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木村達哉の英語力養成講座[連載・第6回]:基礎トレ編

基礎トレ編最終回は、和訳について。
長文を全文和訳しないと気が済まない人、意味がわかればそれでいいと思っている人、不自然な日本語でも構わないと思っている人、みなさんご注意あれ。志望校対策に向け、今こそ和訳の奥深さを知っておこう。

【6回の表】
意味を理解するだけじゃ、和訳はゼッタイできません。

和訳力に必要なのは、英語力だけじゃない

 今月は和訳についてお話しします。僕が受験生のときは、長文の全文和訳なんて前時代的な指導が全国で行われていました。教員の意識も変わり、今では「右ページに全訳のコピーを貼り、意味を確認したうえで黙読と音読をくり返す」という学校が成果を収めているように思います。では、 和訳は必要ないのかというと、決してそんなことはありません。外国語で書かれたものを読んで構造の違う別言語に置き換えるというのは、翻訳という極めて知的な作業です。しかし、英語を学ぶうえでは、気をつけるべき点がいくつかあります。箇条書きにして解説していきましょう。

1. 長い文章を日本語に訳す必要はない
 翻訳家であれば話は別ですが、日本語に訳す能力を高めたいのであれば、50語程度の比較的短い文章で構わないはずです。長い文章は「何が書かれているのか」を読み取ることが主眼となりますから、教科書の1レッスン分を全部和訳するようなことは不必要です。

2. 一読して理解できる日本語に訳す
 よく直訳とか意訳とか言われますが、どちらが良い・悪いなどと論じるのはナンセンスです。一読して理解できないような日本語に訳しても意味がありません。例えば、I know a student whose father is a surgeon.を訳すときに、「その父親が外科医であるところの生徒を知っている」なんて、日本語としてはかなり不自然ですよね。「ある生徒を知っているんだけど、その子の父親は外科医なんだ」でいいのです。同様に、I have something to live for.は「生き甲斐があってね」と訳したらいいでしょう。一読して即座に理解できないような日本語では、大学入試では1点ももらえません。

3. 日本語の豊かな表現力が求められる
 英語を読んで日本語に訳す場合、英語力がいくら高くても日本語の力が弱いと適切な日本語で表現することはできません。普段から活字に親しみ、素敵な表現に出会ったら、いつか使ってやろうという気持ちで覚えることです。そのストックこそが、和訳力を伸ばします。


速く読むスキルと翻訳の力はまったく違う

 英文を読んで英語のまま理解しながら読み進めていくのが普通の読書です。それを英語ができない人のために日本語に訳していくのが翻訳です。前者の場合は、日本語にあえて訳さず読んでいくことになります。I was born and raised in Nara, and now live in Hyogo.の場合、「Iがbornしてraisedしたのは奈良で、now liveinしてるのは兵庫」という読み方です。和訳は違います。「私は生まれも育ちも奈良なのですが、現在は兵庫に居を構えております」とでもなるでしょうか。前者は速く読むために必要なスキルです。これができると、300語程度の文章を1分ほどで読めます。

 一方、後者が今も大学入試で出題されるのは、大学に入ってから翻訳が必要になるときに、外国語を正しい日本語で表現できる学生が欲しいと思っているからなのでしょう。入試には「こういう力のある学生が欲しい」という想いが込められています。自分の志望校の入試問題を見て、そこに翻訳問題が高い比率で出題されている場合には、入学してからもそういう力が求められるんだろうなと思っておくことです。そして、その入学後のために、日本語に訳すトレーニングを重ねておくことが大切なのです。


【6回の裏】
受験に役立つ! 今月のヒットフレーズ

get going

役立ち度:★★★★★
難易度:★★★☆☆

 get goingは「前進する」や「出発する」という意味が基本。Let’s get going.は「出かけよう」、I have to get going.は「そろそろおいとまします」という意味になる。後ろに「on A」をつければ「Aを始める」となり、You have to get going on your homework.(君さ、宿題を急いでやったほうがいいと思うよ)のように使える。また、「get A going」とすると「Aを始める・動かせる」という意味になり、Let’s get the work going again.(その仕事を再開させようぜ)、get the adrenalin going(アドレナリンを分泌させる)となる。Aに人を入れると「人を刺激する・カッとさせる」という意味にもなり、You’ve got me going.は「痛いところをついてくるね」というような意味になる。とても便利な表現なので、覚えて使ってみよう。



編集 笹原風花
撮影 荒川潤


この記事は「螢雪時代2017年9月号」より転載いたしました。

著者プロフィール

木村 達哉先生

灘中学校・高等学校英語科教諭
教壇に立つ傍ら、英単語帳『ユメタン』(アルク)や参考書などを多数執筆。また、「英語教師塾」を立ち上げ、全国的な活動を展開している。近著に『キムタツ式 英語長文速読特訓ゼミ』シリーズ(旺文社)がある。

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