大舞台で結果を出すアスリートたち。彼らも大小さまざまな失敗を経験し、そのつど自分を成長させて、最終結果につなげている。受験生も彼らのアプローチから多くを学べるはず。
そこで、スポーツメンタルコーチの柘植陽一郎さんに、アスリート流の失敗との関わり方を教えていただいた。
一般社団法人フィールド・フロー代表 柘植 陽一郎さん
失敗という概念はなし!?
あるのは未来への学び
世界で活躍するアスリートは、失敗をどのようにとらえているのだろうか。柘植さんは言う。「そもそもアスリートのメンタルコーチングに、“失敗”という概念はありません。あるのは、よりよい未来に向かうための“学び”です」。
アスリートもいざというとき力を発揮しきれなかったり、ノルマを達成できないなどの困難に直面することは少なくないという。
「例えば私がサポートした日本代表選手に、世界選手権で現地まで行ったものの体調をコントロールしきれず、出場さえできなかった選手がいました。しかし、彼女はその後のリオオリンピックで大活躍したのです」。
世界選手権での調整不足から学んだからこそ、五輪で結果が出せたのだと柘植さん。
「私は選手の成長のカギは、『結果→振り返り→気づき・発見→課題→チャレンジ…』を繰り返す“成長サイクル”だと考えています。結果の良し悪しにとらわれず、そこから次の課題を見つけて、成長サイクルを回していくことが大切なのです」。