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研究者インタビュー「家政・生活科学部系統 この学問の魅力!」日本女子大学 大塚美智子先生

  • 【学部選びガイド 2020年版】教育・教員養成・家政・生活科学・体育・健康科学・芸術学部系統 編
  • [2020/11/2]

科学的な視点で生活の質の向上を追求。あらゆる人が快適で健康に過ごせる衣服づくりの最先端技術を目指す

《私立》日本女子大学 家政学部 教授
大塚 美智子(おおつか みちこ)先生

1976年、日本女子大学家政学部被服学科卒業。80年、お茶の水女子大学大学院家政学研究科被服学専攻修了。博士(学術)。聖徳大学短期大学部講師、助教授等を経て、99年から日本女子大学家政学部助教授、2004年から現職。日本家政学会前会長。専門は被服構成学、被服体型学。「衣服の百科事典」(代表編集:丸善出版)など著書多数。

被服学とはどのような学問なのでしょうか

 家政学は科学的な視点から人間生活の質の向上を目指す学問です。その一領域である被服学の研究対象は幅広く学際的で、自然科学(工学・デザイン学)、人文科学(歴史学・芸術学)、社会科学(法学・経済学)から成り立っています。

 被服の分野は技術の発展が目覚しく、機能性素材やスマートテキスタイル(IT 端末を組み込んだ衣服素材)などが次々に開発され、三次元プリンターで衣服が作られる時代に入っています。こうした最新技術を理解するには、被服材料・染色・洗浄・デザインなど、工学的な学びが不可欠ですが、あくまでも被服に焦点を当てて基礎を学びますので、理系科目が苦手な学生でも、興味を持って学習に取り組んでいます。

 人文科学の領域では、服装史や服飾美学を、社会背景との関係からひも解きます。衣服は人類の歴史とともに発達し、時代や地域、環境に適するように変化したので、その研究が新しい衣服を生み出す原動力ともなります。歴史や芸術に興味のある人にはワクワクする領域ではないでしょうか。また、流通の仕組みや消費者問題、消費者心理など、社会科学的領域の学びも大切です。


先生が被服学の研究者を志したきっかけは?

 私の母は、若い頃から器用に衣服を作り、素材へのこだわりが強い人でした。そのため、私は幼い頃から質の良い生地や優れた技術に触れる機会も多く、憧れを持っていました。いつしかファッション、特に衣服素材やデザインの分野で社会貢献をしたい、しかも衣服を科学的に捉えて人を幸せにするデザインを目指したいと考えるようになりました。それを実現できるのは、縫製技術中心のファッション教育ではなく、被服学だと思い至ったのです。

 被服学の領域でファッション好きな学生を教育でき、しかも企業との共同研究で、彼女たちのアイディアも活かし、快適な衣服を社会に提供できていることを幸せに思っています。


いま研究中の「パーソナル対応の衣服設計」とは?

 3D-CAD(コンピュータを用いた三次元設計)の進歩に伴い、バーチャルボディ(仮想人台)を用いて衣服の型紙設計を行い、仮想空間内でフィッティング(着せ付け)する取り組みが加速したため、ICT(情報通信技術)による生産・販売システムの基盤となる、さまざまな体型・身体条件の人のバーチャルボディを開発する必要性が高まっています。

 特に、高齢者や障がい者、アスリートなど、一般の衣服が適合しない特徴的な体型の人々までカバーできる衣服設計を行うには、パーソナル対応の設計システムの構築が必要なのです。

 日本は世界でも類を見ない速度で高齢化が進んでいます。日常生活の中で、高齢者が快適で機能的な衣服を着ることは、生活の質(QOL)の向上、SDGs(持続可能な開発目標)の3番目の課題“全ての人の健康と福祉”につながるものであり、衣服による高齢者への生活支援は不可欠です。

 衣服は身に付けるがゆえに、最も人に寄り添って機能を与えることができます。例えば、スマートテキスタイルを利用した身体計測衣、健康状態を把握できるウェアラブルセンサー、筋力を高める衣服など…。

 これらの一部はすでに実用化されていますが、私はロボット工学の領域と連携し、未だ実現していない、体型・サイズ・姿勢を自由に変えられる人型ロボット「可変人台」を開発し、あらゆる体型・身体条件から自動的に型紙設計できるシステムを確立したいと考えています。そのため、私の研究室ではさまざまな身体条件の人々の三次元人体計測を行い、データを収集・分析し、それぞれの平均形状のバーチャルボディを作成しています。


日本女子大学の被服学科の特長や強みは?

 本学は日本の家政学発祥の地であり、創立当初より科学的な視点から人間生活の質の向上を目指す教育・研究を行ってきました。したがって被服の分野でも、衣服製作やデザインに力を入れる大学と、重点の置き方が異なります。

 本学科は、1級衣料管理士(TA)の養成校として認定され、その育成に取り組んでいます。1級 TA を取得するには、4年間で所定の科目単位(43単位以上)の修得が必要です。

 さらに、主に実務経験者が受験し、難関といわれる繊維製品品質管理士(TES)の資格試験(短答式・記述式)に、在学中から合格する学生も毎年います。主に TES 受験希望者向けに、記述式に出題される応用的な事例を学ぶ「衣服のためのケーススタディ」を開講するなど、きめ細かく支援しています。

 これらの資格を活かし、繊維検査機関やアパレル業界で活躍する卒業生が多数います。また、衣服について人文・社会・自然科学の各視点から総合的に学ぶことができる本学科は、教員、公務員、金融、マスコミなど、幅広い分野への進路が開けています。


学生の教育について、心がけておられることは?

 私が担当する「アパレル設計・生産論」では、衣服ができるまでの一連の流れを学びます。人体を解剖学的、生理学的に捉え、着やすさなどの人間工学的要素に配慮した衣服設計、素材の造形性に重点をおいて講義しています。この専門知識が、新たな衣服デザインを生む力になると考えています。

 また、「アパレル CAD 演習」では、パターンメーキング(衣服設計)の基礎、テキスタイルデザイン(衣服素材のデザイン)やバーチャルフィッティングの実際を学習します。人体は複雑な曲面で形成されていますので、衣服に特化したアパレル CAD を実際に操作し、衣服の設計法を学びます。

 4年間に、なるべく多くの最先端技術を体験してほしいと考え、常に設備の充実を心がけています。

 被服学の実験や実習では、結果を科学的視点でレポートにまとめることが求められます。講義科目でもレポートを書く機会が多くありますし、3~4年では集大成として卒業論文に取り組みます。そのためには、自分自身で発想、計画し、課題を客観的に解決する力を身につけることが必要です。

 一方、衣服を作ることが苦手でも、その構造に目を向けて取り組む姿勢があれば問題ありません。完璧でなくても、完成させる喜び、ものづくりの大変さを味わうことが大切なのです。

 衣服の研究には総合力が必要です。自然科学的な学習にも、デザインや制作にも、服飾文化や流通の原理にも、得意でなくてよいので、好奇心を持って取り組める人の入学を期待しています。


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