チーム医療を担うさまざまな医療のプロとなるには、専門の各学科で専門知識を実習も併せて学び、各分野の国家試験に合格する必要がある!
おもに看護師を目ざす
看護学での4年間の学びの内容とは
看護学、保健・医療学、さらには栄養学の諸学問を学ぶにはさまざまな学部学科があるのはいうまでもない。その各々について、どのような学びとなっているのか見ていこう。
医療の現場では、さまざまな場面で「チーム医療」が行われている。そのなかで、看護師に求められる役割は、どんどん増えている。こういった状況のなか看護師となるには、さまざまな方法があるが、ここにきて専門学校などではなく4年制大学で看護学を学び看護師を目ざす人が増えている。
その理由として、看護師が活躍する場が医療の現場だけではなく、福祉や保健の場にも大きく広がっていることがある。
また、看護師に求められる医療に関する専門知識がとても増えていることも大きな要因だ。さらには看護師という仕事柄、さまざまな患者と身近に接することになるが、患者の精神的なケアを行う際に有益となる心理学や社会学などといった学問も学べることも大きなアドバンテージとなる。
4年間を通して、いずれの大学でも看護に関する様々な学問――基礎・小児・成人・老年、母性・精神看護学などを学んでいく。
同時に1年次から介護老人ホームなどでの実習から始まり、その後も4年次までさまざまな医療施設や訪問看護ステーションなどでの実習が組み込まれているのが一般的だ。
同時に看護師養成のカリキュラムのほかにも、保健師や助産師、養護教諭を目ざす学生向けの教育課程を設けている大学も多い。
リハビリ系の理学・作業療法士になるための学びとは
保健・医療系のうち、リハビリ系の理学療法士や作業療法士を養成する学科での学びを見ると、両方とも1年次から4年次まで座学とともに実習が多く取り入れられている。
理学療法士を養成する学科では、まず各種検査とその測定法、さらにはその結果をどのように評価するかを学ぶ。これにより患者の障がいの程度を把握できるようになる。そして、障がいの箇所や程度に応じた基本的な理学療法技術(リハビリ法)を身につける。
そして、その仕上げとしてさまざまな障がいに対応する具体的な介助の仕方やリハビリ法を学んでいく。その際、リハビリ施設などで指導者のアドバイスを受けながら、障がいのある人たちへの実際のリハビリにも参加する。
作業療法士を養成する学科でも、座学とともに理学療法士養成課程と同じように、段階的に組み込まれた実習をこなすことで、将来、作業療法士として活躍するためのスキルを磨いていく。
診療・治療をサポートする
臨床検査技師と臨床工学技士
臨床検査技師は、患者の血液や尿検査、さらには脳波や心電図測定などを行い、医師が診断をする際、必要となるさまざまなデータを作成する。そのため、養成学科では、基礎学問としてまず人体の構造や機能について学ぶ。
授業では、身体の正常組織を顕微鏡で観察することで、人体構造や細胞組織と生命現象の関連を知る実習も行われている。ほかにも、たとえば生化学では、人体のさまざまな臓器や器官が病気になった場合、生体内の代謝の状態や各種酵素がどのように変動するかを探っていく。
このように基礎的な知識を得たのち、実際にさまざまな試薬の取り扱い方法を学ぶための実習も多い。
また、さまざまな医療機器を安全に稼働させる臨床工学技士を養成する学科では、医学と工学の知識の両方を段階的に学ぶ。まずは各種医療機器の原理を理解し、その操作や保守の方法などを学ぶ。そして、その後、実際の臨床現場での実習を通じて、将来、必要となるスキルを磨く。
栄養士や管理栄養士を養成する栄養学での学びの内容とは
栄養学は、看護や医療・保健、生活科学、家政学部などの学部で学ぶことができる。4年制の大学で栄養学を専攻し所定の専門科目を履修し卒業すると栄養士の資格を得ることができる。また、栄養士の資格があれば、卒業時に管理栄養士の国家試験にチャレンジすることも可能だ。
栄養学を専攻すると4年間で栄養学の基礎科目から専門科目を段階的に学ぶことになるが、4年次には卒業研究や保健所や病院、学校などでの実習もある。なお、管理栄養士の資格を有すると、将来、病院などで入院患者への栄養指導を行う臨床栄養士の道も開ける。
また、各種学校で児童や生徒の栄養指導を行う栄養教諭を目ざす場合は、栄養学を専攻し所定の単位を取得する必要がある。