「自然界はどのようにできているのだろう?」
自然科学の基礎となる「理学」を学ぶことで自然の偉大さや奥深さを実感してみよう!
理学の諸学問を学び
サイエンティストを目ざす!
理学分野に含まれる数学、物理学、化学、地学などは、いずれも自然界にある普遍的な原理や法則を追究する学問であり、私たち人類が歴史上、創り上げてきた文明の基礎となる。
また、自然科学分野で基礎研究を担う理学の諸学問は、サイエンティスト(科学者)を養成する学問の場ということもできる。
理学での研究について、「自分が立てた仮説が正しことを実験や観察などで証明することは大変だが、その間、試行錯誤すること自体が、研究のだいご味だ」と、ある研究者は語る。
まず、数学分野での学びについて、高校までに学んできた大部分が、19世紀前半までに解明されたものであるのに対し、大学では、それ以降、さまざまに発展・枝分かれした数学の諸分野を学び、研究することになる。
つまり、高校までは公式を暗記し正確な計算をすることが求められてきたが、大学ではさまざまな数学的問題や課題に対し、柔軟な発想力を持ち、抽象化している内容を論理的に解明していく思考力が何より求められる。
数学は「科学の言葉」ともいわれ、広く自然科学の諸学問の基礎となっている。なかでもコンピュータの基礎理論は数学が担っており、数学と情報科学との関連はとても深い。
微細な素粒子の世界から
地球や宇宙まで、物理学の研究対象は幅広い
物理学分野がカバーする領域は、ごく微細な素粒子の世界から、惑星、宇宙までとても幅広い。
そのなかでも日本国内でもっとも研究者が多い研究領域が物性物理と呼ばれる分野だ。
物性物理は大学に入って初めて学ぶ物理学で、さまざまな物質の性質を物理学と化学などの手法を用いて研究する。たとえば、ある物質を超高圧、超低温、超強磁場といった極限環境に置いた場合、どういった変化が起きるか、さらにはそれによって生じる新たな特性などについておもに実験を通して研究する。この分野での研究領域はとても広く、各種半導体、超電導など多岐にわたる。
また、地球物理学では地学同様、地球を研究対象とするが、ここでは、地球の物理的な現象(気象、海洋変動、地震、オーロラなど)が研究領域だ。
自然現象や物質の性質を
分子レベルで解析する化学の世界
化学分野では、さまざまな自然現象や物質の性質をおもに分子レベルで解析していく。化学の領域も広く、生命体の基本物質である有機化合物や金属や、その化合物である無機化合物に関連するさまざまな物質や現象を研究対象としている。
元素は約100種類程度しか存在しないが、原子が互いに結合してできる物質(分子)の種類は約1億5千万個もあるといわれており、その数は年々、増加している。なぜなら、各分子の性質や構造をあらかじめ予測し、異なる分子を結合することで、これまでになかった機能を持つ分子を産み出す研究が盛んに行われているからだ。
このような研究を通じて、化学者たちは、新たな資源やエネルギー源の発見や環境汚染の防止法、さらには食糧不足を解消する方法なども、化学の視点から探っている。
「生命とは何なのか」
すべての生き物の神秘を探る生物学
生物学・生命科学分野のいちばんの目的は、「生命とは何なのか」をさまざまな視点から解明していくことだ。生物学では、生物が営むあらゆる活動に目を向け、その生態や進化の過程などを研究する。
一方、生命科学(バイオサイエンス)は、ヒトをはじめとする動植物を含むすべての生き物の生命現象を分子レベルで解明する。こういった研究をもとに、現在、この分野では、生物内に存在する遺伝子やタンパク質が織りなす複雑なシステムを解明することで、生命とは何なのかを探っている。
地球の誕生から現在、さらには未来までを科学する地学
地学分野では、誕生から46億年たった地球の内部から表面の地表や海洋、さらには大気までを対象とし、その仕組みや成り立ちを多様な視点から探求している。さらには将来、地球全体が、どのような環境となるかも予測する。
地学に含まれる地質学分野で、2020年、歴史上、日本の地名が初めて「地質年代」に刻まれることが決定した。「チバニアン(千葉時代)」の誕生だ。今から約77万~約12万年前の地球の年代が、千葉県内の地層から世界のなかで、もっとも特定できたことから、この名前が「国際地質科学連合」で承認された。