衣食住、子育て、毎日の生活の各シーンをより快適かつ安全に、そして環境にやさしいものにするため、さまざまな探求を行う!
家政学・生活科学
2つの学問がカバーする領域はほぼ同じ
家政学・生活科学は、名称は異なるがカバーする学問領域はほぼ同じであることをまずは覚えておきたい。
これらは、衣食住、子育てといった日常生活のさまざまな場面での問題点を科学的な手法を使って改善することを大きな目的としている。
同時に、社会全体の急速な変化によって起きるさまざまな事象が、個々の家庭や家族に与える影響などについても、さまざまな学問分野から考察していく。
たとえば、時代の変化に伴い家族のカタチも大家族制から核家族へと大きく変化している。また、日本では単身世帯も多い。そういった家族のさまざまな形態を社会学の視点から考察することも、この学問分野に含まれる。
ほかにも家政学・生活科学は、経済学や心理学などの視点から家庭や家族のあり方も考察する。そういった意味で、家政学・生活科学は学際色の強い学問ということができる。
食物学は
「食」の領域から人々の健康を支える
食の分野は、食品学や栄養学、調理学などを中心とする食物学が担っている。
毎日の食事が、健康な生活を送るために大きな影響を及ぼしているのはいうまでもない。しかし、現代社会では、過食やアンバランスな食事などの結果、各種生活習慣病にかかったり、メタボリック・シンドロームなどに悩む人はとても多い。
これは日本だけではなく先進国での共通した社会問題となっている。その解決法を、毎日の食事法から探るのが栄養学の研究分野のひとつだ。そういった意味で、栄養学は医学や医療の分野と関連が深い。
なおこの分野では、管理栄養士や栄養士をはじめさまざまな食や栄養の専門家を養成するコースがある。
住居学とは
「住の領域」での心地よさを追究する
住の分野は住居学で学ぶ。この分野では室内の照明や家具の配置などのインテリアデザインから住居の設計・建築、さらには都市や街の景観づくりまでをカバーしている。
住居学にはさまざまな学問があるが、その多くは「人間にとって心地よく、環境にも配慮した住まい方とは」といった視点を軸として、さまざまな研究を行っている。
住居学と建築学は、学ぶ学問が重なることも多い。そのなかで住居学では建築学に比べ、より人間の感覚や感情などに重点を置いたソフト面にフォーカスしているといってよいだろう。なお、建築学に関するさまざまな科目を修得すると、一級建築士や二級建築士、木造建築士を目ざすこともできる。
被服学とは
「衣の領域」全体をカバーする
衣の分野は服飾学がカバーしている。この分野では服づくりの基礎から、各種繊維・布・染め、さらには洗剤などの性質や特性などを科学的な実験などを通じてトータルに学ぶ。
まずは服飾全般の基礎的な知識を得て、その後、服飾のデザインや服飾文化、流通、素材・加工法などの分野から自分の専門分野を決める。
たとえば、被服の着心地や耐久性は、材料(繊維、糸、布など)の強度や色、柄、光沢さらには熱や空気の通気性と密接にかかわっている。それらを総合的に学ぶのが被服材料学だ。
なお、服飾のデザインは、芸術系学部でも学ぶことができる。
保育士を目ざすなら
児童学を学ぶのがメインルートとなる
乳幼児から小学生までの子どもたちが、心と身体の両面でどのように発達していくかを追究し、よりよい教育とは何かを探り、その実践法を身につけるのが児童学(子ども学)分野だ。
学びの例をあげると、乳幼児の心理は発育するにつれて、大きく変化していく。その過程を心理学的側面から追究するのが児童発達(心理)学だ。
また、保育学では、保育の理念や養護と教育の関連性、さらには保育所での保育方法などを学ぶ。
ほかにも乳幼児の感性や知性を健やかに発達させるには、良質の玩具や絵本、児童文学、さらにはアニメやゲームなどが必須となる。そういった児童に関わる文化全般を探求する児童文化学もある。
児童学を専攻しそれぞれに所定の単位を修得すると保育士資格や幼稚園教諭免許状、小学校教諭免許状などを得られる。
幼稚園や小学校教諭の免許状は教育学系の学部でも取得できるが、保育士の資格を得るのであれば、児童学分野に進む道がメインルートとなることは覚えておきたい。