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学部長インタビュー「経済学部の魅力とは?」同志社大学 谷村智輝先生

  • 【学部リサーチ 2019年版】経済・経営・商学部系統の総合的研究
  • [2019/11/8]

「人のため何ができるか」を考え
社会科学の知的な基盤を学ぶ

《私立》同志社大学 経済学部 学部長
谷村 智輝(たにむら ともき)先生

1968年愛媛県生まれ。1999年同志社大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。同志社大学経済学部助教授、同志社大学経済学部教授などを経て2018年から現職。「現代の日本経済をはじめとする先進諸国の企業利潤率と経済停滞」が主要な研究テーマ。著書に『恐慌論の論点と分析』(共著、創風社)などがある。

谷村先生が経済学の研究に進まれた経緯は?

 経済学を専門に研究することになった理由はいくつかあります。私はいわゆるバブル経済の時期に大学生活を送りました。当時は日本社会だけでなく、大学にいる周囲の仲間にもどこか浮かれた雰囲気がありましたが、私の心には漠然とした不安がありました。その不安を解消するためには周囲との差別化が必要だと考えるようになり、勉強を頑張ってみようと思ったのが一つの理由です。また当時の指導教員から「利潤はどこから発生するのか」というテーマの講義を受け、面白いと思ったことも影響しています。「過剰生産はなぜ起こるのか」とのテーマで卒業論文を執筆した際に読んだ本も興味深く、こうした経験の中で経済学への興味関心が育っていきました。

 現在は現代資本主義論という分野を専門に研究しています。具体的に説明すると、特に1990年代後半からの日本経済の長期的停滞に関連し、企業の利潤率の低下の背景にどんな要因があるのかを探っています。日本企業の儲ける力が弱くなっている中で、強みをどのように出していくのか。これは現代日本社会にとって重要な課題であるのと同時に、世界的にも注目されているテーマでもあります。


経済学とはどのような学問なのでしょうか

 経済学部の新入生と話をすると、経済学とはお金に関する学問だと考えている人が多いようです。ただそれは、経済学の一つの側面にすぎません。経済とはひとことで言うと、私たちが必要とする物やサービスを生産して、交換・流通を経て消費するという一連のプロセスのことです。少し抽象的な表現になりますが、経済とはそうした一連のプロセスの中で生まれる人間の相互関係のことである、と言うこともできます。たとえば何か物を買うとしても、そこには売り手と買い手の関係が生まれます。私がいま身に着けている衣類にしても、工場で生産した人がいて、それを運ぶ人がいて、お店で売る人がいて私のもとに来るわけです。これは表面的にはお金をやり取りする関係として表れますが、経済学ではその裏にある見えない人間関係を「見える化」します。衣類の生産者と私との間に面識はありませんが、経済的な関係によって結びついているわけです。

 人間の経済的な関係が円滑に進み、かつその関係が毎日新しく生み出される条件を明らかにするのが経済学の課題です。よりかみ砕いて言えば、データ分析や理論を駆使して、私たちが安心して暮らしていける条件を明らかにするのが経済学の役割です。


経済学の魅力や学ぶ意義とはなんでしょうか

 経済学は、一見すると疑問の余地もないような当たり前のことを疑い、問う学問です。物事の一部だけでなく全体を俯瞰して見ることが求められます。これは自分のことだけでなく他の人のことを考えるという姿勢につながります。経済学を学んでいるうちに「自分以外の人たちから、自分が経済的に生かされている」ことが実感できるのは大きな魅力だと思います。ですから社会の仕組みに関心がある人や、「人のために何ができるのか」と考えることができる人は、経済学を学ぶのに向いていると思います。目に見えない関係性に想像力を働かせることができる人も経済学向きです。

 少し話がそれますが、受験生の皆さんの中には「経済学を学ぶのに数学は必要か」ということが気になっている人がいるかもしれません。経済学を学ぶうえで数学的な力は必要ですが、研究の対象はあくまでも経済であり専門的な数学ではありません。経済学を学んでいく中で、必要な数学的思考は培うことができます。

 また経済学は、社会科学の多様な学問の知的基盤になっているという面があり、これは学ぶうえでの大きな意義と言えます。近年は多くの大学でさまざまな学問を扱う学部が新設されていますが、社会科学の大半の学問分野には経済学的な側面があります。経済学には社会を科学するためのインフラとしての役割があり、経済学を学ぶことで社会科学の幅広い学問につながっていく面白さがあります。


貴学経済学部の学びの特長を教えてください

 経済学の豊富な領域を学ぶことができる環境が備わっている点が、同志社大学経済学部の大きな特長です。ミクロとマクロの経済学を柱にしながら、統計や政策に加えて歴史や思想、環境情報などの領域があり、多様性とバランスのよさを兼ねそろえています。京都の文化と関連した領域もあるなど、同志社大学らしい地域性もあります。入学すると1年間は基礎的な内容を学び、2年生から各ゼミに所属して専門的な勉強を深めていくことになります。

 留学生の大学院生が主な対象ですが、産官学連携の取り組みも行われており経済学部の学部生も多数参加しています。民間企業の優れた技術を用いて社会的な課題の解決を目指すプログラムで、意欲ある学部生が、留学生や大学院生とともに学んでいます。学生たちは地域のヒアリングや企業が持つ技術の視察などを通じてアイディアを練り、最終的に関係者の前で発表します。民間企業の担当者が学生たちに時間をかけて向き合ってくれるため、フィードバックを受けられるのも学生にとってよい点です。このプログラムには、同志社大学経済学部から日本を元気にしよう! という目標もあります。


受験生へのメッセージをお願いします

 現代は変化が激しく不安定な時代だからこそ、若い皆さんには未来の自分を想像する力を持ってほしいと思います。近年はインターネットの発達もあり、問題に直面した際すぐに答えを探す傾向がありますが、探すばかりでなく答えを自分の頭で考えることも大切にしてほしい。経済学では、一つの問いに対して複数の解があることもあります。それらを比較して見極める力を持ってほしいです。また、これからの社会では「変革人材」のニーズが増してくると予想しています。人や組織を支えると同時に、新しい道を切り拓いていけるような人材を育てることができればいいと考えています。

 同志社大学の経済学部では、多様な分野を専門的に学べることはもちろんですが、歴史深く、大勢の大学生が集まる京都という土地で勉強することの意義も実感できると思います。受験にあたっては、同志社大学経済学部で学びたいという強い意欲があることが何よりも大事です。意欲ある受験生にぜひ挑戦していただきたいと思います。


この記事で取り上げた大学

蛍雪時代

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