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学部長メッセージ「文学部の魅力って何?」

  • 【学部リサーチ 2015】 文・人文・外国語学部系統
  • [2015/5/1]

人間の営みを、さまざまな角度から考察することで日々会い語る人びとを総合的に理解する

《私立》明治大学 文学部 学部長
石川 日出志(いしかわ ひでし)先生

新潟県生まれ。明治大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程単位取得中退。明治大学文学部助手、助教授、教授を経て2014年大学院文学研究科長、2015年文学部長に就任。専門は弥生時代の考古学で、九州から東北までの弥生文化の多様性について研究し、最近は「漢委奴國王」金印の検討を進めている。また、東日本大震災で被災した気仙地域を文化面で支援する、「気仙地域の歴史・考古・民俗学的総合研究」の研究代表も務める。『農耕社会の成立』(岩波新書)、『「弥生時代」の発見』(新泉社)など多数の著書がある。

文学部とはどういう学部か

 21世紀を迎えすでに10年以上もすぎましたが、20世紀から持ち越した課題が依然として残っています。たとえば、イラクをはじめとする中東地域では武力紛争やテロの恐怖に直面して暮らしている人々が多くおり、アフガニスタンでは依然として戦争の後遺症が後を引きずり、アフリカ諸国では飢餓と病気のために多くの子供たちが命を落としています。さらに、日本では2011年3月に起きた東日本大震災と津波によって、多くの大切な命が亡くなり、復興に励みながら人々の「絆」の大切さが見直されてきています。このような複雑な世界情勢や身の回りの社会の現実を考えた時、文学部で学ぶ意義とは何でしょうか。
 文学部は、過去から現在まで多様に展開されてきた人間の営みのすべてに対して、さまざまな角度からの考察を試みながら、究極的には、生きた人間そのものを総合的に理解することを目的とする学部です。そこでは、多彩で奥深い人間文化についての広い視野、みずみずしい感受性、旺盛な好奇心、ねばり強い思考力、意欲的な行動力などが必要とされています。
 文学部とは、人間社会のあり方、人間の生き方を、古今東西の文学・芸術作品、人類の歩んできた世界各国の歴史、人々が作り上げてきた地球上の地域・景観、さらには社会状況を背景に個人の心のひだを読み解き理解することを目的とした学部であり、その上で、こうした錯綜した世界を生き抜く、ひとりの人間としての資質を高めていくことを目標とする学部であるとも言えます。

明治大学文学部とはどういう学部か

 明治大学文学部は、第二次大戦後の1949年(昭和24年)4月に、それまで約20年間の歴史のあった文科専門部を、新しく新制大学に改組することを契機として開設されました。しかし、その歴史は古く、1904年(明治37年)に設置され、1906年(明治39年)から授業が開始されていました。
 新制の文学部の発足に際して掲げられた教育理念は、「充分な専門知識を身につけた幅広い教養人の育成」というものです。そのことは、いいかえれば、確固とした専門知識の習得を不可欠の前提としながらも、その専門のみに偏ることのない広い視野に立ち、公正かつ的確な判断を下すことのできるような人材の育成に重点が置かれている、ということです。
 このような考え方は、明治大学そのものの建学の理念である「権利自由」「独立自治」の精神を、新しい時代の流れにふさわしい形のものへと、生まれ変わらせることを通して生かし続けようと意図したものに他なりません。
 骨太の伝統をつねに新しい現実の中で捉え直し、より一層の活性化を図っていくという努力を積み重ねてきた結果、文学部は、これまで多くの優れた人材を社会に送り出してきています。その代表が、すでに故人となられていますが、作家の倉橋由美子氏、作詞家の阿久悠氏、さらに明大学長も務めた歴史家木村礎氏、考古学者戸沢充則氏などです。現在活躍している著名人では、芥川賞作家唐十郎氏および直木賞作家天童荒太氏、作詞家阿木耀子氏、考古学者大塚初重氏。最近では日本女子サッカー監督佐々木則夫氏、アナウンサーの安住紳一郎氏、女優の井上真央氏なども文学部の卒業生です。その活躍に私たちも励まされますね。

文学・史学地理・心理社会の4学科に13の専攻

 文学部には文学科、史学地理学科、そして心理社会学科が置かれています。3つの学科では、学生それぞれが自らの知的関心に応じ、自身の中に潜在する創造性を深めると同時に、外の世界に向かっては自然や他民族と共生し、平和に暮らしていく道を考えています。そうした自身の資質を高めようとする意欲的な学生が学ぶ3つの学科と資格課程について紹介したいと思います。
 文学科は、人間の生き方の探求を目的に、特に「主体的に学ぶ能力」と「国際的視野」を身につけることに力を注ぐ学科です。そこでは、「ことばと表現」に関わる文化の問題に大きな関心が寄せられることは言うまでもありませんが、高校までの学校教育では受動的に蓄えられることの多かった知識の多数の断片を総合し、自らのメッセージとして広く世界に向け発信できる学生を育てようとしています。文学科には、日本文学、英米文学、ドイツ文学、フランス文学、演劇学、文芸メディアの6専攻が設置されていますが、これらのうち文芸メディア専攻は、「ことばと表現」の問題を、主としてメディアを意識した発信者の視点から考える専攻です。
 史学地理学科は、人間社会の歴史の探求を目的とし、日本・アジア・ヨーロッパ・アフリカ・南北アメリカなど世界の各地域に対する歴史的・地理的認識を深めることを通して、人間社会を多角的に把握する思考力を養うことを目標とする学科です。日本史学、アジア史、西洋史学、考古学、地理学の5専攻からなり、それぞれの専攻で、人類の長い歴史を踏まえ、広い視野をそなえた国際感覚豊かな教養人の育成に努めています。
 心理社会学科は、人間の「心の問題」を内面と社会の両面から探究することを目的に、臨床心理学と現代社会学の2専攻からなっています。「臨床」とは、多様化する今日の社会情況に、現場的・実践的に関わる方法を表わすキーワードです。「現代」という新しい「臨床」に対し、「心」を個人の内面的問題としてだけではなく、病理を生み出す「社会」との関わりのなかで理解しようとするものです。「心豊かに生きやすい社会」のあり方を求めて、共生する社会を模索しつつ、新しい時代に対応しうる人材の育成を目標にしています。
 以上の3学科に加え、文学部では、中学校・高等学校の教員免許、博物館職員となるための学芸員、地方自治体の社会教育に携わる社会教育主事、図書館で働く専門職としての司書や司書教諭などの資格を取得するための課程を設置しています。資格課程では、単に資格取得をサポートするだけでなく、学生たちが社会的活動の広がりに実践的に対応できるよう、その能力を養うことにも力を注いでいます。

明治大学文学部の教育の特色

 明治大学文学部は、少人数ゼミ教育をカリキュラムの大きな柱としています。1年次の基礎演習から4年次の卒業論文指導に至るまで、各年次に配当されたゼミ科目を履修することによって、教員の指導のもとに、各自が情報を収集し、分析し、発信する力が身に付く仕組みとなっています。
 情報発信力とは、自分で調べ上げたことを順序良く論理的に口頭で説明できるだけでなく、分かりやすい文章にまとめる能力のことです。こうした能力を習得するために、ゼミでは互いに切磋琢磨し、教員も学生のそうした潜在能力を引き出す努力を続けています。
 文学部では1・2年次の授業は、原則として、和泉キャンパスで行われます。外国語科目・保健体育科目や情報関連科目、幅広い教養を身につけるための共通選択科目を学びつつ、各専攻の基礎力をつけるための概論・概説や、1年次から少人数の専門教育を受けるゼミナールがあります。これは文学部のカリキュラムの大きな特色の一つです。
 3・4 年次の授業は、駿河台キャンパス(リバティタワー)で行われます。3年次になると、数多く設置された各専攻の専門的な選択科目の中から、自分の関心・課題に合わせて授業科目群を組み立てることができます。3年次の演習、4年次の卒業論文はゼミナール形式で行われる授業で、一部専攻の実習と合わせて専門教育の中核的な位置を占めています。
 たとえば私の属する考古学専攻では、3年次に遺跡の発掘調査等を行う「考古学実習Ⅱ」を実施しますが、その前の段階として、1・2年次に遺跡の見学・踏査の実習と、土器と石器の分析法を学ぶ「考古学研究法」を履修します。自分の研究課題を十分に深めることができる演習・実習科目の豊富さこそ明治大学文学部のカリキュラムの最大の特色です。
 文学部の授業科目の大部分は、半期(半年)で完結する2単位科目で、同じ曜日の同じ時間帯に、1年間に2つの授業科目を受講でき、受講生の興味・関心にもとづいてより多くの講義が選べます。さらに、前期のテーマをより深めたり、それに続くテーマを扱う講義が後期に配置されていたりして、より系統性な勉強ができるように工夫されています。
 私たちは、若い人たちが学ぶ場としてとても贅沢な環境を用意しています。大学の周りにも知的な刺戟が満載です。それを大いに活用してほしいと願っています。

世界に羽ばたける人材に!

 明治大学は、文部科学省の選ぶ「スーパーグローバル大学」のひとつです。文学部は、その牽引役として、グローバリゼーションに対応するための、英語を活用できる力を養うプログラムを、専攻を問わず多数用意しています。ゼミナールを中心とする少人数での授業指導、そして、その中で発揮される若々しい独立自由な精神こそ、明治大学文学部の最大の特色です。「一歩前へ、そして世界にはばたけ」。皆さんのチャレンジを私たちは心から期待しています。

この記事は「蛍雪時代(2015年5月号)」より転載いたしました。

この記事で取り上げた大学

蛍雪時代

螢雪時代・7月号

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