特色を持っています。

 明治の元勲(げんくん)・大久保利通は、幼少時からの親友であった西郷隆盛とともに明治維新を成し遂げた人物ですが、西郷が主に軍事面で才能を発揮したのに対し、大久保は内政面で稀有な才能を発揮しました。大久保は国力を高めるためには産業の開発が急務であると説き、特に農業の振興には人材が必要であるとして、1874年に農事修学場を設置しました。この学校が4年後に駒場農学校、1890年には帝国大学農科大学となり、これを前身に1935年現在の地に創設されたのが本学の前身「東京高等農林学校」なのです。大久保は私財を学生の奨学金にあてるなど援助をし続け、その功績をたたえた記念碑が農学部本館の前に建てられています。

 新宿駅から最寄り駅まで中央線、京王線でそれぞれ20分と、キャンパスが都心から近いこと、豊かな武蔵野の緑の中にキャンパスがあることも本学の大きな特色です。

 本学の正門から国の登録有形文化財である農学部本館まで続くけやき並木。農学部本館、図書館、研究棟などに囲まれた池のある中庭などに加え、東京ドーム1.5個分という広大な農場があり、学生の実習の場となっています。農場には、サラブレッド15頭、アメリカンミニチュアホース4頭のいる厩舎と馬場、乳牛40頭のいる牛舎、最新鋭の設備を誇る動物医療センターなどが接していて、農場内の花木が植えられた道や、本学で生産された野菜や果物、味噌、アイスクリーム、乳酸菌飲料などを週2回直売する「農工夢市場」は、地域の人々でいつもにぎわっています。

5学科で世界最先端の研究を展開

 文部科学省のグリーン・クリーン食料生産を支える実践科学リーディング大学院プログラム、アジア・アフリカ現場立脚型環境リーダー育成プログラム、アグロイノベーション研究高度人材養成プロジェクトなどに選定されているように、世界最先端の研究にチャレンジしているのも本学の特色です。

 本学では、アグリサイエンス、バイオサイエンス、エコサイエンスおよびアニマルサイエンスの農学の広大な領域をカバーする160名の教員スタッフにより、学内の先進植物工場、硬蛋白質利用研究施設、遺伝子実験施設、国際家畜感染症防疫研究教育センターなどの最先端研究施設を利用した研究が行われています。こうした研究のなかには、世界で一番売れている薬として有名な高コレステロール治療薬スタチンを発見しラスカー賞を受賞した遠藤章教授(現特別栄誉教授)の研究なども含まれています。

 分野ごとでは、アグリサイエンスの分野(生物生産学科)で、土壌微生物間相互作用に基づく植物への特異的養分供給機構の解明や作物の生産力向上のためのゲノム情報を利用した戦略的研究などが、エコサイエンスの分野(環境資源科学科・地域生態システム学科)で、植物バイオマス高度利用のための細胞壁分子構造解析や東アジアの越境大気汚染のネットワーク解析などが、バイオサイエンスの分野(応用生物科学科)で、細胞におけるRNA代謝機構の解明とその制御法の開発などが、アニマルサイエンスの分野(共同獣医学科)で、動物の皮膚病の発生メカニズムの解明や性のメカニズムの解明などの最先端研究が行われています。

 また、文部科学省のプロジェクト研究では、福島の原発事故に対応する「大学固有の生物資源を用いた放射性元素除去技術」の研究や、希少動物や有害野生動物などに対する「野生動物管理システムの開発」、鳥インフルエンザやBSEなどに対する「国際家畜感染症撲滅プログラム」を行うほか、本学の特色である農学部と工学部による「農工融合研究」も推進しています。

教育の特色は

 農学部では、学生に理解力、洞察力、実践力などを身につけ、ひいては“問題解決能力”や“課題探求能力”を身につけてもらうために、様々な取り組みを行っています。そのひとつが、4年間のカリキュラムのフローチャートを示していることです。これにより4年間で身につける能力、学生の目指す方向を明らかにしています。

 2つ目は、大学導入教育として、1年次から「農学基礎ゼミ」を実施し、持続可能な地球のための科学技術教育「MORE SENSE」を行っていることです。これらのうち「農学基礎ゼミ」は1クラス8人の少人数で行われる必修授業で、大学での学びの仕方などを学びます。また、「MORE SENSE」は「入門」と「科学技術と社会」からなり、「入門」では農工大の歴史や農学部の研究活動、地域・社会への貢献などについて、「科学技術と社会」では農学と市民教養のインターフェイスとしての科学技術的教養を身につけることを目的にしています。

 これからのグローバル社会で必須となる英語教育についても、1・2年次のみでなく、3・4年次でも履修できる体制を整えています。3・4年次で開講されているのはAcademic ReadingとAcademic Communicationで、これらに加えTOEICやTOEFLなどを受験する学生のためのEnglish Exam Preparation Course、国際感覚を養成するための演習科目Communication Skills for Scientistsを設けています。

 学科横断科目やコミュニケーション重視の外国語教育でサイエンティストとしての素養を身につけた学生は、3~4年次になると卒業研究を行います。学生は研究室に所属し、自らの関心に沿って研究を進め、ときには教員と議論を重ね、その成果を論文としてまとめ上げます。

 こうしたグローバルな教育を身につけた学生や研究者が活躍できる場として2014年に設立されたのがグローバルイノベーション研究機構です。食料分野・エネルギー分野・ライフサイエンス分野について国際共同研究を行う機関で、世界的に著名な外国人研究者を中核教員とした戦略的研究チームを各重点分野に配置し、若手研究者の育成を重視した研究を推進することで、理系技術と経営力を併せ持つ、国際感覚に優れた研究成果の実用化を担うグローバル理系人材の育成を行うのが目的です。

夢の実現を手助けしたい

 東京農工大学には、地球環境問題に貢献したい、食糧危機から人類を救いたい、感染症や不治の病に苦しむ人を助けたいといった強い目的意識を持った学生が集っています。都会の中ではめずらしい、キャンパスの中に実習のできる農場や厩舎、畜舎を持ち、学生たちが生産したものはキャンパス内のお店で市民に販売されています。農学は市民のために役立ってこその学問です。ぜひ志を同じくする人が多数、農工大の門をたたいてくださるよう願っています。

この記事は「蛍雪時代(2016年1月号)」より転載いたしました。

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