複雑多様化する現代社会の諸問題を洗い出し、その原因や現状から解決策を導きだすと同時に弱い立場の人たちが生きやすい社会を目ざす!
社会学とは社会のなかの問題点を追究する学問
社会学とは、私たちが今、生きている「社会」におけるすべての現象などを対象とし、人間と社会の関係や社会そのものの仕組み、抱える問題点などとても広い範囲をカバーする学問ということができる。
ひと口に社会といっても、対象範囲は、家族や友人関係からはじまり、学校、会社、地域社会、国家、世界まで広がる。それらの各々の場ではさまざまな問題が存在する。社会学は、そういった問題の原因とは何か、また、その解決法を探る。
一方、さまざまな社会のなかには、「当たり前」と思われていることがたくさんある。それが本当に正しいことか、また、なぜそうなったかも社会学では追究する。
さらには、社会学とは、社会をさまざまな角度からとらえることで、個人の多様性を認め、多様な人たちが生きやすい社会を模索することを目的とする学問だと説明する社会学者もいる。
社会学の研究を行う際には現地調査は必須
社会学を専攻すると、まずは社会学の基本的な考え方や社会学の成り立ちについて学ぶ。さらに、さまざまな問題や現象に対し、現地でのフィールドワークや各種資料からデータを収集し、それを科学的に解析する方法を学ぶことも重要となる。
これらを学んだ後、家族や環境、都市、民族、宗教、政治などといった個別の対象や分野にかかわる知識を身につけることになる。
社会学に関わるさまざまな学問を学修した後、自分が研究したい分野とテーマを絞り、実際に研究・調査を行い論文にまとめる。ある大学の卒業論文のテーマを見ると、ゆとり教育や地域振興、音楽配信、地域猫活動、ホームレス自立支援、日本とシンガポールの高齢者対策の違い……など、とても幅広いものとなっている。
メディア学では各種メディアのあり方を探る
社会学から発展した学問のひとつであるメディア学では、各種メディアの発展の歴史や各種メディアの社会的役割などを学ぶ。また、マンガや広告などメディアを通して広く社会に浸透する各種カルチャーとメディアの関係なども研究対象となる。
最近ではSNSが若者を中心に急速に浸透している。その結果、情報の送受信がとても簡単になった半面、デメリットも生じ、社会問題になっているのは周知のとおりだ。
このような現状のもと、メディア学は、社会全体と各種メディアのよりよい関係づくりを目ざす学問ともいえるだろう。
観光とは何か 経済・社会面などから解き明かす観光学
観光学も社会科学から発展した学問だ。この学問では、観光を文化やビジネス、地域発展などといった面から捉え、各々の分野で観光の意味や社会に果たす役割などを研究する。
また、観光業の発展を研究対象とする一方で、訪日する外国人旅行者が増加することによる経済効果や、それによって生じる社会問題なども研究対象となる。
なお、観光学は専門学校でも学べるが、専門学校では、観光に関係するさまざまな職業の実務を学ぶのがメインとなるが、大学では観光を幅広く捉えたさまざまな研究・教育が中心となる。
社会福祉学では弱い立場の人たちの救済・支援を追究
日本では現在、超高齢社会が到来するとともに、所得格差問題や学校などでのいじめ問題、家庭内でのDV問題などの社会問題が噴出している。
多くの社会的に弱い立場の人たちが生きやすい社会にするには、国や各自治体による社会福祉政策をより充実させることが求められる。
社会福祉学では、そういった人たちが直面している現状を探り、問題点を洗い出しその解決法を追究する。さらに、社会福祉分野は心理学や保健学、教育学、スポーツ学などとも関連が深く、それらの科目を開講している大学も多い。
また、さまざまな社会福祉の現場で、困難を抱える人たちに寄り添い、さまざまなサポートやアドバイスを行うソーシャルワーカー(社会福祉士)の育成を行うコースを開設している大学も多い。その場合、大学内の講義のほかに各種社会福祉士施設などでの実習や演習な
どが必修となる。
ソーシャルワーカーになるには国が定める社会福祉分野での所定の科目を履修し、卒業と同時に国家試験を受験し、それをクリアする必要がある。