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学科・専攻スタディ! 医・歯・薬学部系統

  • 【学部リサーチ 2015】 医・歯・薬学部系統
  • [2015/4/1]

医・歯・薬学部で何を学ぶ?

医学部医学科・歯学部歯学科・薬学部(6年制)では、いずれもモデル・コアカリキュラムが導入され、学ぶ内容を統一させている。薬学部では、6年制の卒業者が出たことを受けて今春の入学者から改訂版が適用される。

医学部

モデル・コアカリキュラム

 日本の大学医学部(医学科)は、大学によって学ぶ内容が大きく違うことのないように「医学教育モデル・コアカリキュラム(以下、コアカリ)」というガイドラインを設けている。ただし、3分の1程度は各大学独自のカリキュラムを組むことができるようになっている。
 コアカリは、「医師として求められる基本的な資質」を、医師としての職責、患者中心の視点、コミュニケーション能力、チーム医療、総合的診察能力、地域医療、医学研究への志向、自己研鑽の8つの視点から定めたもの。現在の改訂版(2011年3月改訂)では、地域医療や医学研究という、最近の医学部を取り巻く環境変化に対応したものとなっている。
 コアカリで強調されているのは、「基本的診療能力の確実な修得」「地域の医療を担う意欲・使命感の向上」「基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養」「社会的ニーズへの対応」で、これらのうち「社会的ニーズへの対応」では、患者および医療従事者への安全性確保」「患者中心のチーム医療」が強調されている。医療チームの中心として、患者および医療スタッフへの十分な配慮が求められているわけだ。

1年次に医学入門、病院実習

 コアカリを基準に設定された各大学のカリキュラムをみると、1~2年次は、人文・社会・自然科学、生命科学などの教養科目、語学の履修が主体。総合大学の多くでは、これらの教養・語学科目を、他学部の学生と机を並べて学ぶカリキュラムが組まれている。
 また、1~2年次では、医学生が身につけなくてはならない「医の原則」「医療における安全性確保」「コミュニケーションとチーム医療」「課題探究・解決と学習の在り方」の4つの基本について学ぶ科目が設定されている。いずれも患者主体の医学について学ぶことがテーマとなっており、「医の原則」では、「医の倫理と生命倫理」「患者の権利」「医師の義務と裁量権」「インフォームドコンセント」について学ぶ。「医の原則」は、多くの大学が「医学入門」「医学概論」などの科目名称で、1年次の1年間あるいは半期間講義を行っている。
 たとえば、東京医科歯科大医学部では1年次後期に「医学導入」を履修。医学の歴史と今後の展望について学び、「受け身型」から「能動的で問題解決型」へと学びのモードを変えるためのセッションが用意されている。先輩医師・医学研究者の仕事や6年生の臨床実習の見学、シミュレーターを用いた蘇生実習などを通して2年次からの専門教育に向け意識を高めるのが目的だ。

2年次から医学専門科目

 2年次もしくは3年次からは、医学部の専門科目の履修が始まる。最初に学ぶのは、コアカリで「医学一般」とされる「基礎医学」で、生命現象や人体の構造と機能、病気との関係などについて学ぶ。解剖学、生理学、生化学、病理学、免疫学などが主な科目だ。医学生にとって洗礼ともいわれる「解剖学実習」も、多くの大学でこの時期に行われる。
 3年次から4年次にかけては、「臨床医学」の講義が行われる。「人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療」「全身におよぶ生理的変化、病態、診断、治療」「診療の基本」などが主な内容だ。臨床医学では、まず臓器別の学習が行われ、その後、内科、外科などの診療科目を学んでいく大学が多い。
 臨床医学については講義だけでなく、少人数のグループで実際の患者の症例などを討論しながら学ぶチュートリアルが導入されたのもコアカリの大きな特色だ。また、公衆衛生学、予防医学、法医学などの「社会医学(コアカリでは医学・医療と社会)」も、この時期に履修されている。

4年修了時に共用試験

 これらの専門分野について、臨床実習を行うのにふさわしい実力を身につけているかどうかをチェックするために全国共通で行われているのがCBT とOSCE。CBT は、Computer BasedTestingの略で、(1)医師としての素養に関わる基本事項 (2)医学一般 (3)人体各器官の正常構造と機能病態、診断、治療 (4)全身におよぶ生理的変化、病態、診断、治療 (5)診療の基本 (6)医学・医療と社会などの分野の医学知識と思考力が問われる。OSCE(オスキー)は、客観的臨床能力試験(ObjectiveStructured ClinicalExamination)のことで、臨床実習を行うに十分な臨床能力を身につけているかどうかをみる実技試験。医療面接、胸部診察、心音・呼吸音聴診、腹部診察、神経診察、バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸、体温)の測り方など、診察の基本を試すものとなっている。CBTは60%以上、OSCEは70%以上を合格としている大学が多い。

5・6年次に臨床実習

 5年次の臨床実習(ポリクリ)は、附属病院の全科を1~2週間かけて順に回るローテート方式で行われる。ベッドサイドで実際に患者に接して実地に臨床医学を学ぶため、ベッドサイド・ラーニング(BSL)ともよばれる。
 6年次では、自分の専門としたい診療科を複数選択し、実際に患者を受け持って診療にあたるクリニカル・クラークシップ(診療参加型臨床実習)が行われる。診断・治療計画策定に参加し、カルテ記載、医療スタッフへの情報伝達などを行うことで、チーム医療の中での医師の役割を理解し、医療スタッフ、患者との人間関係の築き方を学ぶのが目的だ。

卒業試験と医師国家試験

 6年次後期には卒業試験が行われ、合格した学生は通常2月に行われる医師国家試験に臨む。卒業後は、医師の卵(研修医)となって、大学附属病院や公立病院、民間総合病院などで、2年間の卒業後研修(初期研修)に入る。
 初期研修の研修先は、自分で選ぶ(病院が希望者の中から選考するためマッチング制度と呼ばれる)ことができるため、かつては大学病院がほとんどだったが、現在では半数以下(2014年は43.7%)になっている。


TOPICS医学教育

チュートリアルとクリニカル・クラークシップ

 医学部のコアカリの大きな目玉となっているのが、臨床医学の教育にPBLチュートリアル、臨床実習時にクリニカル・クラークシップを取り入れたことだ。教育面では、教員による講義中心の一方的な知識伝達型、実習面では、見学中心の方式をそれぞれ改めたもので、いずれも米国の大学などの医学教育を見習っている。
 PBLチュートリアルは、7~ 8人単位の少人数で編成されたグループが、ディスカッションやプレゼンテーションを通して、医学・臨床の課題にチャレンジするもの。3年次のチュートリアルでは基礎医学知識の応用展開能力を、4年次のチュートリアルでは、臨床症例に対する問題発見・解決能力を身に付けるのが目的。
 クリニカル・クラークシップは、参加型臨床実習と呼ばれるように、実際の治療にチームの一員として参加する実習のこと。多くは医療面接、身体診察、カルテ記載などだが、指導医の判断で実際の診療に参加する場合もある。


歯学部

歯の治療から全身の健康へ

 現在、大学の歯学部の教育・研究は、歯だけにとどまらず広く全身の健康増進・治療・予防を目指したものになっている。これは、歯の欠損や噛み合わせの不良が骨格や臓器の異常をもたらし、歯周病菌が他の病気の原因になっていることが明らかになったためだ。
 歯の健康が全身の健康、長寿に直接結びついていることから、歯科医学には、医学との強い連携が求められるようになっている。また、虫歯や歯周病の原因である細菌については、理学・農学・生命科学分野との連携が、新しい歯科材料開発のためには理工学分野との連携が欠かせないものとなっている。
 歯学という言葉に替えて歯科医学や口腔医学という名称が使われ、学部名称として生命歯学部などが出てきているのは、こうしたことが背景にある。

1・2年次で導入教育

 歯学部も医学部同様、モデル・コアカリキュラム(以下、コアカリ)が導入されている。1年次から2年次前期までは教養教育と専門の導入教育、2年次後期から4年次までは専門基礎科目と専門科目(臨床系・社会系)の講義、4年修了時にCBTとOSCE、5・6年次には臨床実習と、医学部とほぼ同じ内容だ。
 1・2年次の導入教育で行われるのは、「医の原則」「歯科医師としての基本的な態度」「社会と歯学」「生命科学」の4つ。
 これらのうち「医の原則」では、患者の権利や自己決定権などからなる患者の尊厳、医の倫理、歯科医師の責務、インフォームドコンセントなどについて学び、「歯科医師としての基本的な態度」では、問題発見・解決能力、論理的思考と表現能力を養うことを目的に、コミュニケーション、医療面接、チーム歯科医療などについて学ぶ。また、「社会と歯学」では、法律や福祉制度、環境問題、予防と健康管理などについて学び、「生命科学」では、遺伝子など生命の分子的基盤、人体の構造と機能、感染と免疫、病因と病態など、医学、薬学、歯学の基本について学ぶ。

附属病院などで早期体験実習

 また、この時期、大学病院や地域の歯科医院での早期体験学習もほとんどの大学で実施されている。
 新潟大歯学部では、1・2年次に「早期臨床実習」が行われる。1年次では、口腔生命福祉学科の学生とともに、医歯学総合病院を受診した患者に付き添ったり、車椅子の扱い方を学んだり、6年生に口腔内検査をしてもらったりする。2年次では、医歯学総合病院の専門診療室で行われている治療を見学・体験する。同時に歯科臨床現場の最前線に関する講義も受講し、専門科目の学習、5年次以降の臨床実習の動機付けとしている。
 岡山大歯学部も1年次に、医療人としての自覚をもつことを目的に医療施設の見学や体験実習、患者さんのエスコート実習などの「早期見学実習」を行っている。
 現在、歯科医師に求められているのは、単に虫歯を治すという役割だけではない。口腔、歯という言語生活や食生活にとってかけがえのない器官の病気の予防・治療を通して、人々の健康生活をサポートする健康アドバイザーとしての役割だ。多くの大学の歯学部では、こうした視点に立って導入教育を行っている。

2~4年次で専門科目の講義・実習

 2年次後期から4年次までに履修する専門科目は、臨床実習を行うにあたってマスターしなくてはならないことから「臨床実習開始前コアカリキュラム」と呼ばれている。
 内容は、解剖学・組織学・生理学・生化学・病理学などの医療基礎科目、歯科保存学、歯科補綴学、歯科矯正学などの歯科医学の臨床科目、衛生学・予防歯科学などの社会歯科医学科目の3つ。
 これらが、十分に身につき、臨床実習を行う素養が身についているかどうかを客観的に試すのが、医学部同様、4年修了時(大学によっては臨床実習開始前の5年次前期)に行われる共用試験(CBTとOSCE)。歯学部のOSCEでは、医療面接、口腔の診査・診断・診察、歯の欠損・咀嚼障害の治療を行うためのテンポラリークラウン(仮歯)作成、体温や脈拍などバイタルサインの測り方などについて試験が実施される。

5・6年次で臨床実習

 共用試験にパスすると、5・6年次の臨床実習に入る。臨床実習は、5年次前期に準備教育を行った上で、5年次後期から6年次前期にかけて行われるのが一般的。
 歯学部の臨床実習も、コアカリの導入以来、それまでの見学中心のものから、実際に患者の治療を行う診療参画型(クリニカル・クラークシップ)に大きく切り替わった。
 実習では、治療技術の実際をコンピュータ・シミュレーションや模擬患者を相手に学んだ後、各科を短期間でローテートし、学生が実際に患者の治療に参加するという方式が増えている。たとえば北海道大歯学部では、5年次前期~6年次前期に臨床実習を行う。歯科医療を中心とした臨床実習のほか、後期臨床体験実習、病棟実習、症例検討、臨床講義、統合講義および臨床教授制度による学外学習など幅広い実習となっている。
 実習が終わると卒業試験、そして2月に行われる歯科医師国家試験に臨む。歯科医師免許を得ると、大学病院などで1年間の「卒後臨床研修」が行われる。

研究者養成プログラム

 医学部では、5・6年次での臨床実習プログラムと、その後の2年間の臨床研修(初期研修)の義務化、マッチング制の導入などにより、基礎医学の研究者が少なくなってしまったが、歯学部でも事情は同じだ。
 医学部では、この対策として「MD - Ph.D. プログラム」などを設けて研究者養成に力を入れているが、歯学部でも、研究者養成に実績を残している大学を中心にさまざまな取り組みが行われている。
 たとえば、大阪大歯学部では、3年次後半、2か月間にわたって歯学の基礎研究に触れる「基礎配属実習」が行われている。基礎9科目から希望する分野を選び、教員の指導を受けながら、バイオから材料工学、それらの融合領域まで現代歯科医学の最先端に触れる。研究者マインドをもつ臨床歯科医、歯科医学研究者を養成するのが目的だ。
 北海道大歯学部では、5年次後期から6年次前期にかけて「研究実習」が実施される。基礎系分野を中心に1研究室あたり7~10人の学生を配属。研究の成果は、研究発表会や論文作成などで公開される。
 東北大歯学部の「基礎研究実習」は、5年次に実施。学生は基礎歯科医学分野の研究室からひとつを選択。教員のマンツーマン指導で3か月間の研究を体験する。


TOPICS歯学教育

医学部など他学部との融合プログラム

 医学や理工学分野との連携をより進めるために、歯学部と医学部をもつ大学の多くは、医歯学融合のプログラムを実施している。
 たとえば、東京医科歯科大は2011年度から医学部生と歯学部生が、ともに教えあいながら学べる医歯学融合教育プログラムを実施している。1年次で全学共通科目を教養部で医学生ととも受講。同時に「歯学入門」を履修する。2・3年次では、医学・歯学を学ぶ上で基盤となる「英語」「臨床統計」「生命倫理」を、基礎・臨床の歯学専門科目と並行して履修する。
 また、3年次後期には、歯科に関するトピックを基礎と臨床の両面から同時に学べる「課題統合セミナー」、3年次から5年次前期にかけては、学年を超えて興味ある内容について学べる「学年混合選択セミナー」を設置。4年次前期には、興味がある分野について入門的な研究を学内・学外で行える「研究実習」も実施されている。
 臨床実習は4年次後期の臨床体験実習、5年次後期の発展歯科臨床実習と続き、6年次では、それらを総括するかたちで、多職種間で連携のとれた包括歯科医療を提供できる資質を養う「包括医療学習」が実施される。


薬学部

医薬分業とチーム医療

 6年制薬学部(学科)と4年制薬学部(学科)の大きな違いは、薬剤師国家試験の受験資格がとれるかとれないか。薬剤師は、使い方によっては毒にもなる薬を扱うため、どんな国でも資格が厳しく制限され社会からの信用も厚い。カナダやアメリカなどでは、社会から最も信用されている職種とされているほどだ。
 これに対し日本では、長い間医師が薬を処方する慣習だったため、薬の適否を判断し、薬物治療に責任をもつという本来の薬剤師業務は欧米ほどには発達しなかった。
 薬学部はこうした事情もあって、薬を開発する研究者を養成するという目的が第一で、薬剤師養成はその次という扱いだった。
 それが変化したのは、医師は診断と治療、看護師は看護ケア、薬剤師は薬の服用というそれぞれの専門分野で、患者のために協力するというチーム医療の考え方が生まれ、それを保障する「医薬分業」が進展してきたためだ。

6年制薬学部の役割

 医薬分業とは、医師が患者を診察して処方箋を発行し、それに基づいて薬剤師が薬を処方するという仕組み。医薬分業が普及する中で、薬剤師は、医師の処方箋にしたがって薬を調剤するだけでなく、その薬の使用に疑義がある場合は処方した医師に照会したり、効能、使い方などを患者に説明する「服薬指導」を行ったりできるようになった。また、薬の重複使用や飲み合わせ(相互作用)による副作用を防止するため、かかりつけ薬局や「おくすり手帳」などが普及したこと、医療費高騰を抑制するためジェネリック薬(後発医薬品)使用に薬剤師が関われるようになったことも大きな変化だ。
 現在、大学病院などでは薬物治療をする場合に、どういう薬を使ったらより良い効果が期待できるかなどを医師にアドバイスし、その薬の服用を患者に指導するような臨床(病棟)薬剤師が誕生し活躍するようになっている。
 また、大学病院などでは、消毒薬と抗生物質の専門家として院内感染などの防衛に当たる感染制御専門薬剤師、抗がん剤の専門知識で医師による誤投与を防ぐがん専門薬剤師、精神科で向精神薬などの薬物治療に従事する精神科専門薬剤師など、専門薬剤師の活躍も始まっている。こうした、医薬分業・チーム医療・専門薬剤師業務などに対応できる薬剤師を養成するのも、6年制薬学部の大きな役割だ。

3年次までは共通教育

 薬学部では、6年制、4年制とも3年次までは、ほぼ同じカリキュラムが実施されている(6年制は2015年から改訂コアカリが導入される)。1年次に実施されるのは「薬学準備教育」。教養科目、薬学英語などを学ぶほか、薬学現場での「早期体験教育」が行われる。
 「早期体験教育」では、病院を訪ねて薬剤師や他の医療スタッフの仕事を見学したり、調剤薬局を訪ねて薬剤師業務の説明を受けたり、製薬企業を訪れて医薬品開発の最前線の話を聞いたりする。入学早々に実際の薬学現場に触れ、以後の勉強の動機付けにすることがねらいだ。
 また、薬剤師や薬学研究者にとって欠かせない情報教育やプレゼンテーションなどについての教育が活発に行われているのも最近の傾向だ。情報教育では、コンピュータ、データベース、ネットワークなどについて、プレゼンテーション教育では、研究発表やカンファレンス(医療チームのミーティング)を意識した発表・討論などが行われている。
 2・3年次では薬学基礎科目と専門科目を学ぶ。薬学基礎科目では、物理、化学、生物、数学・統計、情報処理など、専門科目では、物理系薬学、化学系薬学、生物系薬学などを学び、さらに健康と環境、薬と疾病、製剤学(医薬品をつくる)、薬に関する法律・制度(薬学と社会)などを広く学ぶのが特徴だ。

6年制薬学部のカリキュラム

 6年制薬学部では、3・4年次で7分野(化学系薬学、生物系薬学、物理系薬学、薬と疾病、薬学と社会、健康と環境、医薬品を作る)の専門科目を学ぶ。病院で薬の専門家として患者と向き合って働くことを想定した実践的な科目で、それぞれについて到達目標が設定され、それに基づいた成績評価が行われる。
 専門科目についての十分な知識が身についたかどうか、実務実習を行う態度・力が身についているかどうかを測るのが、医学部・歯学部同様4年次修了時に行われる共用試験(CBTとOSCE)。これらに合格した5年次生は、病院および調剤薬局で11週間ずつ合計22週間の実務実習に入る。実務実習前には、1か月程度の事前学習が行われるため、現場に入るのは6月からという大学が多い。
 病院での実習は、病院薬剤師の業務と責任を理解することを目的に、調剤・製剤、服薬指導などを薬剤師の指導のもとで修得。チーム医療への参画を見据え、コミュニケーション能力養成にも力が入れられている。調剤薬局での実習は、保険調剤、医薬品などの供給・管理、情報提供、健康相談など。医療機関や地域との連携など、地域医療を学ぶことも重視されている。
 6年次では、処方箋解析や疾患と薬物治療などの臨床薬学を、実務実習の経験も踏まえ実践的に学ぶ。また、薬剤師国家試験に向けての対策演習や研究力を身につけるための卒業研究などが行われるのも一般的だ。卒業試験、国家試験を経て、合格者は「薬剤師」資格を取得。大部分が病院や保険・調剤薬局の薬剤師として就職する。

4年制薬学部のカリキュラム

 薬剤師養成を目的とする6年制薬学部に対し、4年制薬学部は薬学研究者養成が目的だ。4年制では、化学を中心とした基礎教育と、それらを土台に課題研究に取り組む教育が行われる。4年制薬学部のカリキュラムは、基本的に1年次では教養科目と化学、生物、物理学など薬学の基礎に重点が置かれる。2・3年次では、有機化学系、生物化学系、物理化学系、医療科学系の科目を講義と実習をセットにして学び、4年次では大学院進学を見据え配属された研究室で薬学の研究手法を身につけるための卒業研究が行われる。
 たとえば、学部一括募集を行っている(3年次後期に6年制か4年制を選択)東北大の場合、1年次から2年次前期にかけては教養・基礎教育科目、1年次前期から3年次前期にかけては薬学基幹科目(有機化学、生化学、分析化学、薬理学、薬物代謝学、分子構造解析学など)と、3年次前期までは全員同じカリキュラム。学科振り分け後の3年次後期からは、薬品物理化学、有機合成科学、薬品構造解析学、新薬開発論などの展開教育科目を履修。4年次は、選択した研究室で課題研究に取り組む。
 4年制卒業者の8割強は大学院に進学し、研究を続けている。


TOPICS薬学部

新モデル・コアカリキュラム導入。臨床(実習)と研究を重視

 薬学教育モデル・コアカリキュラム(以下、コアカリ)が、2015年入学者から改訂される。これまでのコアカリは、薬学部(薬剤師養成課程)が6年制になる前の2002年に策定されたもの。6年制課程になって指摘された課題をクリアすべく、コアカリが改訂されることになった。
 改訂版コアカリでは、(1)薬剤師としての心構え (2)患者・生活者本位の視点 (3)コミュニケーション能力 (4)チーム医療への参画 (5)基礎的な科学力 (6)薬物療法における実践的能力 (7)地域の保健・医療における実践的能力 (8)研究能力 (9)自己研鑽 (10)教育能力 の「薬剤師に求められる基本的資質」10か条が設定されている。さらに、その基本的資質を身につけるために学ぶべき領域を、基本事項、薬学と社会、薬学基礎、衛生薬学、医療薬学、薬学臨床、薬学研究の7項目に整理した。中でも特徴的なのが「薬学臨床」と「薬学研究」で、実習教育と研究教育が優れた薬剤師の育成のためにとりわけ必要であるとされている。
 WHO(世界保健機関)は2000年に薬剤師の理想像として提唱した「ケア提供者」「意思決定者」「情報提供者」「管理者」「生涯学習者」「教育者」「指導者」の“7つ星薬剤師”に、2006年「研究者」を加えた。研究者養成は4年制で、と日本では考えられがちだが、薬剤師にも研究活動が必要というのは、国際的な流れでもあるのだ。

この記事は「蛍雪時代(2015年4月号)」より転載いたしました。

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