保健体育の先生をはじめ、各種目の競技者や指導者、各種スタッフを養成すると同時に体育を通じて社会全体を健康にする学問分野も!
体育学は大きく3つの領域に分けられる
体育学部やスポーツ科学・健康学部での学びの内容は大きく、体育学系と健康科学系に分けられる。
そのうち体育学での学びの分野は3つに分類できる。まず、各学校などで体育を教える教師や指導者を養成する分野があげられる。この分野では、そもそも「体力」とは何かを学び、体力トレーニングなどの基礎知識を身につけ、その実践法なども学ぶ。また、保健体育教員に必要な知識を学修し教員免許状の取得を目ざす。
各種競技の選手や指導者、テクニカルスタッフを養成する
また、さまざまなスポーツのアスリートやコーチ、さらには選手やチーム全体のコンディショニングや心身のケアをするスタッフを養成するスポーツ科学分野もある。
この分野では、体育学に関連するさまざまな学問を学ぶことで、人間が持つ運動技能や体力を科学的な視点から探る学問といえる。
たとえば、トップアスリートたちが速く走ったり、高く・長く跳ぶ際の身体全体の動きや力のかかり具合などを高性能のカメラで撮影し、そのデータをコンピュータで画像処理し、そのメカニズムを探る研究は多くの大学で行われている。また、選手が試合に際して、最大のパフォーマンスを出すためのメンタル面の強化法も心理学などの手法を用いて研究されている。
ほかにも、アスリートたちの健康管理やケガなどをした際のさまざまなリハビリ法などを学ぶアスレティックトレーニング学もある。
各種スポーツに関わるマネージメント全般を学べるコースもある
さらには、各種プロスポーツ組織をはじめとする各種事業、スポーツ施設などの企画・経営・管理について効率的なマネージメント方法を学ぶスポーツマネージメント分野もある。
具体的な学びの例として、各種スポーツクラブが健全な運営を行うための組織論や経営学を学ぶスポーツマネージメント論がある。また、各種スポーツに関わる用具や施設、メディアの変遷をたどり、これからのスポーツ界のあるべき姿を探るスポーツ産業論などを学ぶ。
この分野ではスポーツ用品メーカーや各種競技施設・スポーツクラブでの実習も行われている。
健康科学分野ではスポーツを通じて社会全体を健康にする!
健康科学分野では、体育を通して老若男女が健康な身体となることをサポートする人材の養成や組織づくりを目ざしている。
そのため、この分野でのさまざまな学びは保健学や教育学、福祉学といった学問との関連がとても深い。
超高齢化社会が進む日本では、多くの高齢者が健康に過ごせることが国家規模で求められている。
そのため各種スポーツを予防医学の観点からとらえ、高齢者が無理なく楽しめる運動を毎日、行うための指導者や施設の充実が欠かせない。これらは福祉レクリエーション論などを通じて学ぶ。
また、高齢者に対しさまざまな運動指導を行う健康運動実践指導者を養成するコースを設ける大学もある。
一方、教育の場で児童や生徒の健康管理や病気やケガの予防指導、さらには心のケアを行う養護教諭の役割は高まっており、この分野では養護教諭の養成も行っている。
ほかにも、介護や福祉サービスを必要とする人たちの生活支援やさまざまな相談にのる介護福祉士や社会福祉士も養成する大学もある。
また、日本では現在、各種障がい者スポーツもさまざまな盛り上がりを見せている。それに伴い、各競技の指導者養成も求められているが、障がい者スポーツの指導を行う障がい者スポーツ指導員の養成を行う大学も増えている。
ニュース・トピック!
日本のスポーツ科学の総本山
国立スポーツ科学センター
2016年リオデジャネイロオリンピックで日本の男子400mリレーチームが見事、銀メダルを獲得した。
各走者の実力はアメリカやジャマイカなどの強豪国の選手に比べ劣っていたが、他国が真似できない科学的に実証されたバトンパス技術を磨き上げたことが勝因だった。
そんなバトンパスを産み出すにあたり、スポーツ科学・医学などの見地から各種競技の国際競技力向上のためのさまざまな研究・調査を行う国立スポーツ科学センター(JISS)の技術サポートスタッフが果たした役割はとても大きいといわれている。