国際社会が抱える諸問題を解決するには政治・経済面からのアプローチのみならず各国の文化や歴史などを理解することも重要!
国際関係学とは学際色の濃い学問分野
政治・経済・社会のすべての面でグローバリゼーション化が急速に進む現在、地球の各地域や国家間で起きるさまざまな問題は、複雑な要因が絡み合って起きている。
それらを政治学や経済学をはじめ社会学、文化人類学、歴史学といった社会科学系や人文科学系のさまざまな学問分野から多角的に捉え解決策を探るのが国際関係学だ。
そういった意味で国際関係学は複数の学問領域にまたがる学際色の濃い学問ともいえる。
国際関係学を学ぶうえで、「国際秩序と平和」や「国際協力」、「国際文化理解」などといった言葉がキーワードとなる。
国際文化学では異文化を理解し多文化共生を目ざす
国際関係学のなかで人文科学系の学問分野となるのが国際文化学だ。この学問分野では、さまざまな国や地域が有してきた独自の文化――歴史や思想、宗教、風土、芸術などを学ぶことで、相互理解を深めることが大きな目的となる。
「多文化共生」という言葉がある。これは文化的背景が異なる人たちが、それぞれの文化の独自性を理解、尊重することで多様性を認め、言語や文化の違いを超えて「共生」していくことを意味する。
国際文化学を学ぶということは、全世界の人たちが平和的に多文化共生できる社会を目ざしているといってもよいだろう。
国際文化学での学びの対象・分野は、おおむね次のように分けることができる。まず、アジアや北米、ヨーロッパなどをはじめとする世界の各地域や国家が育んできた独自の文化を学ぶ、地域研究がある。
さらには異なる文化圏同士の歴史的つながりにはじまり、差や共通点を比較検討する比較文化という分野もある。ほかにもさまざまな国や地域で独自の発展を遂げた文学や音楽、各種芸術といった分野に焦点をあて、その歴史的背景や独自性を探る分野もある。
また、現在、地球規模で問題となっている環境・人口・食糧問題解決にあたる国際的ボランティア団体やNGO組織の活動の現状を探ったり、観光ビジネスに焦点をあてた学問分野もある。
いずれの学問分野でも英語をはじめとする外国語の学修や長・短期留学や外国での実習を義務づけている大学も多い。
国家間の対立で互いが納得できる結論を模索する学問
二国間や複数の国々を巻き込んでの政治・経済問題に焦点をあて、その解決法を、社会科学系のさまざまな学問分野から探る学問分野も数多くある。
まず、国際法学では、たとえば二国間で外交問題や紛争が起きた場合、条約や各種国際慣習法などと照らし合わせて、その解決法を探る。
また、グローバル化が進む現在、各企業が外国でビジネスを展開したり、異なる国籍のカップルが誕生することもよくある。その際、外国の企業と国、さらには国籍の異なる個人間で何らかのトラブルが生じた場合の解決法を探るのが国際私法だ。
さらには、国際政治学では各国家間の安全保障はどうあるべきか、また、開発途上国や地域に対する国際援助や開発協力はどうあるべきかなどの解決策を追究する。
ボーダレス化が進むさまざまな経済活動の安定性や安全性を探求
現在、ヒトやモノ、お金、情報といった経済の基盤を構成する各要素は、国境を超えて世界中を駆け巡っている。国際経済学では、ダイナミックに動く世界経済の構造やその原理などを明らかにする。
また、世界経済には、通貨危機や貿易摩擦、途上国の貧困問題、先進各国の経済の停滞など、さまざまな問題が存在する。それらの問題の原因を探り具体的な解決策を追究することも国際経済学の大きな役割だ。
この学問を学ぶには、経済学の基礎知識や分析方法をまず身につけることが求められる。そのうえで、個別の経済問題の歴史的背景や要因について学んでいく。
一方、現在、日本をはじめ世界各国の多くの企業が活動の場を世界の場へと広げている。
たとえば、生産拠点を自国から賃金等の安い途上国などに移したり、自社製品の販売網を近隣各国のほかにも遠く離れた国でも展開している。
このように企業が海外展開する際、世界の市場で通用するマーケット理論を考えたり、多国籍企業化するにあたり社内組織の円滑化を図ると同時に組織強化のための方策を考えるのが、国際経営学だ。