小・中・高校などのさまざまな教科を教える教師の養成がメインとなるが、ほかにも、教育の本質を探究する学問分野などもある!
各種教員を養成する課程は4つに分かれ専門教育を実施
教育学部系統のなかでメインとなるのが、各種教員を養成する教員養成課程だ。
この課程は、初等教育教員養成課程(おもに幼稚園と小学校の教諭)、中等教育教員養成課程(おもに中学校と高校の教諭)、さらには特別支援教育教員養成課程(おもに特別支援学校教諭)、養護教育教員養成課程(おもに各学校の養護教諭)の4つに分けられる。
いずれの課程も在学中に、教育に関連するさまざまな科目と同時に、自分が将来、専門としたい教科の基礎学問となるさまざまな科目、さらには各教科の指導法などを学ぶ。そして、ほぼ1か月にわたる教育実習が必修となっている。
なお、小学校・中学校の教員免許を取得する場合は、児童養護施設などの各種社会福祉施設と特別支援学校での「介護等体験」(合計7日間)も義務づけられている。
最大のメリットは2つの教員免許状を取得できること
これらすべての単位を取得することが教員養成課程の卒業要件となっている。つまり、この課程を卒業できれば、自分が専門とした教科・分野での教員免許状(4年制の場合は一種免許状)を取得できる。これを「主免許状(主免)」という。
また、在学中に卒業要件以外の単位を併せて修得することで、ほかの教員免許状も取得できる。これがこの課程で学ぶ上での大きなメリットといえるだろう。
たとえば、小学校教諭一種免許状を主免とし、中学校教諭一種免許状も取得するというパターンだ。この場合、中学校教諭一種免許状は「副免許状(副免)」となる。なお、副免を取得する場合は、主免取得時とは別にもう一度、教育実習を行う必要がある。
小中高の各教科以外にも養護の先生や特別支援学校の先生も養成
個々の学びの内容を見ると、小学校教諭養成課程では、小学校で教える全教科に関する幅広い知識や技能を身につけることが求められている。
なかでも、2020年度から小学校3年生から英語教育が必修化されるので、英語の専攻・課程を設置する大学も増えている。
また、中学校教諭養成課程では、国語・数学・理科・社会・英語のほかにも技術や家政、保健体育、音楽、美術、書道などを専門とすることもできる。また、この場合、同時に高校教諭の免許状を取得する場合は、各教科または教職に関する科目の単位をじゃっかん上乗せして取る必要がある。
一方、各種学校にある保健室で児童・生徒の心身の健康保持に努める養護教諭や、さまざまな障がいを持つ児童・生徒に対して専門的な教育を行う特別支援学校教諭への道も教員養成課程に進むことがメインルートとなっている。
教育の本質を追究する教育学とはどんな学問か?
各種教員を目ざす道とは別に、「教育学」を研究・対象とする学科、専攻科もある。その多くは文学部系に含まれている。
教育学とは、ある意味、“ヒトはいかにして人間となるか”といったことをさまざまな学問分野から追究する学問といえる。それには、人間形成や発達のプロセスなどを科学的手法を用いて探る。
また、教育という営みの歴史やその根底にある思想や、各種学校だけではなく広く社会全般で行われる各種教育の効果的な実践法などを探求する学問もある。
教育学を専攻した場合、各種教員養成系学部とは異なり、各種教員資格免許状を取得する必要はないが、希望すれば各種教員資格免許状は取得できる。
先生だけではなくさまざまな教育のプロを養成するコースもある
さらには、各種学校と連携・協働して教育に携わる教育支援職(公務員や企業・法人職員など)に就く人たちや、博物館や図書館、さらには海外でさまざまな教育関連の支援をする人たちを養成する学科や課程もある。
そのキーワードとなるのが、生涯学習やカウンセリング、ソーシャルワーク、多文化共生、情報教育などだ。
たとえば生涯学習分野では、だれもが学び・成長できるために地域や学校などでの教育方法や組織づくりなどについて探求する。
カウンセリング分野では、子どもたちの揺れ動く心理面をケアしサポートする公認心理師など(スクールカウンセラー)や、子どもたちが学校や家庭で抱えるさまざまな悩みや問題の解決を図る社会福祉士など(スクールソーシャルワーカー)の養成を行っている。