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学部長メッセージ「スポーツ健康科学部の魅力って何?」

  • 【学部リサーチ 2015】 教育・教員養成・体育・健康科学部系統
  • [2015/10/1]

自然・社会・人文各科学が土台の応用学。実験・実習で人間そのものに迫る

《私立》同志社大学 スポーツ健康科学部 学部長
井澤 鉄也(いざわ てつや)先生

1956年神戸市生まれ。兵庫県立長田高校、筑波大学体育専門学群、同大学院修士課程体育研究科健康教育学専攻修了。薬学博士。東京薬科大学助手、電気通信大学助教授、東京都立大学大学院理学研究科教授、首都大学東京大学院人間健康科学研究科教授を経て同志社大学スポーツ健康科学部教授。2013年より現職。専門はスポーツ生化学。細胞内情報伝達系におよぼす運動の影響や肥満の予防・解消におよぼす運動の効果のメカニズムを解明している。

スポーツ健康科学とは何か?

 スポーツとはいったい何なのでしょう。フランスの学者ベルナール・ジレは、その著書『スポーツの歴史(クセジュ文庫)』で、スポーツを「プレイ(遊戯)、闘争、および激しい肉体活動の複合されたもの」と定義しています。
 また、オランダの歴史家ヨハン・ホイジンガーの古典的名著、『ホモ・ルーデンス(1938年)』によれば、スポーツは文化としてのプレイ、競技としてのプレイであり、プレイであるための必須条件に「自由」をあげています。つまり、プレイは自発的な活動であって、命令されたプレイはもはやプレイではなく、プレイのまねごとにすぎないということです。
 スポーツの世界では、体罰や暴力が今でもマスコミをにぎわせたりしますが、それは命令されたもの、強制されたもので、もはやスポーツではありません。大学で学ぶスポーツは、体罰や暴力とは無縁のサイエンスだということをまず皆さんに知っておいてほしいと思います。
 では、スポーツがサイエンスの対象となったのはいつの時代なのでしょうか。身体や運動競技に対しての考察は、肉体美を追い求め、オリンピックを始めたギリシャ時代の、プラトンやキケロ、ホメロスらにまでさかのぼれるかもしれません。
 しかし、スポーツをサイエンス(自然科学)の目でとらえる研究は、19世紀まで待たなければなりませんでした。それ以前は、スポーツは「体育(体操)」であって、そこに科学的な視点は入っていませんでした。これを変えたのが、世界で初めて体育をドイツの学校の授業に導入したことで近代体育・学校体育の父とされるドイツのグーツムーツ(1759 ~1839年)でした。
 彼は、「身体運動を教育学と生理・解剖学の理論によって、一つの新しい学問体系にすることが時代の課題である『青年のための体操』」とし、以後のスポーツ科学発展の礎を築きました。ドイツのスポーツ科学 “Sportwissenschaft“ は、これ以後大きく発展し、それを受け継いだ近代のスポーツ科学 “Sports Science“ は、体育学、医科学、心理学、生化学、栄養学、社会科学、統計学など、さまざまな科学を総合した学問となったのです。
 実際、スポーツを行う時にはからだの動きを学ばないといけませんし、こころの動き・機微も知らなければなりません。また、健康への影響も把握しなければなりませんし、スポーツの社会的影響や、スポーツに対する価値観・倫理観、スポーツイベントの経済的波及効果なども知らなければなりません。このように、スポーツ科学は自然科学・社会科学・人文科学を土台とした幅広い応用学問で、実は難解で厄介な学問なのです。

健康寿命を伸ばすために必要不可欠な学問

 科学の使命は、複雑で多様な世界を識別するために一般化・単純化することにあります。しかし、スポーツ科学の対象である生物(人間)は「秩序ある複雑性を有した存在」であるため、一般化・単純化は簡単にできることではありません。
 トップアスリートがどのようにして最高のパフォーマンスを発揮できるか、発揮するためにどのようなトレ−ニング方法をとればよいのか、あるいは、健康とスポーツにはどのような関係があるのかなどの解明は、まだまだ発展途上です。
 充実した社会生活を送る上で、健康が大切なことはいうまでもありません。超高齢社会に突入しその中で健康寿命を伸ばすためには、「治療医学よりも予防医学」が何より大切です。そこにスポーツと健康の接点があり、健康にスポーツの果たす役割が大きいということはすでに国民的コンセンサスになっています。
 こうした「健康づくり」や「生きがい作り」をバックアップするために必要なスポーツ・健康教育の制度や環境は、今後ますます整備する必要があります。また、優勝を目指して戦うチャンピオンシップスポーツはもちろん市民スポーツでも、正しい方法論・実践法を指導する人材や、スポーツと健康の重要性を理解したうえで政策作りに関わる人材育成は欠かせません。
 同志社大学がスポーツ健康科学部を発足させたのはこうした社会的ニーズに応えるためで、健康科学、トレーニング科学、スポーツマネジメントの分野でリーダーとなれる人材を養成したいと考えています。

実験・実習重視。ゼミ必修が教育の特色

 総合科学としてのスポーツ健康科学は、しばしば文理融合型学問とも呼ばれます。先にも述べましたように、スポーツ科学の研究には、自然科学・人文社会科学に関する基礎的な力が必要です。
 そこで、私たちの学部の入試では文系型入試と理系型入試を取り入れています。また、様々な入試種別を用意し、多様な人材を確保することで、互いに刺激し合う環境づくりをも目指しています。
 教育の中身では、1年次に自然科学入門や一般教養科目で他学部開講科目の履修を強く推奨すると同時に、前期(春学期)には、興味のあるテーマについて、課題設定、情報収集、プレゼンテーション、レポート作成という一連の手法を学ぶ「ファースト・イヤー・セミナー」を必修で設置しています。
 また、2年次では、スポーツ生理学、スポーツ・バイオメカニクス、スポーツ心理学、トレーニング科学、スポーツ医科学などの最新のスポーツ科学を実験・実習で学ぶ「基礎実習」を設置、3・4年次では、研究室に所属して、選んだ研究テーマについて研究を深め、卒業論文の作成に取り組みます。
 このように私たちの学部では、文系型のゼミナールを選択しても、理系型のゼミナールを選択しても、最終的には、卒業生全員が、運動負荷試験や社会調査法の実験手技を修得していることになります。実習に加え卒業論文作成でサイエンスの力を身につけていることは、同志社大学スポーツ健康科学部卒業生の最大の特徴です。

海外フィールド演習などグローバル教育を展開

 グローバル化の波は今や野球やサッカー、ゴルフ、テニスなど様々なプロスポーツに広がっています。それだけでなく、そうしたアスリートを支える人材や、マネジメントに関わる人材も年とともに増えています。
 私たちの学部では、グローバル化のさらなる推進を図るために、海外の大学と学部間協定を結び、より多くの学生が留学などに挑戦できるよう、奨学金制度も充実させています。また、グローバル人材を育む独自のプログラムも展開しています。
 そのひとつ「海外フィールド演習科目(特殊講義S)」は、海外を舞台とした実習科目です。2015年度は、米国(ニューヨーク市)、ドイツ(マインツ、ハイデルベルグ)、カナダ(バンクーバー・トロント)の3国をフィールドに実施します。そのうち米国では、野球・アメリカンフットボールなど4大スポーツの観戦、施設見学、関係者からのレクチャーなどを、ドイツでは、地域スポーツクラブの見学などを通してドイツのスポーツ事情を体験する予定です。
 また、日系企業等の海外支社で、インターンシップを体験する「インターンシップ演習」も開講しています。
 私たちの学部は「スポーツ」をめぐる社会的課題を、未来指向で解決することに取り組んでいます。2008年の学部開設時に、「スポーツ健康科学を理論と実践の両面から立体的総合的に学び、スポーツ・健康の新時代を担うパイオニアを育成します」とした思いは今も私たちの根底を流れています。
 私たちが歓迎するのは、「スポーツ」が好きであるだけでなく、「スポーツ」を理論・実践の両面から真剣に学んでみたいという挑戦的意欲を持った人です。
 スポーツは決してアスリートだけのものではありません。私たちの学部でスポーツ健康科学を学び、スポーツの楽しさ、健康の大切さを発信する人、社会のさまざまな分野でリーダーとなれる人、そうした活動をとおしてスポーツとそれに関わる人々の社会的地位を上げることに貢献できる人になってほしいと思います。

この記事は「蛍雪時代(2015年10月号)」より転載いたしました。

この記事で取り上げた大学

蛍雪時代

螢雪時代・10月号

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