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学部長メッセージ「法学部の魅力って何?」

  • 【学部リサーチ 2015】 法・政治・国際関係学部系統
  • [2015/12/1]

生活や企業活動の武器となる法律・政治の専門知識を身につけよう

明治学院大学 法学部 学部長
渡辺充(わたなべ みつる)先生

1957年北海道小樽市生まれ。中央大学商学部会計学科から成蹊大学大学院経営学研究科に進む。小樽女子短大、東北文化学園大学を経て2004年明治学院大学に着任。2008年より現職。専門は租税法。著書に『検証!国税庁情報の重要判決50』(ぎょうせい)など。趣味は油絵で、学部長室には数々の作品が飾られている。

法律は身近なもの。政治も高校生により身近に

 皆さんは、法学部に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。弁護士や検察官、裁判官を目指すというイメージや、あるいはどこか堅いイメージがあるかもしれません。弁護士などの法曹を養成するのも法学部の大きな使命ですが、それは一つの側面に過ぎませんし、法律は特別なことではなく、私たちの周りはあらゆることが法律で守られています。たとえば身近な例でいうと、赤信号のときに横断歩道を渡るのは法令違反で、道路交通法では歩行者も信号を守ることとされています。今年の6月から自転車の交通違反に対する罰則が強化されたのは、高校生の皆さんもご存じだと思います。
 私の専門の租税法に関連していうと、皆さんは毎日のように買い物をしたら8%の消費税を払っています。企業などに勤める社会人は、毎月の給与から源泉徴収という形で所得税をとられているし、家を持っていたら固定資産税、自動車を持っていたら自動車税、ガソリンを入れればガソリン税…など、私たちの周りは税金だらけです。
 ちなみに、消費税法上の納税義務者は誰でしょうか? 消費税を払う私たち消費者と思うかもしれませんが、実はお店などの事業者なのです。私たちが税込み108円のものを買ったら、事業者が預かった消費税の8円を国に納めるという仕組みです。買い物をしたら自動的に消費税が納められるのではなく、事業者が納めないと国に行かないのです。事実、日本では年間約3,500億円もの消費税の滞納があります。約17兆円の税収のうち、3,500億円が税収として入ってこないわけです。
 このように身近な例で考えると、法律や税金は、あまり意識しなくても私たちの生活に密接に関わっていることがわかります。折しも、改正公職選挙法が成立し、選挙権の年齢が18歳以上に引き下げられることになりました。2016年夏の参院選から適用されます。高校生にとっても、政治や法律がこれまで以上に身近なものになってくるのではないでしょうか。

法律は科学?経済・経営とも深く関連

 法学や経済学・経営学のことを、数学や化学などの自然科学に対して社会科学といいます。社会科学は答えが一つではなくたくさんあり、そこに至るまでの過程が重要になります。
 法律を科学する、というと不思議に思うかもしれませんが、「反証可能性」を使って仮説を検証していくプロセスのことをこの場合の科学といいます。反証可能性とは、20世紀の科学哲学者カール・ポパーが説いたもので、ある仮説に対してそれが誤りであることを示す証拠があるかどうかという概念です。法律学も、さまざまな理論に対して検証を行いながら反証を受け入れ、より真実をもとめた探求を行うものである、という意味で科学といえます。
 このような思考方法、アプローチの仕方を、法学部を目指す人には学んでいってほしいと思います。
 経済や経営と法学も関連性が強く、たとえば取引をする契約書をつくるためには民法が必要で、それにのっとって商品が売買されます。法律的なバックボーンがあって、それによって成立したものが実際に動いていくと経済になります。経済学や経営学と法学は無関係なものではなく、一体として学ぶべきものなのです。

“Do for Others”弱者救済のために法律・政治を学ぶ

 明治学院大学法学部は、1966年に経済学部から分離独立して来年で50周年になります。大学の建学の理念であるキリスト教主義教育の伝統にのっとり、弱者に優しいまなざしを向けながら法学や政治学の専門性を身につけてほしいと考えています。“Do for Others(他者への貢献)”が本学の教育の理念です。これは、創立者のヘボン博士が生涯にわたって貫いた精神で、“Do for others what you want them to do for you”「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」という新共同訳「マタイによる福音書」7章12節の言葉が元になっています。法律や政治を学ぶ者は、弱者、困っている人の力になり世の中の役に立つという姿勢が大切です。
 法律学科は少人数教育で入学当初からゼミナール形式の演習を行っています。民事法入門と刑事法入門も少人数の授業で、法律学の基本と学び方を身につけていきます。学生サポートの面で特徴的なのが「特別TA(ティーチングアシスタント)」です。大学院生の先輩がTAとして学部生の授業内容に関する質問に答えたり、法律の勉強方法に関する相談に乗ったりするこの制度を、他大学に先んじて2006年から導入しています。ほかにも公務員志望者向けに特別プロジェクトを組んで上級公務員試験に合格するなどの成果をあげています。
 2000年に設置された消費情報環境法学科は、日本唯一の学科です。学科名だけ見ると、どういうことを学ぶのか疑問に思われるかもしれませんが、私たちにとって身近な分野であり、今ほど消費者法が注目されているときはありません。たとえば、クーリングオフ制度を聞いたことがあるでしょうか。何かの商品を買ったけれど気に入らなかった、あるいは、強引に契約させられたけれど取り消したい、そういった場合、一定期間であれば契約を解除することができる制度です。「振り込め詐欺(オレオレ詐欺)」や、ネット社会ならではのトラブルなどから消費者を守るための法律を中心に学びます。消費者法、企業活動法、環境法の3分野を中心としたカリキュラムで、現代社会で起こるさまざまな問題に対処できる人材を育てます。
 政治学科は、「教養ある政治的市民」の育成を目的としています。選挙権の年齢引き下げにより、これからは基本的に大学生になった時点で誰もが参政権をもっているようになります。安全保障関連法案なども含めて、若い世代がよりいっそう政治や法律に関心をもつ必要が出てくるでしょう。本学の白金キャンパスは、日本の政治の中心地である永田町に近いこともあり、学生が主体的に著名な政治家を講演に招へいするなど積極的に行動しています。
 このように3学科のバランスがとれているのも本学法学部の特色です。また、消費情報環境法学科のほかにも、蛯原教授の「ワイン法ゼミ」などもユニークです。日本では現在、お酒に関する法律は酒税法だけですが、ヨーロッパなどでは一般的になっているワイン法が日本でもできる動きになっています。法律は社会の動きに合わせて変わっていくものなので、学生時代だけでなく社会人になってからも学び続けなくてはならないものですし、皆さんがどのような職業に就いたとしても必要になるものです。
 2015年4月には、大学院に日本初の「法と経営学研究科」を開設しました。これは、経営学の学問分野に法学の研究領域(行政法、金融法、労働法、知的財産法、経済法など)を重ね合わせて学問的に融合させ、経営学と法学の両方を同時に使いこなせる組織のリーダーとなる人材を社会に送り出すことを目的としています。経済学研究科と法学研究科の教員が協力して実現しました。先ほど、経済学や経営学と法学は一体となって学ぶべきと言いましたが、ここで学ぶことは、経済学部・法学部いずれの学生にとっても企業などで働くための強力な武器になるでしょう。

法律は技術。専門分野を自分の武器に

 「法律は技術である」といわれます。英語をマスターするのと同じように、法律を技術として身につけると、それを活かして自分の人生で使っていくことができます。消費者法の専門家、独占禁止法の専門家など自分の強い分野があれば、それが武器になります。今は企業のコンプライアンス(法令遵守)が重視されて多くの企業で法務部を置くなど、法律マインドが求められる場が大きく広がっています。法学部に対する固定観念を捨てて、身近で役立つ武器を身につけてみませんか。そこから思いもよらなかった世界が開けてくるかもしれません。

この記事は「蛍雪時代(2015年12月号)」より転載いたしました。

この記事で取り上げた大学

蛍雪時代

螢雪時代・12月号

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