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研究者インタビュー「この学問の魅力! 社会学部系統」同志社大学 轡田竜蔵 先生

  • 【学部選びガイド 2020年版】法・政治・経済・経営・商・社会・社会福祉・国際関係学部系統 編
  • [2020/11/6]

家庭内から国際社会まで!名もなき現象や少数派を拾いあげ、多様な社会で共に暮らす個々人の幸福を追求する

《私立》同志社大学 社会学部 准教授
轡田 竜蔵(くつわだ りゅうぞう)先生

富山県出身。東京大学人文社会系研究科博士課程、日本学術振興会特別研究員、吉備国際大学教員を経て、2018年より現職。地域社会学・グローバリゼーション研究・若者研究を専門としている。主著は、これまで若者論の中で周辺的に扱われがちだった、地方暮らしの若者の実態と意識に焦点を当てた『地方暮らしの幸福と若者』(勁草書房)

社会学とは、どんな学問ですか?

 簡単に言うと社会学とは、一人ひとりが尊重し合い、よりよく生きる社会を実現するための、新たな視点や方向性、ルールを提供する学問です。

 「 よりよく生きられる社会」やそのための社会規範のあり方、感じ方は人によってさまざまです。そのひとつが、男女による違いをテーマとするジェンダー論。社会学の重要な研究分野のひとつでもあります。その象徴ともいえるのが1980年代の「アグネス論争」(※)。「子連れ出勤」の是非をめぐって、多くの社会学者が、男性主体だった当時の職場の社会規範や共通認識に一石を投じました。これによって、職場の社会規範に違和感なく適応していた人だけでなく、実は疑問を持ちつつ許容していた人や、我慢して従っていた人の存在が表面化し、社会問題へと発展。女性の働き方という新たな視点を社会学が提供した好例です。

 さらに、「よりよく生きられる社会」の感じ方やとらえ方は、地域や環境によっても異なります。「世界一幸せな国」などがメディアでも取り沙汰されていますが、人の「幸福度」「生活満足度」は、日本より、1人あたりのGDPが日本の半分程度のアルゼンチンのほうが高いというデータがあります。「幸福度」を論ずる時、真っ先にあがるのが経済的な視点でしょう。しかしこのデータから、人の「幸福度」は経済的な側面だけではなく、社会の制度や文化、働き方、家族のあり方など、さまざまな要因が関係していると考えられています。

 また、社会規範や共通認識そのものも変化することがあります。たとえば、かつてクリーンなエネルギーといわれた原子力発電。発電所の建設は雇用を生み出し、経済的にも効果があるとされていました。しかし多くのリスクも伴うことがわかった現在、原子力発電に対する共通認識は変化しています。

 社会とは人間が構築したものです。つまり自然の理のように人智の及ばないものではなく、人間が変えられるもの。そういった認識のうえで、社会学では、自分も含めた社会の中で、多種多様な「他者」との集まりやつながりに関わる諸問題を考察していきます。

※アグネス論争:歌手・タレントのアグネス・チャンが、乳児を連れてテレビ局などへ出勤した。これを批判・擁護した論争。


社会学ではどんなことを学びますか?

 社会学では、時代の中で変化する多様な社会に潜む問題をとらえたうえで、学問として分析する方法を学びます。その柱となるのが、理論研究、新聞などのメディアを含む歴史資料の考察、そして社会調査です。

 中でも、社会調査は社会学を特徴づける重要なもの。質問紙調査(アンケート)による統計と、インタビューを組み合わせるのが一般的です。たとえば「クラスメイトは何人か」といったほかの人でも答えられる質問ではなく、「今の暮らしに満足しているか」など、その人にしか答えられない問いで、一人ひとりの感じ方を聞き出します。

 こうした生身の人とのコミュニケーションを通した学び・研究が、社会学のおもしろさ。質問紙調査では、各問の答えを選択肢から選ぶスタイルですが、インタビューでは選択肢にはない回答が出てくることもあり、視野が広がります。

 しかし想定外の回答や社会現象について、思いついた印象を語るだけでは、学問とはいえません。これが社会学の難しさのひとつ。社会調査による豊富なデータを分析するには、あらゆる観点からのアプローチが必要です。

 たとえば、地域の行政に対する見方。政治学の観点から、税収アップを見込んだ人口増加のための政策が重視されるとしましょう。その一方で経済学の観点からは、効率化のため、人口そのものよりGDPを上げる政策が論じられがち。加えて、この2つとは異なる政策を重視すべきという、さらに違った観点も存在するでしょう。社会学では、これらさまざまな観点があることをわかったうえで、一人ひとりの暮らしの質を上げるために、どうすればいいのかを考察することも大切です。

 他学部の学生が私の社会学の授業を受けると、観点が幅広いという感想を持つことが多いようです。ひとつの社会現象を理解するには、その背景に多様な社会的要因があり、それらが互いに影響し合っていることを知る必要があるのです。


先生が社会学を志したきっかけは?

 大学3年生の時、東京の中国人コミュニティと関わったのがきっかけで、自分が見ている社会の現実を言葉にしたいという、強いモチベーションを感じました。世の中には、まだ名付けられていない現象やコミュニティといった社会の現実が埋もれていて、その“鉱脈”を掘り当てていく社会学に魅力を感じました。「婚活」「セクハラ」「パラサイト・シングル」なども、社会学から生まれた言葉です。

 社会学の学問範囲は実に多彩。分野としては、都市・家族・文化など特定のコミュニティを対象とするものや、ジェンダーなどの集団を特定しない軸を対象とするものなどがあります。さらに、こうした狭義の社会学に対して、それと隣接した専門分野に注目する学問分野もあります。

 本学社会学部の5つの学科でいうと、狭義の社会学に焦点を合わせているの社会学部系統が社会学科。国際社会、社会心理、ジェンダーという副専攻制度もあります。隣接した専門分野に注目するのが社会福祉学科、メディア文化学科、産業関係学科、教育文化学科といえます。


どんな人が社会学に向いていますか?

 社会学には、常に変わりつつある社会の中の多様な価値観に対する、興味関心が大切です。そのうえで「今ある社会は変えることができる」ととらえ、変えるためには何ができるだろうかと考えることができる人が向いていると思います。

 受験勉強の歴史や地理、政治経済などは暗記科目に思えたかもしれません。しかし社会学を学ぶと、それぞれの知識が有機的につながり、私たちの生活や人生においてダイナミックな意味を持ち始めます。

 経済が右肩上がりではなく、将来の不安が大きい時代には、なおさら生活の質が社会のあり方に影響されます。またグローバル化とウェブ社会が急速に発展する今、新しい社会の形が生み出されています。さらにコロナ禍を受け、テレワークなどの新しい働き方についても、幅広く論じられています。

 社会学を深く学ぶことで、こうした変化を敏感に感じ取り、考察・分析することができるのです。引いては、新しい価値観をもたらし、社会を変える先駆けにもなり得るでしょう。


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