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研究者インタビュー「農学部系統 この学問の魅力!」新潟大学 城斗志夫先生

  • 【学部選びガイド 2020年版】理・工・農学部系統 編
  • [2020/5/7]

食料生産や食品加工、農業に不可欠な環境整備・保全など食に関する分野を網羅し私たち人間の命を支える

《国立》新潟大学 農学部 教授
城 斗志夫(じょう としお)先生

1964年、福岡県生まれ。九州大学農学部卒業後、同大学院農学研究院博士課程を修了。1993年から新潟大学農学部助手。准教授などを経て、2016年から同大学農学部教授。食品化学や食品衛生学の講義を担当。高校生を対象に、食品に関する出前講義も行っている。新潟県食の安全・安心審議会長も務める。共著に『菌類の辞典』(朝倉書店)など。

農学とは、どのような学問でしょうか?

 農学とは、私たち人間の命を支えている学問と言えると思います。私たちが生きていくためには、食べ物を食べなければなりません。農学部では食べ物の生産はもちろん、その加工も大事な分野です。食べ物に含まれる栄養成分や機能性成分は私たちの健康に深く関係しており、これも農学の研究対象です。また、農業生産のための環境整備や自然環境の保全も農学部の研究領域です。私たちが生きるうえで必要不可欠な食に関する幅広い分野を、農学は網羅しています。

 農学は生きていくうえで誰もが無関係ではいられない事柄を扱う学問です。食べ物も環境も私たち誰もが関係する分野であり、農学を学ぶことで社会に貢献できる意義があると考えます。

 また食品分野では毎日口にする食べ物を研究しているので、生活に密着していることが魅力です。もし自分が新しく発見したものが、実際の食品に利用してもらえたら、とても嬉しいことだと思いませんか。私たちは地元の食品メーカーと共同で乳酸菌の研究もしています。その研究の成果は実際に商品に取り入れられ、販売されています。


農学とほかの学問の違いを教えてください

 農学にあまり関心のない受験生は、「農学部では田畑で農作物を作る」くらいのイメージしかないかもしれません。しかし農学の領域はとても広く、ほかの学部で扱う学問とも重なる部分が多くあります。たとえば農業経済学は経済学部、農業土木や農業機械、食品工学などは工学部と重なります。化学や生物、バイオテクノロジーを扱う分野では理学部と近い。食品成分の健康増進効果などを研究する点では、薬学や医学にも通じます。受験生の皆さんには、農学部では非常に幅広い学問分野を学べることを知ってもらいたいと思います。

 それでは、農学とほかの学問の違いは何なのでしょうか。よく似ていると言われる理学を例に挙げて説明します。理学は新しい現象がわかったときに、「それはなぜなのか」と原理原則を突きつめて考える学問です。それに対して農学は、新しい現象がわかったときに「これは何に活用できるだろうか」と現象の活用方法を考えるという違いがあります。農学は応用的な学問であると言えるでしょう。


城先生の研究分野について教えてください

 主に食べ物のおいしさと機能性について研究しています。おいしさについてはキノコの香りがなぜ、どうやってできてくるのかを探る研究です。新潟県はキノコの生産量が長野県に次いで全国第2位。「香りマツタケ、味シメジ」という言葉がありますが、キノコに限らず香りは食品のおいしさの重要な要素です。キノコは種類ごとの香りの成分分析は進んでいますが、「その香りはどうやってできるのか」ということはあまりわかっていません。もしそれが解明できれば、キノコの香りをさらに改良することができます。一般の消費者が普段キノコを選ぶ基準は、値段と鮮度くらいでしょう。いまよりも香りのよいおいしいキノコを作ることができれば、消費者はキノコを味で選ぶことができるようになります。そうなると、よりおいしいキノコには付加価値がつき、生産者や関係業者も利益を得ることができます。そして消費者はおいしいキノコを食べることができる。それを目指して、生産者や研究機関と協力して研究を進めています。

 次に機能性についての研究ですが、機能性食品とは、健康増進などの機能を人工的に強化した食品のこと。最近腸内細菌が話題ですが、私たちの腸内にいる細菌は、食べたものを分解したり違うものに作り変えたりします。この働きが健康に大きく影響することがわかってきています。その中でも、大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンに似た働きをし、さまざまな病気を抑える効果があります。大豆イソフラボンは腸内細菌によりエクオールという物質に作り変えられます。エクオールは女性ホルモンの作用が強いため、イソフラボンの効果をより得るためにはこの細菌が重要ですが、誰もがこの細菌を腸内に有しているわけではありません。私たちはこの細菌を体外に取り出し、機能性食品の開発に役立てられないか試みています。もし食品開発に利用できれば、誰もがエクオールの働きを享受できるようになります。


新潟大学農学部にはどんな特長がありますか

 一番の強みは、農や食の現場が近いところだと思います。新潟県は農業県なので、農林水産物の生産現場やそれを支える自然環境がすぐ近くにあります。新潟大学農学部ではそれらを積極的に活用し、教育研究を行っています。食品分野の話をすると、新潟県には全国的にも有名な大手食品メーカーが多くあるため、農学部の学生がインターンシップや見学、実習、研究で毎年お世話になっています。また、農学部から新潟県内の食品メーカーに就職する学生もたくさんいます。食品以外の話ですが、佐渡島には演習林がありトキの研究が行われているなど、新潟大学独自の活動もあります。

 また新潟大学農学部は1年次では農学の基礎を学び、2年次後半から専門分野に分かれます。そのため、入学後に幅広い分野から本当にやりたいことを見極め、専門を選ぶことができます。


受験生へのメッセージをお願いします

 自然や生き物に関心のある人にはぜひ農学部をお勧めしたいです。食に興味のある人にも合っています。私自身も農学部に入った後に農学が食品を扱うことを知り、身近な食べ物に関わる研究に興味を持ちました。受験生の皆さんがもし大学の農学部に入ったら、「なぜ?」を常に考える探求心を持ってほしいです。研究の結果が出た時も、それで終わりではなく「なぜこうなったのか」を考えなければ、次のステップには進めません。また、粘り強さも大切です。農学は自然や生物が相手です。研究結果は生物の個体によって異なりますし、農作物は年によって天候の影響も受けます。長期間研究に取り組むことも多いため、粘り強い姿勢が求められます。

 いま高校で勉強している理科科目が将来何の役に立つのか、疑問に思っている受験生もいるかもしれません。しかし大学では、皆さんがいま学んでいることが必ず役立ちます。もし少しでも農学に興味を持ったら、大学の農学部ではどんなことを学べるのか、ぜひ調べてみてください。


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