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研究者インタビュー「外国語学部系統 この学問の魅力!」関西大学 新谷奈津子先生

  • 【学部選びガイド 2020年版】文・人文・外国語・教養学部系統 編
  • [2020/5/7]

言葉はコミュニケーションの武器であり文化。
英語で発信することによって世界を変えることもできる

《私立》関西大学 外国語学部 教授
新谷 奈津子(しんたに なつこ)先生

大阪府堺市出身。南山大学修士課程(言語科学)修了。ニュージーランドに留学、オークランド大学教養学部にて博士課程を修了する。シンガポールの南洋理工大学、オークランド大学で教員指導、大学院指導をする。10年間の海外生活の後2017年に帰国、神戸学院大学准教授を経て、関西大学外国語学部教授に。英語での著書、論文多数。

第二言語習得研究とはどのような分野でしょうか?

 言語を科学する言語学という研究分野の中には「理論言語学」と「応用言語学」とよばれる分野があって、理論言語学は言語そのものの仕組みを解明しようとする分野、応用言語学は言語と社会のつながりを考えていく分野です。応用言語学のひとつに第二言語習得研究があり、既に母語の身についている人がある年齢に達してから新しい言語を学ぶときはどういう仕組みで学んでいくのかを研究しています。

 言語に関する知識は2種類あると言われています。ひとつは、文法など言語形式のルール説明ができる「明示的知識」、もうひとつは、それを無意識に使うことができる「暗示的知識」。たとえば、「三単現の s は、主語が三人称で単数の場合に…」とルールを説明することができたとしても、実際に英語で会話をすると s が抜けてしまうといった場合、この文法項目についての明示的知識はあるけれど暗示的知識は身についていない、といえます。従来の英語学習は、学校では明示的知識を得ることを目的とした授業、つまり文法のルールと単語の意味を主に学び、何かを伝えようとするのではなくテストで正解を書くドリル的なものでした。それが4技能を統合して、実践で使える英語、つまり暗示的知識を養おうという方向に変わってきています。


英語4技能でいちばん難しいのは?

 4技能の中では、「聞く」がいちばん難しい領域と感じるのではないでしょうか。なぜなら、読むのも書くのも話すのもある程度は自分のペースでできますが、途中 pause(一時停止)しながら聞くというのは、普通の会話ではできません。聞けるようになるために大切なのは、音と意味の一致。日本人が英語の聞き取りが苦手な理由のひとつとして、受験勉強のために無理やりローマ字読みで覚えたために、その音と生の英語の音がまったく一致しないといったことがあります。そうした無駄な学習をしないためにも、コミュニケーションを通して英語を使いながら学ぶということが必要なのです。


英語学習は早く始めるほどいいのでしょうか?

 2020年から、小学校でも英語が5年生から正規教科になり、3年生から授業で学ぶようになります(「外国語活動」)。よく、早く始めればそれだけ身につくというふうに言われますが、少なくとも外国語教育の、英語を使わない環境の中で英語を教えるということにおいて、年齢が若ければ若いほどいいという明確な証拠はありません。文法の複雑な仕組みをメタ認知的に理解する能力は、認知的なレベルが発達していないときついのです。小学5~6年生で文法の説明をされても難しいし、3年生で「こういうときはこういうルールですよ」と言っても英語が嫌いになってしまう恐れさえあります。単語をつなげて使ったらコミュニケーションがとれたとか、小学生のうちはフレーズとして学び、中学生になって文法を学習したときに「あれはこういう仕組みだったんだ」と理解するほうが、子供の成長に合った学び方といえるのではないかと考えます。「言葉は使うものなんだ」ということを小学校で体験してほしいですね。


留学のメリットと気をつけるべき点は?

 関西大学外国語学部では、2年次に全員が1年間の留学をします。入学して1年間は、その準備期間となります。学生たちは、口々に「高校までにやってきた英語と全然違う」と言います。

 留学で使うための英語を1年間かけて集中的にプレゼンテーション能力やディスカッション能力を徹底的に鍛えます。留学先では現地の大学の学部の授業をとる機会もあるので、ネイティブの学生と同様に課題を英語で書くためのライティングなども身につけておかなくてはなりません。また、海外の大学では、単に座って「何を教えてくれるの?」という受け身の姿勢ではなく、この授業を構成する一員としてなんらかの貢献をしなくてはならないという意識を向こうの学生も持っています。そういうことも含め、向こうの大学で1年間やっていけるかという視点で私たちも学生を指導しています。

 それでも、実際に留学してみると、1年次にがんばったけれどそれが全然大したことではなかったということに多くの学生が気づきます。これまでとはまったく違う環境での勉強、いろいろな国から来る学生とのコミュニケーションや異文化との葛藤などに悩む学生も多いですが、その壁を乗り越えられると見違えるくらい成長して帰ってきます。

 帰国後の3年次には「言語コミュニケーション教育」「言語分析」「地域言語文化」「異文化コミュニケーション」「通訳翻訳」の5つのプログラムから興味のある分野を選択し、さらに深い専門的知識を培います。「外国語学部」というと言語ばかりを学ぶところという印象を持つかもしれませんが、この学部の目標は「外国語のプロフェッショナル」を育成することです。実際に、数多くの卒業生が国内外のさまざまな職種で活躍しています。


これからの社会で英語の必要性は変わっていきますか?

 最近では、自動翻訳機の性能も向上し、便利になっています。しかし、お店で「これください」は翻訳機で十分だとしても、翻訳機で海外の人々と深い友情を築くことは難しいのではないでしょうか。コミュニケーションをとるのは言語だけでなく、お互いの文化を理解しようとする姿勢が何よりも大切です。留学中に自分で苦労しながらコミュニケーションをとった経験は、人間的な幅の広がりや深みを与えてくれます。

 コミュニケーションの幅を広げることは、自分にパワーを与えることです。英語を学ぶのは、単にその言葉が話せるようになるということではなく、これから社会で活躍していくために自分の幅を広げる。そういうロマンをもって言語を学んでほしいですね。

 英語で発信することができると、世界を変えることさえできます。2019年9月の「国連気候サミット」で演説したグレタ・トゥーンベリさんも英語ネイティブではなく英語は第二言語ですが、英語で発信することで世界を動かすことができたのです。史上最年少でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんもそうです。本当の意味で人を動かす力のあるコミュニケーションは、翻訳機ではできません。言葉には文化が入り込んでおり、意味を伝える記号以上のものがあるのです。


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