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研究者インタビュー「看護学部系統 この学問の魅力!」名古屋市立大学 金子典代先生

  • 【学部選びガイド 2020年版】医・歯・薬・看護・医療・栄養学部系統 編
  • [2020/8/6]

健康を守るコーディネーターとして、本当に支援が必要な人に対し、多分野と協働しながら解決策を見出す

《公立》名古屋市立大学 看護学部 准教授
金子 典代(かねこ のりよ)先生

1999年、大阪大学医学部保健学科看護学専攻卒業。2001年、米国アラバマ大学公衆衛生大学院健康行動学専攻を修了。2001~2005年に岡山大学医学部保健学科助手。2008年、名古屋市立大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。2009年から同大学看護学部講師を経て、2012年から現職。専門は国際保健看護学、健康行動学、HIV 感染症(AIDS)の予防。

看護学とはどんな学問ですか。看護師を目指すイメージ?

 新生児から高齢者まで、全ての人やその家族、居住する地域における健康問題を理解し、援助を行うことや、健康の維持、増進について研究する学問という定義がよく使われます。扱う問題の幅が広く、さまざまな他の学問領域とも重なるので、そうした他領域の専門家と協働する機会が多いことも特徴であり、おもしろみでもあります。

 医療は多職種の連携で成り立っています。例えば病院では、医師、薬剤師、ケースワーカー、管理栄養士など異なる職種が関わり、患者さんに必要な医療・ケア・支援を行います。

 その中で看護師は、患者さんが何に困っているのか、そして病院で、あるいは自宅に帰って生活をするうえで、どのような支援があればよいかを見極めるスペシャリストであり、そのためにどの職種につなげばよいかを判断していくコーディネーターでもあります。

 看護学の強みは、修めた後に選べるキャリアの多様性にあります。看護職というと、一般的には病院や医療機関で患者さんにケアを提供するイメージが強いですが、起業して訪問看護ステーションを運営する看護師もいますし、保健師や助産師の資格も取れます。

 保健師は地域での疾病予防、ヘルスプロモーションのスペシャリストです。保健行政の施策づくりに関わり、多くの人の健康を守ることができる、やりがいのある仕事だと思います。また、助産師は大学院や専攻科で教育を受ける必要がありますが、出産や育児のみならず、女性の生涯の健康づくりの支援に関わる、これも重要な専門職です。


名古屋市立大学看護学部にはどのような特長がありますか

 本学は、医・薬・看護の医療系3学部を持つ唯一の公立総合大学です。入学してすぐに、3学部が合同で行う講義や演習があり、学生を3学部混成のグループに分け、現代の地域医療を担う最前線の情報を各領域の専門家から学ぶなど、チーム医療における連携の大切さを重視した教育を行っています。

 世界的規模で蔓延する病気や感染症など、国際化に対応できる看護職の育成にも力を入れています。今後の日本社会は、アジア各地域との関係がますます重要になるので、韓国のハルリム大学や東ティモールのパーツ大学と協定を結び、学生の相互短期派遣を行っています。また、愛知県など東海地区は外国籍の患者さんも多いので、異文化背景を持つ患者さんへの対応や、医療通訳との協働について学ぶ講義・演習も、4年次に行っています。


先生が専門としている研究分野は何ですか?

 私の専門は、HIV 感染症(エイズ)の予防です。1990年代に治療薬が開発され、発症を抑えられるようになりましたが、世界中にこの治療薬が行き届いているわけではありません。できるだけ多くの人が検査を受ければ、予防や感染防止につながるのですが、差別や恐怖のイメージがいまだに強く、検査に行けない人も多くいます。本当に予防や検査が必要な人に情報を届けるにはどうすればよいでしょうか?

 例えば、私は HIV 感染症に最も影響を受けてきたセクシュアルマイノリティ(性的少数者)の当事者の NGO と行政・医療関係者が連携し、HIV 検査の機会を創り出す取り組みに関わっています。当事者と信頼関係を作り、本音で議論を重ねてこそ、有効なプログラムを準備することができるのです。

 私の授業では、多職種連携の何が大変でどこにやりがいがあるか、なぜ当事者と組まないと必要な施策が生まれないかなど、現場のリアルを伝えることを重視しています。教科書通りの話をしても伝わりにくいので、センシティブな内容ですが、実例をもとに話をすると、具体的なイメージが湧くと好評です。

 また、セクシュアルマイノリティを対象とする検査や予防啓発のイベントには、毎年30名以上の本学の学生が参加します。多職種が協働して行うプログラムのおもしろさを体感してもらえるよう、心がけています。


HIV 感染症の研究を専門とした理由は?

 私が看護学の道を志したのは、看護教育が2~3年制の短大から4年制の大学へ移行し始めた頃でした。

 大学入学後、病気の予防に興味を持ち、より国際的な視点から学ぼうと、卒業後、すぐにアメリカに留学しました。そこで、当時世界的に流行していた HIV 感染症の予防研究に出会ったのです。

 今も研究を続けているのは、状況が変わるたびに新たな研究課題が出てきますし、医療職以外の、行政を担う人々やセクシュアルマイノリティのコミュニティづくりにかかわる専門家など、他職種との協働から、多くの学びがあるからです。また、HIV 感染症は国際感染症に指定され、国際協働をしなければ解決できない問題も多いので、海外の研究者と共同研究ができることも、やりがいの一つとなっています。

 私の専門は、「健康行動学」でもあります。人の健康に関わるあらゆる行動と、それに関係する要因を明確にし、有効性の高いアプローチを目指すものです。その際に必須となる手法が、やはり私が授業を担当する「保健統計学」です。

 数学とは縁がなさそうに見える看護の世界ですが、例えばある感染症がどのような集団で流行しているか、どの集団を優先して支援をすべきかなど、適切に判断するには、データを冷静に分析する必要があり、数値を正しく見る目が要求されるのです。意外かもしれませんが、円グラフのもとを考案したのは、あのナイチンゲールなのですから…。でも、使う知識は数学Ⅰのレベルなので、安心してください。


看護学を学ぶのに必要な適性や素質は?

 患者さんとの意思疎通を図る場面が多いので、やはり人とのコミュニケーションが好きなことが重要ですね。実習場所も、病院、訪問看護ステーション、高齢者施設、保健所など多岐にわたるので、それぞれの臨床現場で働くプロから学びとろうとする積極的な姿勢も大切ですし、実習はグループで動くので協調性も求められます。

 看護学部を目指す人は、いま直面している新型コロナウィルスをはじめ、現代社会の医療や健康、高齢化に関する諸問題に、日本がどう対応しているのか、医療関連のニュースに気を付けて読むように心がけましょう。そして、自分はどう思うか、どういう対策がよいか、考えてみてください。


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