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学部長メッセージ「地球社会共生学部の魅力って何?」

  • 【学部リサーチ 2015】 法・政治・国際関係学部系統
  • [2015/12/1]

貧困、紛争、差別など、地球規模で起こる様々な問題を、社会科学の総合力で解決する

青山学院大学 地球社会共生学部長
平澤典男(ひらさわ のりお)先生

1950年茨城県水戸市生まれ。茨城県立水戸第一高校,一橋大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科修士課程修了。一橋大学経済学部助手、青山学院大学経済学部助教授、教授を経て2006年経済学部長、2012年副学長に就任。2015年地球社会共生学部長。専門は公共経済学で『マクロ経済学基礎理論講義』などの著書がある。

皆さんは未来からの留学生!

 高校生の皆さんは、未来からの留学生です。大学に入り何かを学んで卒業し、社会の中堅となって活躍する未来が、皆さんの活躍する舞台となるからです。それでは、皆さんが活躍する20年後、30年後の未来世界は、どのようになっているでしょう。
 1980年代は経済が右肩上がりで伸び、日本は世界2位の経済大国となって国民は豊かさを謳歌しました。しかし1990年初頭のバブル崩壊後「失われた20年」と呼ばれる景気の停滞が長く続きました。その間、日本のGDPは中国に抜かれ、経済競争力も新興国の追い上げを受けて年々弱くなり、国内では少子高齢化の急速な進行で生産を支える基盤が崩壊しようとしています。これまでのように大学に入って大学生活を謳歌して有名企業に入って安定した人生を送るなどということはもはや夢物語になっているのです。
 専門機関の予測によると、日本の人口は現在1億3千万人ですが、これから徐々に減少し、2050年には約8千万人にまで減るということです。私が生まれた1950年代は10人で高齢者1人を支えれば良かったのですが、2050年は若者1人が高齢者1人を支えることになるのです。
 現在でも、日本で作った製品が国内で売れない状況となっていますが、人口が現在の60%近くまで減少する2050年には、それはもっと加速し、1人当たりのGDPは大きく減少して生活水準が低下することが確実に起こります。皆さんは、こうした時代で社会を支えていかなければなりません。
 1990年代は「国際化」の時代といわれましたが、一般国民にまで国際化は定着しませんでした。それは作ったものが国内で売れ、国内で経済がうまく循環していたためです。これからはそうはいきません。少子高齢化が進んで作ったものが売れなくなる社会が目前に迫っているからです。

アジアの時代がやってくる

 こうした時代に、生活水準を下げず、これまでに築いてきた生活文化を維持していくためにはどうすればいいでしょう。それは国際社会に目を向け、グローバル社会で生き抜く力を身に付けることでしか解決できません。いま日本には年間2千万人の外国人観光客が訪れ、北海道をはじめ日本の至るところで長期滞在したり、定住する外国人が増えています。もはやグローバル化から逃げることは、たとえ日本国内にいても避けることはできなくなっています。グローバル化に対する知識とそれに対応する力をきちんと持つことは、高校生の皆さんに限らず誰にとっても必須のことなのです。
 これからの若者に求められるのは、国内にとどまらず世界の中で活躍できる人材になることです。これまでのように外国で稼いでそれを日本に持ってくるというのではなく、世界で働くことで現地の人々に感謝され、現地に定着できるような仕事をする人材が求められているのです。
 それでは皆さんが20年後、30年後に活躍する舞台はどうなっているでしょう。現在、世界のGDPの4割はアメリカと西欧が占めていて、日本と中国を含めてもアジアは3割に過ぎません。それが国連などの専門機関の予測では、2050年にはアメリカ・西欧が2割になり、アジアはインドなどの成長もあって世界のGDPの半分を占めるようになります。また、現在1割程度のアフリカがアメリカ・西欧を抜いて3割を占めるようになります。
 30年後に皆さんが働く職場では、10人の同僚のうち2人がアメリカ・西欧、5、6人がアジア諸国、アフリカが3人ということになるのです。こうした社会で、世界の人々と協働できる人材を養成することは、本学に限らず日本の大学にとって急務です。

社会科学の総合力を身につける

 青山学院大学が、地球社会共生学部:School of Global Studies and Collaboration(GSC)を創設したのは、未来社会からの留学生である高校生の皆さんが活躍する20年後、30年後の、アジアが中心に廻っている社会を想定したものです。
 これまでにない「地球社会」ということばを学部名称に入れたのは、これまでの「国際:International」が、国と国との関係性を重視したのに対し、Globalが国境のない社会を意味し、そこでアジアの途上国などの人々と共生して働くことのできる人材を養成することを狙ったからです。また、青山学院の教育理念にある「地球規模の視野にもとづく」という言葉を具現化する意図もあります。
 それでは、20年後、30年後の「アジアの時代」に活躍できる人材をどう養成するか具体的な内容を紹介します。ひとつは、学部全体として「社会科学の総合力」を身につける教育を行っていることです。社会科学とは、経済学や経営学、法律学、政治学、社会学といった社会の組織や仕組みを解き明かすことを目的にした学問のことですが、これらを1・2年次で広範に学び、3・4年次で、それらのうちから専門分野を選んで研究を深めるという学びをします。
 日本の大学はこれまで学部・学科の垣根が高く、様々な学問を横断的に学ぶことが困難でしたが、地球社会共生学部では、これらを、コラボレーション領域、ビジネス領域、メディア/空間情報領域、ソシオロジー領域の4つのクラスター(専門領域)に分けて教育を行います。
 コラボレーション領域では、国際協力論や国際政治学などで世界と協力し連携することを、ビジネス領域では経済学や経営学などで世界の人々と協働することを、メディア/空間情報領域では、メディア学やジャーナリズム学などで情報を受発信することを、ソシオロジー領域では、社会学や文化人類学などで世界を分析することを学びます。
 地球社会共生学部が、4つのクラスターを設けて、横断的な学問を行うのは、途上国や新興国で必要とされるのは、専門分野の深い知識よりも、様々な問題を解決するための横断的・総合的な力だからです。
 たとえば、中学や高校のサッカー部で活躍していた人が地球社会共生学部に入学し、将来、ベトナムで日本のJリーグを紹介する雑誌を作りたいと思った場合、ビジネス領域では出版社を起業するための知識を、メディア/空間領域では、出版やジャーナリズムの内容や方法を、コラボレーション領域では、ベトナムの人々と一緒に働くことを、ソシオロジー領域では、現地の出版事情やサッカー事情などを調査する力を、それぞれ養うことができます。

貧困など地球規模の問題に立ち向かう

 4つのクラスターで「社会科学の総合力」を身につけると同時に、差別、貧困、紛争、情報格差という4つのグローバル・イシュー(地球規模の問題:Global Issue)と向き合える人材を養成するのも地球社会共生学の特色です。
 人種や民族、男女、出身階層などによる差別についてはソシオロジー領域で、一日1.25ドル以下で生活している人が12億人もいる貧困についてはビジネス領域で、イスラム国、ロシア・ウクライナ、シリアと後を絶たない紛争についてはコラボレーション領域で、情報が行き渡らないために起こる様々な問題についてはメディア/空間領域で、それぞれ学ぶことができます。
 いま、地球社会で起きている問題はこれら4つだけではありません。人権問題、環境問題、食糧問題など、解決が待たれる問題がたくさんあります。国と国との問題は、条約などを締結することで解決方向に向かいますが、これら国境を超えたグローバルな問題は、NPOやNGOなど国を超えた人々、組織の力が必要です。私たちの学部はこうしたグローバル・イシューに取り組む人材を、人と人とが国を超えて結びつくことで養成したいと考えています。

「地の塩、世の光」となるために

 最後に、地球社会共生学部の英語教育と必修の留学についてご紹介したいと思います。タイのタマサート大学とチュラロンコン大学、マレーシアのクアラルンプール大学などの東南アジアのトップクラスの大学に、2年次後期か3年次前期に半期間の留学を必須で行います。これらの大学に留学し、専門科目を履修するにはiELTSの高いスコア取得が必要となるため、入学後からネイティブ・スピーカーの教員によるイングリッシュオンリーの90分授業を週6コマ展開します。地球社会共生学部は定員190人ですが、すでに1年前期で40人がiELTS6.0をクリアし、70人がiELTS5.5をクリアしています。全員が目標をクリアし交換留学に行ってくれることを確信しています。 また、学生は20人程度でチームをつくり、チームごとに配置された教員のサポートを受けて、ボランティア活動や懇親会など様々な活動を自主的に行っています。
 青山学院のスクールモットーは聖書の言葉である「地の塩、世の光」ですが、本学では「すべての人と社会とに対する責任を進んで果たす」人材を育成する教育を行っています。アジアの時代の「地の塩、世の光」となって活躍しようとする志のある方々の入学を私たちは心から待望しています。

この記事は「蛍雪時代(2015年12月号)」より転載いたしました。

この記事で取り上げた大学

蛍雪時代

螢雪時代・12月号

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