本連載8月号、9月号では、地球温暖化、異常気象、海洋汚染といった地球規模の社会問題を取り上げた。高校生がこうした社会問題を“自分ごと”として捉え、自分の頭で考えるためにはどうすればいいのか。その手がかりを求め、清水先生がジャーナリストの国谷裕子さんにインタビューを行った。
㈱プラスティ教育研究所/代表取締役
清水章弘 先生
自分で考え、動くことって? ー 国谷裕子さんに聞く
ジャーナリスト 国谷裕子さん
《プロフィール》
米国ブラウン大学卒業。NHK「7時のニュース」英語放送の翻訳・アナウンス担当を経て1987年よりキャスターとしてNHK・BS「ワールドニュース」などの番組を担当。1993年から2016年までNHK総合「クローズアップ現代」のキャスターを務める。現在はSDGsをはじめさまざまな社会問題にアプローチする傍ら、東京藝術大学理事なども務める。著書に『キャスターという仕事』(岩波新書)。
「いろんな人がいる」を
肌で感じた幼少期が原点
清水:国谷さんはいつ頃から社会問題に関心をもつようになったのですか?
国谷:これといったきっかけはないのですが、幼い頃から海外生活が長く、アメリカや香港などで暮らすなかで、「自分とは違ういろんな人がいるんだな」というのを肌で感じてきた経験は大きかったかもしれません。とくに香港では、中国の文化大革命から逃れてきた難民の人々を目の当たりにしました。難民の青年が我が家に料理を教えに来てくれていたのですが、彼から聞いた中国のこと、家族のこと、どんな暮らしをしてどんな夢を持っているかということは、強く印象に残っています。