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研究者インタビュー「薬学部系統 この学問の魅力!」富山大学 細谷健一先生

  • 【学部選びガイド 2020年版】医・歯・薬・看護・医療・栄養学部系統 編
  • [2020/8/6]

「薬と命の架け橋」になることが使命
薬や人体に関する幅広い知識を習得し病気の進行に抗う

《国立》富山大学 薬学部 教授
細谷 健一(ほそや けんいち)先生

1960年、茨城県生まれ。城西大学薬学部卒業、同大学院修士課程を修了。製薬会社で徐放製剤開発に従事後、米国南カリフォルニア大学薬学部博士研究員、東北大学薬学部で助教授を経て、2000年より富山医科薬科大学(現富山大学)薬学部教授。2013年から5年間、薬学部長を務めた。現在は副学長を兼務。2020年度日本薬剤学会学会賞受賞。

薬学とは、どのような学問でしょうか?

 薬学は「病に苦しむ人に新薬を届けたい」という情熱や、「病の苦しみを和らげる」という思いを胸に、薬と命の架け橋となる学問です。

 薬学について、同じ医療系の学問である医学と比較しながら説明します。医学の主要な目的は、患者様を診察し、治療することです。症状によって、医師による手術なども必要になります。患者様の病を治すという目的は薬学も同じですが、そのアプローチが異なります。薬学は薬という物質を使って病気の進行に抗います。このアプローチを適切に実施するため、薬学部では薬という物質について詳細を学べるだけでなく、人間の体や病気に関する幅広い知識を身につけることができます。

 薬学部には4年制の創薬科学科と6年制の薬学科があります。創薬科学科は新たな薬の研究開発などを行う学科で、「薬を開発するスペシャリスト」の養成が目的。卒業後は大学院に進む学生も多く、製薬会社の研究職などに就き活躍しています。薬学科は「薬を使うスペシャリスト」を育てる学科で、卒業後の進路は薬剤師が多いです。薬剤師は比較的女性に人気の職業であるためか、薬学部は他の理系学部と比べると女性比率が高いようです。


薬学の勉強で大切なことや魅力を教えてください

 繰り返しになりますが、幅広い知識の習得がとても大切です。これは薬学が、人間の生命に関わることを扱う学問だからです。

 日本社会はいま、高齢化がどんどん進んでいます。高齢者は複数の薬を服用するのが当たり前になりつつありますが、一緒に服用することで人体に悪影響が出る薬の組み合わせもあります。患者様の体調に応じて、どの薬をどれだけ減らすか、薬のスペシャリストの立場から医師に提言するのも薬剤師の大事な仕事です。つまり、薬剤師には医師が出した処方せんをチェックする役割もあるということ。そのためには、薬だけでなく病気や人体に関する豊富な知識がなければなりません。

 魅力は社会から必要とされる学問であることです。私たち人間と病気は、切っても切り離せません。高齢化社会の進展もあり、病気になるリスクは昔より高まっていると言えます。このような社会では、薬の専門家である薬剤師や、創薬の研究者・開発者は絶対に必要とされます。こうした職業が比較的安定した待遇や収入であるのは、このような社会的な意義があるからこそとも言えるでしょう。


細谷先生は「飲む目薬」の開発を目指しているとか

 かみ砕いて説明すると、血液から眼の網膜に薬を届ける方法について研究しています。網膜は視覚を司る重要な神経組織ですが、薬による網膜の治療は長年課題になっている分野です。なぜかというと、網膜に薬を届けることがとても難しいから。眼の治療といえば「点眼」、つまり目薬を差すイメージがあるかと思いますが、実はこの方法だと薬はほとんど網膜に到達しません。つまり普通の目薬は眼の表面と、その周辺までしか効果がないのです。

 それではどうやって網膜に薬を届ければよいか。私は、口から服用した薬を血液経由で網膜に届けられないかと考え、その方法を研究しています。これが「飲む目薬」のコンセプトです。

 より具体的に説明すると、血液から網膜への物質の移動は、血液網膜関門というバリア組織にて制御されています。多くの薬はこの関門の先、つまり網膜にはなかなか届きません。しかし網膜に必要な栄養物質や一部の薬は、関門を通過できます。網膜の治療のために有効な薬を選んで関門を通過させるためには、薬にどんな特徴をつけてあげればよいのか。それを見つけるため、薬や血液網膜関門の研究を続けています。

 皆さんはテレビの時代劇で、登場人物が関所を通るため、役人に通行手形を差し出す場面を見たことがありますか? 私の研究をたとえるなら、血液網膜関門が関所で薬の特徴が通行手形なのです。私は眼の関所を通るための手形を見つけ、その手形を薬につけてあげるための研究をしているわけです。


富山は「薬都」としての歴史があるそうですね

 薬都としての富山は、300年以上の長い歴史があります。二代目富山藩主の前田正甫公が、江戸城で腹痛を訴えたとある藩主に、地元の胃腸薬である「反魂丹」を渡したことが始まりとされています。反魂丹のおかげで腹痛はおさまり、薬の効き目は他の藩主たちを驚かせたそうです。この前田正甫公のエピソードが、全国的にも有名な富山の配置薬の普及などにつながります。

 こうした歴史的経緯もあり、富山では昔から薬の製造が盛んです。富山大学薬学部のルーツも、地元の製薬会社によって1893年に設立された共立富山薬学校にあります。現在でも富山県内には大小80ほどの製薬会社があり、多様な薬が製造されています。本学薬学部の学生も、このような周囲の環境に刺激を受けながら日々勉強に励んでいます。

 富山大学薬学部をもう少し紹介すると、薬学部のある杉谷キャンパスは医療系の学部が集まっていて、医学部(医学科、看護学科)もあります。医薬融合の学びが特徴で、薬学部の教員も医学部と連携しながら学生を指導しています。さらに他の大学にはない特長として、和漢医薬学研究所という施設があります。日本で唯一、和漢医薬学を専門に研究している施設で、薬学部の学生は和漢医薬学に特化したコースを履修できます。薬学部がある国立大学は多くはなく、特に東日本には少ないです。そのため、富山大学薬学部には全国各地から入学者が集まります。


受験生にメッセージをお願いします

 学ぶことが多い薬学部では、授業の時間割はびっしり埋まっています。ですので、「なんとなく」で薬学部に入ると辛い思いをすることになるでしょう。「好きこそ物の上手なれ」という言葉がありますが、この困難を乗り切る力になるのは薬学への興味です。それさえあれば、勉強の大変さは克服できると思います。

 私が薬学部を志したきっかけは、文系の勉強が苦手だったという事情もありますが、一番は化学のような理系科目が好きだったからです。ですから化学を含む「科学」が好きな人に、薬学に興味関心を持ってもらいたいと思います。ぜひ富山大学薬学部で一緒に勉強しましょう。


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